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見出し経穴学考察

足の陽明胃経

足の陽明胃経

足の陽明胃経(あしのようめいいけい、中国語 足陽明胃經 zú yángmíng wèijīng:The Stomach Meridian of Foot-YangmingもしくはZu Yangming Weijing)とは経に属する足を流れる陽経の経絡である。は共に中国の五行(木、火、土、金、水)でいうと土に属するため密接な関係を持つ。また、流注によると胃はもとより、大腸や小腸のまわりを取り囲んでいるため腹痛にこの胃経の経穴を使うこともある。胃経の募穴中脘穴任脈)。

国際表記はSTと表記する。

症状

主に発熱、鼻痛、鼻血、上歯痛、頚部の腫脹、膝蓋脹痛、乳房部痛、気街・股・大腿下腿前外側・足背痛などが起こるとされている。

目次

o    2.1ST1.承泣(しょうきゅう)

o    2.2ST2.四白(しはく)

o    2.3ST3.巨髎(こりょう)

o    2.4ST4.地倉(ちそう)

o    2.5ST5.大迎(だいげい)

o    2.6ST6.頰車(きょうしゃ)

o    2.7ST7.下関(げかん)

o    2.8ST8.頭維(ずい)

o    2.9ST9.人迎(じんげい)

o    2.10ST10.水突(すいとつ)

o    2.11ST11.気舎(きしゃ)

o    2.12ST12.缺盆(けつぼん)

o    2.13ST13.気戸(きこ)

o    2.14ST14.庫房(こぼう)

o    2.15ST15.屋翳(おくえい)

o    2.16ST16.膺窓(ようそう)

o    2.17ST17.乳中(にゅうちゅう)

o    2.18ST18.乳根(にゅうこん)

o    2.19ST19.不容(ふよう)

o    2.20ST20.承滿(しょうまん)

o    2.21ST21.梁門(りょうもん)

o    2.22ST22.関門(かんもん)

o    2.23ST23.太乙(たいいつ)

o    2.24ST24.滑肉門(かつにくもん)

o    2.25ST25.天枢(てんすう)

o    2.26ST26.外陵(がいりょう)

o    2.27ST27.大巨(だいこ)

o    2.28ST28.水道(すいどう)

o    2.29ST29.帰来(きらい)

o    2.30ST30.気衝(きしょう)

o    2.31ST31.髀関(ひかん)

o    2.32ST32.伏兔(ふくと)

o    2.33ST33.陰市(いんし)

o    2.34ST34.梁丘(りょうきゅう)

o    2.35ST35.犢鼻(とくび)

o    2.36ST36.足三里(あしのさんり)

o    2.37ST37.上巨虚(じょうこきょ)

o    2.38ST38.條口(じょうこう)

o    2.39ST39.下巨虚(げこきょ)

o    2.40ST40.豊隆(ほうりゅう)

o    2.41ST41.解谿(かいけい)

o    2.42ST42.衝陽(しょうよう)

o    2.43ST43.陥谷(かんこく)

o    2.44ST44.内庭(ないてい)

o    2.45ST45.厲兌(れいだ)

 

 

流注

鼻根に起こり下って鼻の外(承泣穴、四白穴、巨髎穴)を循り、上歯の中に入り、還り出て唇を循り、下って承漿穴で左右が交わる。ついで下顎下縁を循り大迎穴から頬車穴を循り、耳前に上り客主人穴を過ぎ、側頭髪際を循り額顱に至る。その支なるものは、大迎穴の前より人迎穴に下り、喉嚨を循り缺盆穴に入り、膈を下って胃に属し脾を絡う。

