CV12.中脘(ちゅうかん)、太倉(たいそう)
兵法:上脘(じょうかん) 要穴:胃経の募穴、腑会 筋肉:白線 知覚神経:肋間神経前皮枝 血管:肋間動脈、上腹壁動脈 |
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中脘穴
中脘穴(ちゅうかんけつ)は、任脈に所属する12番目の経穴である。足の陽明胃経の募穴、腑会である。武道・武術では上脘穴という。 部位 神闕穴の上4寸にある。 筋肉・神経・血管 名前の由来 中は胃の中央、脘は胃腑すなわち体内の空洞(胃)を意味することから名づけられた。 効能 一切の胃疾患、胃脘痛、腹脹、嘔吐、しゃっくり、一定時間立つと吐く、呑酸、食欲不振、消化不良、小児の消化不良、膨張、黄疸、腸鳴、泄痢、便秘、血便、脇下堅痛、虚労吐血、哮喘、頭痛、不眠、驚きやすく動悸がある、下腹部から心窩部へ気が突き上げる、ヒステリーの一種で腹腔に何か激しく動くものが感じられる、うつ病で精神錯乱、てんかん、仮死状態、小児のひきつけなどに効果がある。 |
春から夏にかけて陽気がよくなるにつれ体調を崩す方がいます。外界の「陽気」が増す春と夏を乗り切るには、実はそれに対応した量の「陽気」が人間にも必要なのです。そこで十分な陽気がからだに供給できない時、さまざまな症状が現れます。
例えば春になって気分がすぐれず、うつ状態になってやる気が出ない、新入生の五月病など精神的に不安定になりやすいのもこの時期です。 中でもストレス太りは、陽気不足を精神的ストレスが追い撃ちをかけた状態です。精神的ストレスから胃痛、便秘、下痢を起こしやすい人に多いのですが、ストレス解消のためにやけ食いをしたり、甘い物や脂肪分の多い物を好む傾向があります。しかし原因は、気というエネルギーが不足または滞っている状態にあるのです。これは胃に入った食物が十分に消化吸収されず、からだが欲している「陽気」がしっかり作られていないからです。ストレスに対応するために、さらに陽気が必要となるので、陽気を求めて食べ物に手が伸びることになります。 そのような時は、みぞおちとへそを結んだ線の中間点にある「中脘(ちゅうかん)」というツボを押してみましょう。食べ物に走る前にまず胃の調子を整えることです。軽く3秒程度、満腹時を避けて1日3回程度、特に不眠症の方は就寝前に5秒程度ゆっくり押すとよいでしょう。 夏バテも同様です。「中脘」を押すことで消化吸収の力を上げて食欲が出るように試みることが大切です。夏風邪も「陽気」がしっかりからだの表面まで行き届いていれば予防できます。 夏は春よりも「陽気」を必要とするうえ、ビール、ジュースと冷たい物で胃腸の調子を崩しがちです。「中脘」を押して暑い夏を乗り切りましょう。 |
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CV12)中脘(zhong1wan3)(ちゅうかん)・太倉・中管・胃募・上紀
