足の陽明胃経
足の陽明胃経(あしのようめいいけい、中国語 足陽明胃經 zú yángmíng wèijīng、英:The Stomach Meridian of Foot-YangmingもしくはZu Yangming Weijing)とは胃経に属する足を流れる陽経の経絡である。胃と脾は共に中国の五行(木、火、土、金、水)でいうと土に属するため密接な関係を持つ。また、流注によると胃はもとより、大腸や小腸のまわりを取り囲んでいるため腹痛にこの胃経の経穴を使うこともある。胃経の募穴は中脘穴(任脈)。
国際表記はSTと表記する。
症状
主に発熱、鼻痛、鼻血、上歯痛、頚部の腫脹、膝蓋脹痛、乳房部痛、気街・股・大腿下腿前外側・足背痛などが起こるとされている。
目次
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鼻根に起こり下って鼻の外(承泣穴、四白穴、巨髎穴)を循り、上歯の中に入り、還り出て唇を循り、下って承漿穴で左右が交わる。ついで下顎下縁を循り大迎穴から頬車穴を循り、耳前に上り客主人穴を過ぎ、側頭髪際を循り額顱に至る。その支なるものは、大迎穴の前より人迎穴に下り、喉嚨を循り缺盆穴に入り、膈を下って胃に属し脾を絡う。
その直行するものは、缺盆穴より乳の内廉に下り、下って臍を挾み気衝穴に入る。気衝穴から大腿前外側を下り、膝関節を循り、下腿前外側を下り、足の第2指外端に終わる。
その支なるものは、胃口の下に起こり、腹中を循り下って気衝穴に合す。
その支なるものは三里穴の下方から分れ、下腿外側(胃経と胆経の間)を下り豊隆穴を経て足の第3指に行く。
その支なるものは、衝陽穴から別れて第1指に至り、足の太陰脾経に連なる。
取穴部位:瞳孔の下7分、眼窩下縁の中央 禁鍼穴 筋肉:眼輪筋 運動神経:顔面神経 知覚神経:上顎神経 血管:眼窩下動脈 |
ST2.四白(しはく)
取穴部位:瞳孔の下1寸、眼窩下孔部 筋肉:眼輪筋 運動神経:顔面神経 知覚神経:上顎神経 血管:眼窩下動脈 |
取穴部位:鼻孔の外8分、瞳孔線上 運動神経:顔面神経 知覚神経:上顎神経 |
取穴部位:口角の外4分 筋肉:口輪筋 運動神経:顔面神経 血管:顔面動脈 |
取穴部位:下顎角の前1寸3分、顔面動脈拍動部 知覚神経:下顎神経 血管:顔面動脈 |
ST6.頰車(きょうしゃ) 取穴部位:耳垂下端と下顎角の間の陥凹部 筋肉:咬筋 運動神経:下顎神経 知覚神経:下顎神経、大耳介神経 血管:浅側頭動脈 |
取穴部位:頬骨弓中央の下際陥凹部 禁灸穴 運動神経:下顎神経 知覚神経:下顎神経 血管:顔面横動脈 |
ST8.頭維(ずい) 取穴部位:顎角髪際、神庭穴の外4寸5分 禁灸穴 筋肉:前頭筋 運動神経:顔面神経 血管:浅側頭動脈 |
ST9.人迎(じんげい) 禁灸穴 筋肉:広頚筋 運動神経:顔面神経 知覚神経:頚横神経 血管:総頚動脈 |
取穴部位:人迎穴と気舎穴の中央 知覚神経:頚横神経 血管:総頚動脈 |
ST11.気舎(きしゃ)
取穴部位:小鎖骨上窩中央 頸部 知覚神経:鎖骨上神経 血管:総頚動脈 |
取穴部位:大鎖骨上窩、鎖骨上際陥凹部、乳頭線上 頸部 禁鍼穴 知覚神経:鎖骨上神経 血管:鎖骨下動脈 |
