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見出し経穴学考察

SI 手の太陽小腸経

手の太陽小腸経

手の太陽小腸経(てのたいようしょうちょうけい、中国語 手太陽小腸經 shoú tàiyang xíaochángjīng:The Small Intestine Meridian of Hand-TaiyangもしくはShoutaiyang Xiaochangjingxue)とは小腸経に属する手を流れる陽経の経絡である。心臓小腸は共に中国の五行(木、火、土、金、水)でいうと火(君火)に属するため密接な関係を持つ。流注によると小腸はもとより、鼻や耳のまわりを取り囲んでいるため鼻づまりなどの病気にこの小腸経の経穴を使うこともある。小腸経の募穴関元穴任脈)。

太陽小腸経病  

症状

主に下顎部が腫れ首が回らない、肩部痛、上臂痛、難聴、目黄、頬部の腫れ、頚・顎・肘・上肢外側後方部痛などが起こるとされている。

治療

鍼灸における治療については「手の太陽小腸経」を参照

手太陽小腸経病(てたいようしょうちょうけいびょう)とは正経の一つである手の太陽小腸経の病である。  

症状
主に下顎部が腫れ首が回らない、肩部痛、上臂痛、難聴、目黄、頬部の腫れ、頚・顎・肘・上肢外側後方部痛などが起こるとされている。

国際表記はSIと表記する。

目次

1流注(経絡の流れの道筋)

2手の太陽小腸経に所属する経穴の一覧

2.1SI1.少沢(しょうたく)

2.2SI2.前谷(ぜんこく)

2.3SI3.後谿(こうけい)

2.4SI4.腕骨(わんこつ)

2.5SI5.陽谷(ようこく)

2.6SI6.養老(ようろう)

2.7SI7.支正(しせい)

2.8SI8.小海(しょうかい)

2.9SI9.肩貞(けんてい)

2.10SI10.臑兪(じ

2.11SI11.天宗(てんそう)

2.12SI12.秉風(へいふう)

2.13SI13.曲垣(きょくえん)

2.14SI14.肩外兪(けんがいゆ)

2.15SI15.肩中兪(けんちゅうゆ)

2.16SI16.天窓(てんそう)

2.17SI17.天容(てんよう)

2.18SI18.顴髎(けんりょう)

2.19SI19.聴宮(ちょうきゅう)

流注(経絡の流れの道筋)

小指末端(少沢穴)に起こり、手の尺側(前谷穴、後谿穴)を循り、手関節を経て前腕尺側を上行して肘関節(小海穴)に至り、上腕後内側より肩の後から肩甲を循り大椎穴で左右が交わる。ついで缺盆穴に入り心を絡い、横隔膜を下り、胃に抵り、小腸に属す。

その支なるものは缺盆穴から別れて頚を循り、頬に上り外眼角(瞳子髎)から耳中に入る。またその支なるものは、頬から別れて鼻から内眼角(睛明穴)に行き、足の太陽膀胱経に連なる。

手の太陽小腸経に所属する経穴の一覧

以下に出てくる寸、分などの尺は骨度法同身寸法参照。

SI1.少沢(しょうたく)

取穴部位:小指尺側爪甲根部、爪甲の角を去ること1

要穴:井金穴

知覚神経:尺骨神経浅枝

血管:背側手根枝(尺骨動脈)の枝

SI2.前谷(ぜんこく)

取穴部位:手を握り第5中手指節関節の下、尺側の陥凹部

要穴:滎水穴

知覚神経:尺骨神経浅枝

血管:背側手根枝(尺骨動脈)の枝

SI3.後谿(こうけい)

兵法:後絡(こうらく)

取穴部位:第5中手指節関節の上、尺側の陥凹部、手を握ってできる横紋の端

要穴:兪木穴

筋肉:小指外転

運動神経:尺骨神経

知覚神経:尺骨神経浅枝

血管:背側手根枝(尺骨動脈)の枝

SI4.腕骨(わんこつ)