【取穴】上腹部、前正中線上、臍中央の上方四寸。 ・筋肉:白線 ・知覚神経:肋間神経前皮枝 ・血管:肋間動脈、上腹壁動脈 【名の由来】「脘=胃」。本穴が胃の中央に位置する事から。 【要穴】『胃募穴』 『八会穴:腑会』 『根結:足太陰之結』 『前三関』 ※気功用語。小周天功における重要な関所の一つ。関元・中脘・膻中とする説と、関元・膻中・印堂とする説あり。 【交会】・経絡(4~6):任脈-手太陽経-手少陽経-足陽明経(-手太陰経-足厥陰経) ※”中焦”を中脘と同義とするなら、足厥陰経-手太陰経とも交会する事となるが… 【作用】〔補〕補中健胃・温陽益胃・暖胃散寒 〔瀉〕和胃導滞・去痰消積・暖胃遂邪・腑気温通・清胃散邪 【弁証主治】◆胃病/血病/腑病全般 ※疳証・腹痛、腹張、腹水などの消化器症状・黄疸・脈浮緩・07:00~09:00あるいは19:00~21:00の異常など ◆任脈病 泌尿器、婦人科疾患 〔灸300壮〕・下腹部のしこり、※伏梁、※奔豚、※痃癖・痔・糖尿病など ◆手太陽経病 悪寒発熱・リンパ節腫・項頚部痛・肩痛・上肢の痛み、ひきつれ、マヒ、火照りなど
◆手少陽経病 多汗・耳鳴、急性の強い難聴・歯痛・喉痛・胸脇痛など
◆足陽明経病 躁鬱、不安障害・注意欠陥多動性障害、統合失調症など
◆手太陰経病 呼吸器の虚弱・咳嗽、喘息・自律神経失調・鎖骨窩痛・肘痛・両手を交えてもだえるなど ◆足厥陰経病 性欲の異常・更年期障害など ◆足太陰経筋病 脇腹~臍の引きつれ・下腹部~陰部のひきつれと鋭い痛み・股関節痛・陰部痛・下腿内側痛・内踝痛・足母指痛・腰痛、背深部の痛みなど 【弁証配穴】『郄会配穴(腑):中脘+温溜・筑賓』…腑病 『兪募配穴(胃):中脘+胃兪』…胃病 『募合配穴(胃):中脘+足三里』…食積胃脘証・胃寒証 『原募配穴(足陽明経):衝陽+中脘』…足陽明経病 【主症配穴】『回陽九針穴法:瘂門⇒労宮⇒三陰交⇒湧泉⇒太渓⇒中脘⇒環跳⇒足三里⇒合谷/蘇生法?』 +大椎…※霍乱 +腰兪…発熱〔瀉法〕 +心兪〔灸〕…不安障害 +頭維…前頭部痛 +肺兪…慢性の咳嗽〔喀痰が多い時には+豊隆〕 +上脘…心痛・脾痛 +腕骨…黄疸 〔中脘は金鍼〕 +豊隆…蕁麻疹〔瀉法〕 【私見】・古典には「和して之を消す」とある。三脘の中でも胃の機能そのものを高める。 ・和漢三才図会に「妊婦禁灸」とある。要注意。 ・中国では、『回陽九針穴』を順番に取穴していくと、一時的な蘇生効果があるともいわれる。 ・足陰経における根結では、『結』は任脈上の中脘(足太陰)、玉堂(足厥陰)、廉泉(足少陰)とされている。足陽経同様、経筋と絡めて考えると、この3点は、各経筋の動作上の軸と関わるのではないだろうか?
※疳証…慢性的な疾患によって痩せ衰え、津液が枯渇するもの。古代小児四大証(痘・麻・驚・疳)の一つ。顔色が黄色く肌に艶がない・毛髪が焦げたように細い・腹大静脈怒張・精神衰弱など。 ※心積伏梁…五積之一。臍上から心窩部にかけて大きなしこりが在り、慢性化する。顔が赤い・喉が渇き、唾に血が混じる・動悸・胸苦しさ・お腹の中の熱感・掌のほてり・脈沈芤。悪化すると痙攣をおこすことも。 ※腎積奔豚…五積之一。脇腹にしこりが出来、このしこりが時々胸を衝き上げるようで苦しい・腹痛・往来寒熱・骨萎・息切れなど。 ※痃癖…脇肋部にある癖塊。痃:臍の両側が筋張り盛り上がっているもの。痛みは無い事もある。癖:両脇にあり、痛む時だけ触知できるもの。 ※霍乱…熱中症に類する。突発性のひどい嘔吐と下痢、胃の気持ち悪さ。寒・熱・乾・湿の区別があり、筋肉の痙攣(特に腹筋・腓腹筋)を生じることもある。コレラや細菌性食中毒も該当。 主治・対象疾患
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