取穴部位:鎖骨下際、前正中線の外4寸、乳頭線上 胸部 血管:鎖骨下動脈 |
ST14.庫房(こぼう) 取穴部位:第2肋骨上際、乳頭線上、第1肋間で正中線から外方4寸 運動神経:胸筋神経 知覚神経:鎖骨上神経、肋間神経前皮枝 血管:胸肩峰動脈胸筋枝、外側胸動脈、肋間動脈 |
取穴部位:第2肋間で正中線から外方4寸、乳頭線上 運動神経:胸筋神経 知覚神経:肋間神経前皮枝および肋間神経外側皮枝 血管:胸肩峰動脈胸筋枝、外側胸動脈、肋間動脈 |
ST16.膺窓(ようそう)
取穴部位:第3肋間で正中線から外方4寸、乳頭線上 運動神経:胸筋神経 知覚神経:肋間神経前皮枝および肋間神経外側皮枝 血管:胸肩峰動脈胸筋枝、外側胸動脈、肋間動脈 |
取穴部位:乳頭の中央、第4肋間で正中線から外方4寸 禁鍼穴 禁灸穴 運動神経:胸筋神経 |
ST18.乳根(にゅうこん) 取穴部位:第5肋間で正中線から外方4寸、乳頭線上 筋肉:大胸筋 運動神経:胸筋神経 |
取穴部位:天枢穴の上6寸、巨闕穴の外2寸、神闕穴の高さより上6寸で正中線から外方2寸、第8肋軟骨付着部下際 上腹部 筋肉:腹直筋 運動神経:肋間神経 知覚神経:肋間神経前皮枝 |
ST20.承滿(しょうまん) 取穴部位:天枢穴の上5寸、上脘穴の外2寸、神闕穴の高さより上5寸で正中線から外方2寸 筋肉:腹直筋 運動神経:肋間神経 知覚神経:肋間神経前皮枝 |
ST21.( ST21 )『梁門』りょうもん足の陽明胃経 うもん) 取穴部位:天枢穴の上4寸、中脘穴の外2寸、神闕穴の高さより上4寸で正中線から外方2寸 筋肉:腹直筋 運動神経:肋間神経 知覚神経:肋間神経前皮枝 血管:肋間動脈、上腹壁動脈 |
ST22.関門(かんもん) 取穴部位:天枢穴の上3寸、建里穴の外2寸、神闕穴の高さより上3寸で正中線から外方2寸 筋肉:腹直筋 運動神経:肋間神経 知覚神経:肋間神経前皮枝 |
ST23.太乙(たいいつ) 取穴部位:天枢穴の上2寸、下脘穴の外2寸、神闕穴の高さより上2寸で正中線から外方2寸 筋肉:腹直筋 運動神経:肋間神経 知覚神経:肋間神経前皮枝 |
取穴部位:天枢穴の上1寸、水分穴の外2寸、神闕穴の高さより上1寸で正中線から外方2寸 筋肉:腹直筋 運動神経:肋間神経 知覚神経:肋間神経前皮枝 |
ST25.天枢(てんすう) 取穴部位:臍の外2寸 要穴:大腸経の募穴 筋肉:腹直筋 運動神経:肋間神経 知覚神経:肋間神経前皮枝 |
ST26.外陵(がいりょう) 取穴部位:天枢穴の下1寸、陰交穴の外2寸、神闕穴の高さより下1寸で正中線から外方2寸 筋肉:腹直筋 運動神経:肋間神経 知覚神経:肋間神経前皮枝 |
ST27.大巨(だいこ)
取穴部位:天枢穴の下2寸、石門穴の外2寸、神闕穴の高さより下2寸で正中線から外方2寸 筋肉:腹直筋 運動神経:肋間神経 知覚神経:肋間神経前皮枝 |
ST28.水道(すいどう) 取穴部位:天枢穴の下3寸、関元穴の外2寸、神闕穴の高さより下3寸で正中線から外方2寸 筋肉:腹直筋 運動神経:肋間神経 |
取穴部位:天枢穴の下4寸、中極穴の外2寸、神闕穴の高さより下4寸で正中線から外方2寸 |