その直行するものは、缺盆穴より乳の内廉に下り、下って臍を挾み気衝穴に入る。気衝穴から大腿前外側を下り、膝関節を循り、下腿前外側を下り、足の第2指外端に終わる。

その支なるものは、胃口の下に起こり、腹中を循り下って気衝穴に合す。

その支なるものは三里穴の下方から分れ、下腿外側(胃経と胆経の間)を下り豊隆穴を経て足の第3指に行く。

その支なるものは、衝陽穴から別れて第1指に至り、足の太陰脾経に連なる。

足の陽明胃経に所属する経穴の一覧

以下に出てくる寸、分などの尺は骨度法同身寸法参照。

ST1.承泣(しょうきゅう)

取穴部位:瞳孔の下7分、眼窩下縁の中央

禁鍼穴

筋肉:眼輪筋

運動神経:顔面神経

知覚神経:上顎神経

血管:眼窩下動脈

  ST2.四白(しはく)

取穴部位:瞳孔の下1寸、眼窩下孔部

筋肉:眼輪筋

運動神経:顔面神経

知覚神経:上顎神経

血管:眼窩下動脈

ST3.巨髎(こりょう)

取穴部位:鼻孔の外8分、瞳孔線上

筋肉:小頬骨筋上唇挙筋

運動神経:顔面神経

知覚神経:上顎神経

血管:眼窩下動脈顔面動脈の枝

ST4.地倉(ちそう)

取穴部位:口角の外4

筋肉:口輪筋

運動神経:顔面神経

知覚神経:上顎神経下顎神経

血管:顔面動脈

ST5.大迎(だいげい)

取穴部位:下顎角の前13分、顔面動脈拍動部

筋肉:広頚筋咬筋

運動神経:顔面神経下顎神経

知覚神経:下顎神経

血管:顔面動脈

ST6.頰車(きょうしゃ)

取穴部位:耳垂下端と下顎角の間の陥凹部

筋肉:咬筋

運動神経:下顎神経

知覚神経:下顎神経大耳介神経

血管:浅側頭動脈

ST7.下関(げかん)

取穴部位:頬骨弓中央の下際陥凹部

禁灸穴

筋肉:咬筋外側翼突筋

運動神経:下顎神経

知覚神経:下顎神経

血管:顔面横動脈

ST8.頭維(ずい)

取穴部位:顎角髪際、神庭穴の外45

禁灸穴

筋肉:前頭筋

運動神経:顔面神経

知覚神経:眼神経上顎神経下顎神経

血管:浅側頭動脈

ST9.人迎(じんげい)

取穴部位:喉頭隆起(扶突穴)の外方15分、総頚動脈拍動部

禁灸穴

筋肉:広頚筋

運動神経:顔面神経

知覚神経:頚横神経

血管:総頚動脈

 

ST10.水突(すいとつ

取穴部位:人迎穴と気舎穴の中央

筋肉:広頚筋胸鎖乳突筋

運動神経:顔面神経副神経頚神経叢筋枝

知覚神経:頚横神経

血管:総頚動脈

 ST11.気舎(きしゃ)

取穴部位:小鎖骨上窩中央 頸部

筋肉:広頚筋胸鎖乳突

運動神経:顔面神経副神経頚神経叢筋枝

知覚神経:鎖骨上神経

血管:総頚動脈

 

ST12.缺盆(けつぼん)

取穴部位:大鎖骨上窩、鎖骨上際陥凹部、乳頭線上 頸部

禁鍼穴

筋肉:広頚筋中斜角筋

運動神経:顔面神経頚神経前枝

知覚神経:鎖骨上神経

血管:鎖骨下動脈

 

ST13.気戸(きこ)

取穴部位:鎖骨下際、前正中線の外4寸、乳頭線上 胸部

筋肉:大胸筋鎖骨下筋

運動神経:胸筋神経鎖骨下筋神経

知覚神経:鎖骨上神経肋間神経前皮枝

血管:鎖骨下動脈

ST14.庫房(こぼう)

取穴部位:第2肋骨上際、乳頭線上、第1肋間で正中線から外方4

筋肉:大胸筋小胸筋

運動神経:胸筋神経

知覚神経:鎖骨上神経肋間神経前皮枝

血管:胸肩峰動脈胸筋枝外側胸動脈肋間動脈

ST15.屋翳(おくえい)