取穴部位:手背尺側にあり、第5中手骨底と三角骨の間の陥凹部

要穴:原穴

筋肉:小指外転筋

運動神経:尺骨神経

知覚神経:尺骨神経浅枝

血管:背側手根枝(尺骨動脈)の枝

SI5.陽谷(ようこく)

取穴部位:手関節後面にあり、尺骨茎状突起の前下際の陥凹部

要穴:経火穴

筋肉:伸筋支帯、尺側手根伸筋

運動神経:橈骨神経

知覚神経:尺骨神経浅枝

血管:背側手根枝(尺骨動脈)

SI6.養老(ようろう)

取穴部位:陽谷穴の上1寸、尺骨茎状突起の隆起中央の割れ目、手掌を胸にあて尺側頭の橈側縁の陥凹部、尺骨茎状突起と尺側手根伸筋の間

要穴:郄穴

筋肉:尺側手根伸筋

運動神経:橈骨神経

知覚神経:尺骨神経浅枝

血管:背側手根枝(尺骨動脈)

SI7.支正(しせい)

取穴部位:手を胸に当てて陽谷から小海に向かい上5寸、尺骨後面のほぼ中央

要穴:絡穴

筋肉:尺側手根伸筋尺側手根屈筋

運動神経:橈骨神経尺骨神経

知覚神経:内側前腕皮神経

血管:尺骨動脈の枝、後骨間動脈の枝

SI8.小海(しょうかい)

取穴部位:上腕骨内側上顆と肘頭の間、陥凹部、肘を半ば屈曲して取る、尺骨神経

要穴:合土穴

筋肉:尺側手根屈筋

運動神経:尺骨神経

知覚神経:内側前腕皮神経

血管:尺側反回動脈尺側側副動脈

SI9.肩貞(けんてい)

取穴部位:上腕を腋につけた時、腋窩横紋の後端から上1

禁灸穴

筋肉:小円筋大円筋三角筋

運動神経:腋窩神経肩甲下神経

知覚神経:上外側上腕皮神経

血管:後上腕回旋動脈肩甲上動脈肩甲回旋動脈

SI10.臑兪(じゅゆ)

取穴部位:腋窩横紋後端の上方で、肩甲棘外端の下際陥凹部、肩甲棘外端は、肩甲棘から肩峰への移行部

筋肉:三角筋棘下筋

運動神経:腋窩神経肩甲上神経

知覚神経:上外側上腕皮神経鎖骨上神経

血管:後上腕回旋動脈肩甲上動脈

 SI11.天宗(てんそう)

取穴部位:棘下窩の中央

筋肉:棘下筋

運動神経:肩甲上神経

知覚神経:肋間神経外側皮枝、胸神経後枝

血管:肩甲上動脈肩甲回旋動脈

SI12.秉風(へいふう)

取穴部位:肩甲棘のほぼ中央上際

筋肉:棘上筋僧帽筋

運動神経:肩甲上神経副神経頚神経叢筋枝

知覚神経:胸神経後枝

血管:肩甲上動脈

SI13.(きょくえん)

取穴部位:肩甲棘内端の上際で、棘上窩

筋肉:棘上筋僧帽筋

運動神経:肩甲上神経副神経頚神経叢筋枝

知覚神経:胸神経後枝

血管:頚横動脈

SI14.肩外兪(けんがいゆ)

取穴部位:第1・第2胸椎棘突起間(陶道穴)の外方3寸、肩甲骨内上角の骨際

筋肉:僧帽筋肩甲挙筋

運動神経:副神経頚神経叢筋枝、肩甲背神経

知覚神経:胸神経後枝

血管:頚横動脈

SI15.肩中兪(けんちゅうゆ)