取穴部位:天枢穴の下5寸、曲骨穴の外2寸、神闕穴の高さより下5寸で正中線から外方2寸 禁鍼穴 |
取穴部位:上前腸骨棘の下方、縫工筋と大腿筋膜張筋の間、陥凹部 知覚神経:外側大腿皮神経 血管:外側大腿回旋動脈 |
取穴部位:大腿部の前外側、膝蓋骨外上角から髀関穴に向かい上6寸 運動神経:大腿神経 血管:外側大腿回旋動脈 |
ST33.陰市(いんし)
取穴部位:大腿部の前外側、膝蓋骨外上角から髀関穴に向かい上3寸 禁灸穴 筋肉:外側広筋 運動神経:大腿神経 血管:外側大腿回旋動脈 |
取穴部位:大腿部の前外側、膝蓋骨外上角から髀関穴に向かい上2寸 要穴:郄穴 筋肉:外側広筋 運動神経:大腿神経 血管:外側大腿回旋動脈、外側上膝動脈 |
取穴部位:膝蓋骨下縁と脛骨上端との中間、膝蓋靭帯中 筋肉:膝蓋靭帯 知覚神経:伏在神経膝蓋下枝 血管:膝関節動脈網 |
ST36.足三里(あしのさんり) 取穴部位:膝を立て、外膝眼穴の下3寸、脛骨粗面と腓骨頭下際の間 要穴:合土穴、四総穴、足の陽明胃経の下合穴 筋肉:前脛骨筋 運動神経:深腓骨神経 知覚神経:外側腓腹皮神経 血管:前脛骨動脈 |
取穴部位:膝を立て、足三里穴から解谿穴に向かい下3寸、外膝眼穴の下6寸 要穴:手の陽明大腸経の下合穴 筋肉:前脛骨筋 運動神経:深腓骨神経 知覚神経:外側腓腹皮神経 血管:前脛骨動脈 |
ST38.條口(じょうこう) 取穴部位:足三里穴から解谿穴に向かい下5寸、外膝眼穴の下8寸、上巨虚穴の下2寸 禁灸穴 筋肉:前脛骨筋 運動神経:深腓骨神経 知覚神経:外側腓腹皮神経 血管:前脛骨動脈 |
ST39.下巨虚(げこきょ) 取穴部位:足三里穴から解谿穴に向かい下6寸、外膝眼穴の下9寸、条口穴の下1寸 要穴:手の太陽小腸経の下合穴 筋肉:前脛骨筋 運動神経:深腓骨神経 知覚神経:外側腓腹皮神経 血管:前脛骨動脈 |
ST40.豊隆(ほうりゅう)
取穴部位:外果の上8寸、条口穴の外方に一筋へだてた陥凹部 要穴:絡穴 運動神経:深腓骨神経 知覚神経:外側腓腹皮神経 血管:前脛骨動脈 |
取穴部位:足関節前面中央、前脛骨筋腱の外側陥凹部 要穴:経火穴 運動神経:深腓骨神経 知覚神経:浅腓骨神経 血管:前脛骨動脈 |
ST42.衝陽(しょうよう)
取穴部位:足背にあり、第2・第3中足骨底間の陥凹部 要穴:原穴 運動神経:深腓骨神経 知覚神経:浅腓骨神経 血管:足背動脈 |
ST43.陥谷(かんこく) 取穴部位:足背にあり、第2中足指節関節の後、外側陥凹部 要穴:兪木穴 運動神経:深腓骨神経、外側足底神経 知覚神経:浅腓骨神経 血管:第二背側中足動脈の枝 |
ST44.内庭(ないてい)
取穴部位:足背にあり、第2中足指節関節の前、外側陥凹部 要穴:滎水穴 筋肉:第二背側骨間筋 運動神経:外側足底神経 知覚神経:浅腓骨神経 血管:第二背側中足動脈の枝 |
ST45.厲兌(れいだ)
取穴部位:足の第2指外側爪甲根部、爪甲の角を去ること1分 要穴:井金穴 知覚神経:浅腓骨神経 血管:第二背側中足動脈の枝 |
関連項目
後肢陽明胃経(こうしようめいいけい)とは胃経に属する後肢を流れる陽経の経絡である。人間でいうところの足の陽明胃経に相当する。
