SI17.天容(てんよう)

取穴部位:側頚部で下顎角の後方、胸鎖乳突筋の前縁

筋肉:胸鎖乳突筋顎二腹筋後腹

運動神経:副神経頚神経叢筋枝、顔面神経

知覚神経:大耳介神経頚横神経

血管:外頚動

SI17.天容(てんよう)  

 下顎角の後ろで、胸鎖乳突筋の前縁に取る。

解剖学的データ

筋肉

胸鎖乳突筋

胸骨と鎖骨から起こり、側頭骨の乳様突起に停止する筋肉。第11脳神経の副神経によって支配されており、首を前方に曲げる、回転させるといった働きを持つ。

顎二腹筋後腹

側頭骨の乳様突起から起こり、下顎骨の内側に停止する筋肉を顎二腹筋といい、舌骨上の中間介在腱を境目として、前方を前腹、後方を後腹と呼んでいる。

運動神経

副神経

第11脳神経とも呼ばれており、大後頭孔から頭蓋を出て、同側の胸鎖乳突筋と僧帽筋を支配する神経。

頚神経叢‐筋枝

第1~4頸神経前枝が集まったものを頸神経叢といい、そのうち頸部の筋肉を支配するために出ている神経の枝を筋枝と呼ぶ。

顔面神経‐顎二腹筋枝

第7脳神経の一つで、顔面神経管から皮膚表面に出てきて顔面全体に分岐していく神経。表情筋の運動や唾液の分泌、味覚などに関与する。顔面神経からは、味覚などを司る鼓索神経、涙液や鼻水の分泌に関わる大錐体神経、アブミ骨筋を支配するアブミ骨筋神経、顎二腹筋(後腹)を支配する顎二腹筋枝、茎突舌筋を支配する茎突舌筋枝、後頭筋・後耳介筋・上耳介筋・側頭頭頂筋などを支配する後耳介神経などが分岐し、その後に耳下腺神経叢を作る。耳下腺神経叢は更に頸枝・下顎縁枝・頬筋枝・頬骨枝・側頭枝に分かれ、頸枝は広頸筋の支配と頚部の知覚、下顎縁枝は広頸筋・口角下制筋・下唇下制筋・オトガイ筋の支配、頬筋枝は口角下制筋・口輪筋の支配、頬骨枝は上唇挙筋・上唇鼻翼挙筋・鼻根筋・鼻筋・口輪筋・小頬骨筋・大頬骨筋などの支配、側頭枝は眼輪筋・前頭筋・皺眉筋・上耳介筋・前耳介筋・側頭頭頂筋などの支配を司っている。

知覚神経

大耳介神経‐前枝

頸神経叢の第2~3頸神経前枝からなる神経で、耳の前(耳下腺)辺りの皮膚の知覚を司る前枝と、耳の後ろ辺りの知覚を司る後枝に分かれる。

頚横神経

頸神経叢(第3頸神経前枝)から起こり、胸鎖乳突筋の中央部の後縁を回って前頚部と側頸部の皮膚の知覚を司る神経。頸横神経は胸鎖乳突筋部を越えると上枝と下枝に分かれ、上枝は舌骨上部へ、下枝は舌骨下部へ向かう。

血管

外頚動脈

総頸動脈から分岐し、頸部や頭部へ向かう主要な動脈の一つ。後に浅側頭動脈や顎動脈などが枝分かれする。

 主治・対象疾患

後頸部のこわばり

寝違え

咽喉炎(のどの腫れ・痛み)

嗄声(声のかれ)

舌骨下筋群麻痺

扁桃炎

頸部リンパ節腫脹

耳鳴り

耳下腺炎

中耳炎

下歯痛

偏頭痛