取穴部位:第7頚椎と第1胸椎棘突起間(大椎穴)の外方2

筋肉:僧帽筋肩甲挙筋

運動神経:副神経頚神経叢筋枝、肩甲背神経

知覚神経:頚神後枝、胸神経後枝

血管:頚横動脈

SI16.天窓(てんそう

取穴部位:下顎骨の後下方、胸鎖乳突筋の前縁で、扶突穴と天容穴のほぼ中央、扶突穴の後方で胸鎖乳突筋の後縁

筋肉:広頚筋胸鎖乳突筋

運動神経:顔面神経副神経頚神経叢筋枝

知覚神経:頚横神経

血管:外頚動脈

SI17.天容(てんよう)

取穴部位:側頚部で下顎角の後方、胸鎖乳突筋の前縁

筋肉:胸鎖乳突筋顎二腹筋後腹

運動神経:副神経頚神経叢筋枝、顔面神経

知覚神経:大耳介神経頚横神経

血管:外頚動脈

SI18.顴髎(けんりょう)

取穴部位:外眼角の直下で頬骨の下縁、陥凹部

筋肉:大頬骨筋

運動神経:顔面神経

知覚神経:上顎神経

血管:顔面動脈の枝

SI19.聴宮(ちょうきゅう)

取穴部位:耳珠中央の前、陥凹部、顎関節突起の後縁、浅側頭動脈拍動部

知覚神経:耳介側頭神経

血管:浅側頭動脈

関連項目

手の太陽小腸経

https://www.ou-hari.com/png/syotouke.gif

WHO
表記

ツボ名

場所

こんな時に使う

ツボの由来

SI-1

少沢
しょうたく

小指尺側爪甲根部、爪甲の角を去ること1分に取る。

小指麻痺、咽喉炎、耳鳴、頭痛、失神

「少」は小と同意で小腸経であり、小腸経の最初の経穴のため、気血が潤沢にあるという意味。

SI-2

前谷
ぜんこつ

第5中指節関節の下、尺側陥凹部に取る。

尺骨神経麻痺、発熱、咽喉炎、耳鳴、頭痛

「前」は前方で、第5中手指節関節の前方。「谷」は谷あいで、骨と肉にはさまれた陥凹部のこと。小腸経の榮穴。

SI-3

後渓(後谿)
こうけい

第5中指節関節の上、尺側陥凹部、手を握ってできる横紋の端に取る。

頭痛、項強、肩こり、尺骨神経麻痺、腰痛、寝違え

中手指節関節のの後方を意味し、拳を握った時にできる尺側横紋の溝を「渓(谿)」ようなため。小腸経の兪穴で、督脈との交会穴。

SI-4

腕骨
わんこつ

手背尺側にあり、第5中手骨底と三角骨の間の陥凹部に取る。

尺骨神経麻痺、手関節障害、片麻痺、頭痛、発熱

腕骨(=豆状骨)のところにあるから。

SI-5

陽谷
ようこく

手関節後面にあり、尺骨茎状突起の下際陥凹部に取る。

尺骨神経麻痺、手関節障害、片麻痺、咽喉炎、頭痛、耳鳴、歯痛

「陽」は陰陽の陽の意味で、「谷」は陥凹。尺骨頭と三角骨の間の陥凹部にあり、形が谷のようであることから名づけられた。

SI-6

養老
ようろう

陽谷穴の上1寸で、尺骨茎状突起と尺骨頭の頭の陥凹部に取る。

頚腕障害、ギックリ腰、手関節障害、寝違え、頭痛、片麻痺

「養」は有益の意味で、老化からくる病(眼疾患や関節痛など)に対して有効であることから名づけられた。小腸経の?穴。

SI-7

支正
しせい

手を胸にあて、陽谷と小海とを結ぶ線の中点の下方1寸(親指1横指分)に取る。

尺骨神経麻痺、肘関節障害、頭痛、肩こり、めまい、耳鳴

「支」は経脈の分支の意味。「正」な主体という意味。小腸経は本穴から絡脈の分支が出て心経に連絡するため。