目次
承泣(しょうきゅう)
取穴部位:眼窩下縁中央部
主治:結膜炎、流涙症、眼瞼疾患、風邪、視神経萎縮
四白(しはく)
取穴部位:眼窩下孔の窪み
主治:眼科疾患、顔面神経麻痺、顔面痛
鎖口(さこう)
取穴部位:口角からの延長線上
主治:よだれ、破傷風、口内炎、風邪、熱性病
開関(かいがん)
取穴部位:口角からの延長線で咬筋前縁
主治:口内炎、顔面痛、歯痛、破傷風
抱さい(ほうさい)
取穴部位:奥歯に対する咬筋
主治:口内炎、歯痛、顔面痛
下関(げかん)
取穴部位:顎関節前下縁の窪み
主治:歯痛、顔面痛、破傷風、耳疾患
人迎(じんげい)
取穴部位:頚静脈上1/3
主治:喘息、消化不良、のどの痛み
天枢(てんすう)
取穴部位:臍の両側
主治医:子宮内膜炎、腹痛、便秘、尿閉、腸炎
大こう(だいこう)
取穴部位:大腿骨大転子前下方の窪み
主治:後肢麻痺、股関節の痛み
後伏兎(ごふくと)
主治:股関節・腰部疼痛、後肢疾患
掠草(りゃくそう)
取穴部位:膝蓋骨下方の外靭帯と中靭帯の間の窪み
主治:膝痛、後肢麻痺
后三里(ごさんり)
取穴部位:下腿外側1/4
主治:嘔吐、便秘、下痢、咳、後肢疾患、発熱
上巨虚(じょうこきょ)
取穴部位:后三里下方の骨間の隙間
主治:便秘、消化不良
豊隆(ほうりゅう)
取穴部位:上巨虚下方の筋溝
主治:咳、便秘、神経症状、後肢麻痺、気管支炎
解渓(かいけい)
取穴部位:足首の窪み
主治:便秘、神経症状、捻挫、後肢疾患
滴水(てきすい)
取穴部位:第3・4足根骨間の窪み
主治:顔面むくみ、風邪、熱性病、中毒、後肢疾患
趾間(内)(しかん(ない))
取穴部位:第2・3趾間
後蹄頭(内)(ごていとう(ない))
取穴部位:第2爪後
主治:歯痛、熱病、便秘、消化障害、後肢麻痺、下部尿路疾患
足の陽明胃経
WHO |
ツボ名 |
場所 |
こんな時に使う |
ツボの由来 |
ST-1 |
承泣 |
瞳孔の下7分、眼窩下縁の中央、正視させて取る。 |
目の諸症状、顔面神経麻痺、三叉神経痛、眼筋痙攣、眼精疲労 |
「承」=受ける、「泣」=泣く。涙を受け止めるところという意味。 |
ST-2 |
四白 |
瞳孔の下1寸、眼窩下孔部、正視させて取る。 |
目の諸症状、顔面神経麻痺、三叉神経痛、眼筋痙攣、眼精疲労、鼻炎、頭痛 |
「四」は四方八方、「白」は光の意味である。広く物を見まわすことのできる目の下にある。視力回復のツボとされた。 |
ST-3 |
巨リョウ |
鼻孔の外8分、瞳孔線上に取る。 |
顔面神経麻痺、三叉神経痛、顔面痙攣、鼻炎、歯痛 |
「巨」は大きい、「リョウ」は骨の隙間あるいは陥凹したところを指す。頬骨と上顎骨の隙間にあるため。 |
ST-4 |
地倉 |
口角の外4分に取る。 |
顔面神経麻痺、三叉神経痛、顔面痙攣、歯痛、咬筋痙攣 |
「地」は土地、「倉」は穀物の貯蔵庫をいう。額は昔、天の庭とたとえ、頬は地にたとえた。頬と歯の間に食物が溜まった様が倉庫に似ているため。 |
ST-5 |
大迎 |
下顎角の前1寸3分の陥凹分、動脈拍動部に取る。 |
顔面神経麻痺、三叉神経痛、咬筋痙攣、耳下腺炎、歯痛 |
