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鍼灸師(しんきゅうし、英: Practitioner in acupuncture and moxibustion, Acupuncturist and moxa‐cauterizer)は、 はり師ときゅう師の国家資格を所持している者を指す。はり師ときゅう師は別の国家資格であるが、同じ鍼灸師養成施設 で単位を取得し卒業することで両者を受験できる。鍼灸師という名称は、現在の法制度上では存在しない。
はり師(はりし、英: Acupuncturist)は、「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」によるはり師国家試験に合格した者をいい、きゅう師[1](きゅうし、英: Moxibutionist)は、「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」によるきゅう師国家試験に合格した者をいう。
鍼灸は、歴史的には鍼医と呼ばれ、江戸時代から戦後のある時期までは視覚障害者 の業種であったが、現在では、全国的な視覚障害者の減少(盲学校入学者の激減)と相まって、晴眼者が大半である。近年の学校入学者は減少傾向である。その要因の1つとしては、養成学校の学費がトータル500万程度であること、また国家資格試験に合格し、鍼灸師の国家資格を取得して勤務または開業しても、大半の鍼灸師の現状では少ない収入しか得られないことが挙げられる。
鍼灸院が生業として成り立ちにくい要因はいくつかある。
鍼は痛く、灸は熱いと思っている人がまだ多い。(20% 2006年調査)
鍼灸の効果が一般認知されていない。(約半数が名称のみの認知 2006年調査)
鍼
(はり、英: Acupuncture)もしくは鍼治療(はりちりょう)とは、身体の特定の点を刺激するために専用の鍼を生体に刺入または接触する治療法である。中国医学等の古典的な理論に基づいており、中国・日本・韓国でそれぞれ発達した。このうち韓国が特に鍼を重視し、「一鍼二灸三薬」と言われている。中国医学では、経穴を刺激することで経絡として知られる道を通る「気」の流れの異常を正すとされる。科学的調査では「気」、「経絡」、「経穴」、といった中国医学の概念に組織学的あるいは生理学的相互関係は見出されておらず、一部の現代の施術者は中国医学的手法に基づかない鍼療法を使用している。
UNESCOは「伝統中国医学としての鍼灸」(Acupuncture and moxibustion of traditional Chinese medicine)を、2010年11月16日に無形文化遺産に指定した。
現在、日本において鍼を業として行えるのは、医師および国家資格であるはり師の免許を持つ人である。
灸
灸(きゅう、やいと)とは、艾(もぐさ=ヨモギの葉の産毛を陰干し・精製取得したもの)を皮膚上で部位を選択して燃焼させることによって病態に治療的介入をおこなう伝統的な代替医療、民間療法である。中国医学、モンゴル医学、チベット医学などで行われる。もぐさを皮膚に乗せて火を点ける方法が標準とされるが、種々の灸法が存在する(#灸法の種類を参考)。現在では燃焼させる代わりにレーザー光線を利用する例もあるが、一般的とは言えない。
生理的には、経穴(つぼ)と呼ばれる特定の部位に対し温熱刺激を与えることによって生理状態を変化させ、疾病を治癒すると考えられている。同じツボを使用する鍼が急性の疼痛病変に施術されてきたのに対し灸は慢性的な疾患に対して選択されてきた。
セルフケアとして自己施灸もなされ、かつては艾を撚り皮膚上に直に据えるのが主流であったが、今は既に成形された各種の灸製品(例として「せんねん灸」や棒灸など)を用いることが多くなりつつある。これら既製品は、艾の部位と皮膚との間に間隙が作成されており、輻射熱による刺激を行なうため、火傷のあとが付きにくい。現在では美容上の観点から多用されるが、効力としては、古来の直接灸に及ばないとされる。
日本では医師以外の者が灸を業として行う場合は灸師免許が必要である。治療としては、毎日または数日おきに反復して皮膚に微細な火傷を更新していく形となる。きゆう師が施灸ポイントを指示(点灸という)し、患者自身が自分で施灸を行う形が歴史的にも一般的な方法である。