SI-8

小海
しょうかい

肘関節を軽く屈曲し、尺骨神経溝中に取る。

尺骨神経麻痺、肘関節障害、頭痛、めまい、耳鳴

「小」は小腸経の意味。肘を屈曲した陥凹部(=海)にに取るため。また、合水穴のため、川から来た水(=経気)がここで、海に合流するという意味もある。

SI-9

肩貞
けんてい

腋窩横紋の後端から上1寸に取る。

肩関節障害、頚腕障害、肩甲痛、片麻痺

「貞」は正しい、「肩」は肩部のこと。腕を上げ下げしても正しい場所にあるため。

SI-10

臑兪
じゅゆ

腋窩横紋後端の上方で、肩甲棘外端の下際陥凹部に取る。

肩関節障害、頚腕障害、肩甲痛、片麻痺

「臑」=上腕部の肌肉が豊富で骨に付着していないところ。「兪」は気が出入りする兪穴のような役目をするため。本穴は内外の気を通すため。小腸経・陽維脈・陽矯脈の交会穴。

SI-11

天宗
てんそう

棘下窩のほぼ中央に取る。

肩甲痛、肩こり、肩関節障害、上肢の知覚・運動障害

「天」は上部。「宗」は中心。集まる。肩甲骨の中心にあることから名づけられた。

SI-12

秉風
へいふう

肩甲棘のほぼ中央上際に取る。

肩こり、肩関節障害、肩背痛

「秉」は受けとる。「風」は風邪を指す。風邪が原因で起こる肩甲骨周囲の筋肉痛の要穴。

SI-13

曲垣
きょくえん

肩甲棘内端の上際で、棘上窩に取る。

肩こり、肩関節障害、肩背痛

「曲」は彎曲したさまを、「垣」は低い塀を指す。肩甲棘上方にあり、肩甲棘の形が彎曲した低い塀のようであるため。

SI-14

肩外兪
けんがいゆ

第1・第2胸椎棘突起間の外3寸、肩甲骨上角の骨際に取る。

肩こり、項強、肩背痛

「肩外」とは肩甲骨外側を示しており、「兪」は気が出入りすること。本穴は肩甲骨外側上縁にあるため。

SI-15

肩中兪
けんちゅうゆ

第7頚椎と第1胸椎棘突起間の外2寸に取る。

肩こり、項強、肩背痛

「肩は肩部、「中」は肩井・大椎2穴をつないだ中間の意味。

SI-16

天窓
てんそう

下顎骨の後下方、胸鎖乳突筋の前縁で、扶突穴と天容穴のほぼ中央に取る。

頚項強、寝違え、咽喉腫脹、嗄声、舌下筋群麻痺、頚部リンパ節腫脹、耳鳴

「天」は頭を指し、「窓」を穴とし、頭部にある七つの竅(耳・眼・鼻・口)指す。七竅の疾患を治すため。窓を開け気の通りを良くする穴ということから。

SI-17

天容
てんよう

下顎角の後ろで、胸鎖乳突筋の前縁に取る。

頚項強、寝違え、咽喉腫脹、嗄声、舌下筋群麻痺、頚部リンパ節腫脹、耳鳴

「天」=頭部、「容」=引き入れる・受け入れる。容貌の意味。頭頚部の疾患に有効なため。

SI-18

顴リョウ
けんりょう

外眼角の直下で頬骨の下縁、陥凹部に取る。

顔面神経麻痺、三叉神経痛、咬筋痙攣、歯痛

「顴」は顔面部の顴骨(頬骨)。「リョウ」は骨のくぼみのこと。頬骨中央下の陥凹部にあるため。

SI-19

聴宮
ちょうきゅう

耳珠中央の前、陥凹部、顎関節後縁に取る。

耳の諸疾患、下顎関節障害

「宮」は要所・重要な場所のこと。耳鳴り・難聴の治療の要穴であるため。小腸経・三焦経・胆経の交会穴。