「迎」は大迎骨、すなわち下顎骨のことである。ここを押圧すると、頚動脈の大きな拍動を感じるため。 |
ST-6 |
頬車 |
下顎角の前上方で、歯を噛み締めると咬筋が緊張し、力を抜くと陥凹するところに取る。 |
顔面神経麻痺、三叉神経痛、咬筋痙攣、耳下腺炎、歯痛、下顎関節障害 |
昔、頤(おとがい)は、下歯床骨(下歯の土台の骨の意)頬車(口を開閉する蝶番)骨と呼んでいた。この蝶番の中にこの経穴があるため。 |
ST-7 |
下関 |
頬骨弓中央の下際陥凹部に取る。 |
下顎関節障害、咬筋痙攣、耳下腺炎、歯痛、顔面神経麻痺、三叉神経痛、耳鳴 |
「下」は下方、「関」は機関の意味で、下顎骨を動かす機関であることから名づけられた。 |
ST-8 |
頭維 |
額角髪際にあり、神庭穴の外4寸5分に取る。 |
頭痛、めまい、高血圧、目に諸疾患、顔面神経麻痺、眼筋痙攣、脱毛症 |
「維」は角を指し、頭の額角のあることから名づけられた。 |
ST-9 |
人迎 |
喉頭隆起の外方1寸5分、動脈拍動部に取る。 |
咽喉腫脹・疼痛、喘息、眩暈、顔面紅潮、高血圧 |
「迎」は動くという意味で、喉頭隆起の両脇にあり、飲食時に、人や物を送迎しているように動くことに似ていることから。 |
ST-10 |
水突 |
人迎穴と気舎穴の中央に取る。 |
咽喉腫脹・疼痛、喘息、甲状腺腫 |
「水」は漿液(食物の漿液)の意味で、「突」は突き出る意味である。水を飲み込むときにここが大きく上に動く様が気が上衝していくことに(突の状態)たとえられている。 |
ST-11 |
気舎 |
小鎖骨上窩中央に取る。 |
咽喉腫脹・疼痛、喘息、甲状腺腫、しゃっくり |
「気」は空気を指し、「舎」は留まる場所。この経穴が胸にあるため、空気=宗気が胸中に宿るという意味。 |
ST-12 |
欠盆(缺盆) |
大鎖骨上窩にあり、鎖骨上際陥凹部、乳頭線上に取る。 |
喘息、咳嗽、胸部の膨満感などの呼吸器疾患、肋間神経痛 |
「缺」は欠けた意味で、「盆」は深く陥凹した場所を指す。鎖骨上窩にあるため、その場所が、欠けた盆に似ていることから。 |
ST-13 |
気戸 |
鎖骨下際にあり、前正中線の外4寸、乳頭線上に取る。 |
咳嗽、喘息、咽喉腫脹・疼痛、鎖骨上窩の痛み |
気は、口から脾・胃へ、鼻から肺へと通じる。本穴は、どちらへも通じるため、気の証に効果がある。ここを気の扉のように開けば気を巡らせ、閉めれば気を蔵することができることからこの名が付いた。 |
ST-14 |
庫房 |
第2肋骨上際にあり、乳中線上に取る。 |
喘息、咳嗽、胸部の膨満感などの呼吸器疾患、肋間神経痛 |
「庫」=倉庫。肺気は気戸から本穴に入り、深部の肺に貯えられることから、倉庫にみたて名づけられた。 |
ST-15 |
屋翳 |
第2肋間にあり、乳中線上に取る。 |
喘息、咳嗽、胸部の膨満感などの呼吸器疾患、肋間神経痛、胸膜炎 |
「屋」は蓋。「翳」は羽毛でできた大きな扇子。本穴が庫房穴の下、膺窓穴の間にあり、屋根の庇の様な状態から名づけられた。 |
ST-16 |
膺窓 |
第3肋間にあり、乳中線上に取る。 |
