ST6.頰車(きょうしゃ)

取穴部位:耳垂下端と下顎角の間の陥凹部

筋肉:咬筋

運動神経:下顎神経

知覚神経:下顎神経大耳介神経

血管:浅側頭動脈

 
 ST6)頬車jia2che1)(きょうしゃ)・鬼床gui3chuang2)(きしょう)・機関・曲牙・鬼林・牙車

【取穴】

顔面部、下顎角の前上方1横指(中指)。

下顎角の斜め上方、口を閉じて噛むと咬筋が隆起し、力を抜くと陥凹するところにある。

【名の由来】

「頬車=下顎枝(顎関節)」。本穴が下顎枝中央に位置する事から。

【交会】

・経絡(2):足陽明経-足少陽経

霊枢経脈第十には、足少陽経が「頬車を加えて下る」との記載もある。

【作用】

〔補〕壮筋補虚

〔瀉〕通利牙関・疏風止痛・駆邪散滞・舒筋活絡

【弁証主治】

足陽明経病

躁鬱、不安障害・注意欠陥多動性障害、統合失調症など

足少陽経病

口苦・溜息・脇肋痛・足首痛・皮膚の乾燥など

 

主治・対象疾患

顔面神経麻痺

顔面チック

三叉神経痛

咬筋けいれん

耳下腺炎

頸部リンパ節腫脹

耳鳴り

下歯痛

顎関節痛

開口障害

脳性麻痺

【主症主治】

歯痛・顎関節のこわばり・顔面神経マヒ・三叉神経痛

【配穴】

『十三鬼穴:水溝〔左禾髎~右禾髎の透刺?〕少商〔3分刺入〕隠白〔3分刺入〕太淵(大陵)〔5分刺入〕申脈〔火鍼3分〕風府頬車〔温鍼〕承漿〔左頤孔~右頤孔の透刺?〕労宮(間使)上星会陰曲池〔火鍼〕鬼封〔瀉血〕/精神疾患』〔水溝から順に、症状を見ながら一つ一つ穴を加えていく。後渓を加えると尚良し〕


+承漿新生児の破傷風〔瀉法〕

+顴髎顎関節のこわばり・脱臼

+水溝顔面神経マヒ〔瀉法〕

【症例/検証/個人的見解】

・十三鬼穴の第七穴。精神疾患に著効とされる。

・精神疾患患者は、口周囲の違和感、異感覚を訴えることが多い。脳の機能局在(ボディマップ)の広範囲に口唇の刺激が影響を与えることから考えると、脳疾患の治療ポイントとして有効かと思われる。

・検証:得気は「大迎」の方向へ柔らかく響く感じ。