喘息、咳嗽、胸部の膨満感などの呼吸器疾患、肋間神経痛、胸膜炎 |
「膺」は胸、「窓」は気と光を通すところの意味であり、胸部の閉塞を通すため。 |
ST-17 |
乳中 |
乳頭の中央で第4肋間に取る。 |
乳頭中央にあるので、名づけられた。(禁鍼灸穴) |
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ST-18 |
乳根 |
第5肋間にあり、乳中線上に取る。 |
喘息、咳嗽、乳汁分泌不全、胸痛、肋間神経痛、 |
「乳房根部(乳房の下縁)にあるので、名づけられた。 |
ST-19 |
不容 |
天枢穴の上6寸、巨闕穴の外2寸に取る。 |
食欲不振、嘔吐、腹脹、腹痛などの消化器系の症状 |
「胃が本穴の高さまで食物が達したらそれ以上は受容不可能(受容能力の限界)であるから「不容」と名づけられた。 |
ST-20 |
承満 |
天枢穴の上5寸、上?穴の外2寸に取る。 |
腹脹、腹痛、嘔吐、吐き気、食欲不振などの消化器系の症状、胸脇苦満 |
「承」は受納。「満」は充満。不容穴の下にあり、水穀で満タンという意味。 |
ST-21 |
梁門 |
天枢穴の上4寸、中?穴の外2寸に取る。 |
腹脹、腹痛、下痢、嘔吐、吐き気、食欲不振などの消化器系の症状 |
「梁」=関。経気(ここでは胃気)が巡るもっとも重要な箇所。また伏梁(心下否満)を治すことから名づけられた。 |
ST-22 |
関門 |
天枢穴の上3寸、建里穴の外2寸に取る。 |
腹部膨満、腹痛、腹鳴、下痢、食欲不振、浮腫 |
「関門」とは、門を閉じて受け入れないという意味である。本穴は胃と腸の境界のところにある。または、胃気の出入り口という意味。 |
ST-23 |
太乙 |
天枢穴の上2寸、下?穴の外2寸に取る。 |
腹部膨満、腹痛、腹鳴、下痢、食欲不振、浮腫 |
「太」は大きい・重要という意味で、「乙」はとどまる、終わる。「太乙」とは極めて重要な胃部の終わりにあるツボという意味である。 |
ST-24 |
滑肉門 |
天枢穴の上1寸、水分穴の外2寸に取る。 |
腹部膨満、腹痛、腹鳴、下痢、食欲不振、浮腫 |
「門」=気の入口である口のこと。「滑肉」=舌。舌は滑利の肉といい、ここを刺激すると舌の動きを滑らかにする動かすことができることから名づけられた。 |
ST-25 |
天枢 |
臍の外2寸に取る。 |
腹痛、下痢、赤痢、便秘、腹鳴、腹部膨満、浮腫、月経不順・生理痛 |
「天」は上部を指し、「枢」は枢軸・要の意味である。臍の傍にあり、臍を境に天と地(上半身・下半身)の境目の要所という意味と脾胃を整える要穴という意味。 |
ST-26 |
外陵 |
天枢穴の下1寸、陰交穴の外2寸に取る。 |
腹痛、下痢、便秘、腹鳴、腹部膨満、浮腫、月経不順・生理痛 |
「外」は傍らということで、突起したところを「陵」という。体に力を入れると、腹部に気が集まり、外側にある腹筋が盛りあがってくる様が「陵」に似ていることから。 |
ST-27 |
大巨 |
天枢穴の下2寸、石門穴の外2寸に取る。 |
下腹部の脹満、排尿困難、生理不順・生理痛、生殖器系疾患、尿管結石、浮腫 |
「巨」は大きいという意味で、腹部で最も高く、大きく隆起した場所にあるため、名づけられた。 |
ST-28 |
水道 |
天枢穴の下3寸、関元穴の外2寸に取る。 |
下腹部の脹満、排尿困難、生理不順・生理痛、生殖器系疾患、尿管結石、浮腫 |
「道」は道路のこと、本穴は膀胱の上部にあり治水をする役目あることから。 |
ST-29 |
帰来 |
天枢穴の下4寸、中極穴の外2寸に取る。 |
下腹部の脹満、排尿困難、生理不順・生理痛、生殖器系疾患、尿管結石、不妊症 |
「帰」=還る、「来」=戻るの意味で、呼吸法により本穴に気が集まることから、根底に気が帰る場所という意味。 |
ST-30 |
気衝 |
天枢穴の下5寸、曲骨穴の外2寸に取る。 |
下腹部の脹満、排尿困難、生理不順・生理痛、生殖器系疾患、尿管結石、不妊症 |
「気」は経気のこと、「衝」は突き上げる動き・要衝。帰来の真下にあるため、気の要衝という意味で名付けられた。別名=気街。衝の字は動脈拍動部に付くことが多い。 |
ST-31 |
髀関 |
上前腸骨棘の下方、縫工筋と大腿筋膜張筋の間、陥凹部に取る。 |
下肢の麻痺・萎縮、腰痛、股関節痛、股関節の屈伸困難 |
「髀」は昔、大腿骨を髀骨と称した。「関」=関節。股関節に近いことから。 |
ST-32 |
伏兎 |
大腿部の前外側にあり、膝蓋骨外上角から脾関穴に向かい上6寸に取る。 |
腰部・股関節痛、膝の冷え、下肢麻痺、脚気 |
「伏」はうつ伏せの状態。大腿骨前上方に大腿四頭筋が隆起しているが、その形が兎が伏せているように見えることから。 |
ST-33 |
陰市 |
大腿部の前外側にあり、膝蓋骨外上角から脾関穴に向かい上3寸に取る。 |
腰部・膝部のしびれ・だるさ・痛み、屈伸困難、下肢麻痺 |
「市」=集まること。本穴は陽経に属して居るが、下半身の冷え等の陰証に効くのでこの名が付いた。 |
ST-34 |
梁丘 |
大腿部の前外側にあり、膝蓋骨外上角から脾関穴に向かい上2寸に取る。 |
胃痛、腹痛、膝の腫脹・疼痛、下肢麻痺 |
「丘」=丘陵。「梁」=その丘陵の背。本穴のある膝蓋骨上の周囲の筋を山梁にたとえた。 |
ST-35 |
犢鼻 |
膝を軽く曲げたとき、膝蓋骨外下方にできる陥凹に取る。 |
膝の痛み・しびれ、屈伸困難、脚気 |
「「犢」は小牛のこと。本穴は膝蓋骨下縁の外の陥凹部にあり、その形が小牛の鼻に似ていることから名づけられた。 |
ST-36 |
足三里 |
膝をたて、犢鼻の下3寸に取る。 |
消化器系の疾患、婦人病、高血圧、慢性疲労、坐骨神経痛、片麻痺、膝・下腿障害 |
「里」は邑・居・集まる・通ずる、の意味である。「三」は犢鼻の下3寸という意味と、三部(上焦・中焦・下焦)の治療に効果があるため。また、1里=1寸。 |
ST-37 |
上巨虚 |
膝をたて、足三里穴から解谿穴に向かい下3寸に取る。 |
下痢、腹脹、腹痛、便秘などの消化器系疾患、慢性虫垂炎 |
「上」は上、「巨」は大きい、「虚」は隙間の意味。脛骨と腓骨の間の大きな間隙に上方にあるから。また「巨」は大腸の意味もあり、腸内に溜まった邪気やお血を、取り除き、気血の流れを良くする作用がある。 |
ST-38 |
条口 |
足三里穴から解谿穴に向かい下5寸に取る。 |
下腿の知覚・運動障害、膝関節障害、腹脹、腹痛、片麻痺、慢性虫垂炎 |
狭く長いことを「条」といい、本穴は上巨虚と下巨虚の間にあり、脛骨と腓骨の間の間隙に、細長い1本の筋が口の形に現れるため。 |
ST-39 |
下巨虚 |
足三里穴から解谿穴に向かい下6寸に取る。 |
下腿の知覚・運動障害、膝関節障害、腹脹、腹痛、下痢、片麻痺、慢性虫垂炎 |
「下」は下部を指す。「巨」は大きい、「虚」は空虚の意味。脛骨と腓骨の間の大きな間隙に下方にあるから。 |
ST-40 |
豊隆 |
外果の上8寸、条口穴の外方に一筋へだてた陥凹部に取る。 |
下腿の知覚・運動障害、片麻痺、腹脹、腹痛、下痢、多量の喀痰、喘息、咳嗽 |
「豊」は豊富、「隆」は盛んの意味。本穴のある場所は、肌肉が豊かに盛り上がっているところにあるために名づけられた。 |
ST-41 |
解渓(解谿) |
足関節前面中央、前脛骨筋腱の外側陥凹部に取る。 |
下腿の知覚・運動障害、片麻痺、足関節障害、頭痛、めまい腹脹、腹痛、下痢 |
窪んだ場所を「谿(渓)」といい、「解」は開放するの意味。本穴は足関節の陥凹部にあり、靴ひもをほどく場所にあるため。胃経の経穴。 |
ST-42 |
衝陽 |
足背にあり、第2・第3中足骨底間の前、陥凹部に取る。 |
足軟無力、足関節障害、片麻痺、歯痛 |
「衝」は動くことで、「陽」は陰陽の陽の意味である。本穴は陽気の動脈拍動部にあるため。 |
ST-43 |
陥谷 |
足背にあり、第2中足指節関節の後、外側陥凹部に取る。 |
足軟無力、足関節障害、片麻痺、歯痛、急・慢性胃腸炎 |
「陥」は陥凹、「谷」は山の谷を指している。本穴は距骨の間隙にあり、腱と腱の隙間にあるので谷と谷のくぼみに似ていることから。 |
ST-44 |
内庭 |
足背にあり、第2中足指節関節の前、外側陥凹部に取る。 |
足軟無力、足関節障害、趾関節障害、片麻痺、歯痛、鼻血、急・慢性胃腸炎 |
「内」=深部、「庭」=居住地。本穴は遠く離れた頭部・心部・腹部などの疾患を治し、主治す作用は表より内や裏にあることから。 |
ST-45 |
厲兌 |
足の第2指外側爪甲根部、爪甲の角を去ること1分に取る。 |
足軟無力、足関節障害、趾関節障害、片麻痺、歯痛、鼻血、急・慢性胃腸炎 |
「厲」は易学で土。土に属する「胃」のことである。「兌」は口の意味。胃は水穀の海といい、飲食は必ず口から行うため、口の疾患を主治とする。 |
[足の陽明胃経] |
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■ 循行(経絡の流れの道筋) |
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■ 経絡症候および主治症 |
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■ 経穴概要 |
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■ 主な経穴とその主治症 |