取穴部位:第2肋間で正中線から外方4寸、乳頭線上

筋肉:大胸筋小胸筋

運動神経:胸筋神経

知覚神経:肋間神経前皮枝および肋間神経外側皮枝

血管:胸肩峰動脈胸筋枝外側胸動脈肋間動脈

ST16.膺窓(ようそう)

取穴部位:第3肋間で正中線から外方4寸、乳頭線上

筋肉:大胸筋小胸筋

運動神経:胸筋神経

知覚神経:肋間神経前皮枝および肋間神経外側皮枝

血管:胸肩峰動脈胸筋枝外側胸動脈肋間動脈

ST17.乳中(にゅうちゅう)

取穴部位:乳頭の中央、第4肋間で正中線から外方4

禁鍼穴

禁灸穴

筋肉:大胸筋小胸筋

運動神経:胸筋神経

知覚神経:肋間神経前皮枝および肋間神経外側皮枝

血管:胸肩峰動脈胸筋枝外側胸動脈肋間動脈

ST18.乳根(にゅうこん)

取穴部位:第5肋間で正中線から外方4寸、乳頭線上

筋肉:大胸筋

運動神経:胸筋神経

知覚神経:肋間神経前皮枝および肋間神経外側皮枝

血管:胸肩峰動脈胸筋枝外側胸動脈肋間動脈

ST19.不容(ふよう)

取穴部位:天枢穴の上6寸、巨闕穴の外2寸、神闕穴の高さより上6寸で正中線から外方2寸、第8肋軟骨付着部下際 上腹部

筋肉:腹直筋

運動神経:肋間神経

知覚神経:肋間神経前皮枝

血管:肋間動脈上腹壁動脈

ST20.承滿(しょうまん)

取穴部位:天枢穴の上5寸、上脘穴の外2寸、神闕穴の高さより上5寸で正中線から外方2

筋肉:腹直筋

運動神経:肋間神経

知覚神経:肋間神経前皮枝

血管:肋間動脈上腹壁動脈

 

ST21.( ST21 )『梁門』りょうもん足の陽明胃経 うもん)

取穴部位:天枢穴の上4寸、中脘穴の外2寸、神闕穴の高さより上4寸で正中線から外方2

筋肉:腹直筋

運動神経:肋間神経

知覚神経:肋間神経前皮枝

血管:肋間動脈上腹壁動脈

  

ST22.関門(かんもん)

取穴部位:天枢穴の上3寸、建里穴の外2寸、神闕穴の高さより上3寸で正中線から外方2

筋肉:腹直筋

運動神経:肋間神経

知覚神経:肋間神経前皮枝

血管:肋間動脈上腹壁動脈下腹壁動脈

ST23.太乙(たいいつ)

取穴部位:天枢穴の上2寸、下脘穴の外2寸、神闕穴の高さより上2寸で正中線から外方2

筋肉:腹直筋

運動神経:肋間神経

知覚神経:肋間神経前皮枝

血管:肋間動脈上腹壁動脈下腹壁動脈

ST24.滑肉門(かつにくもん)

取穴部位:天枢穴の上1寸、水分穴の外2寸、神闕穴の高さより上1寸で正中線から外方2

筋肉:腹直筋

運動神経:肋間神経

知覚神経:肋間神経前皮枝

血管:肋間動脈上腹壁動脈下腹壁動脈

 

ST25.天枢(てんすう)

取穴部位:臍の外2

要穴:大腸経の募穴

筋肉:腹直筋

運動神経:肋間神経

知覚神経:肋間神経前皮枝

血管:浅腹壁動脈下腹壁動脈

ST26.外陵(がいりょう)

取穴部位:天枢穴の下1寸、陰交穴の外2寸、神闕穴の高さより下1寸で正中線から外方2

筋肉:腹直筋

運動神経:肋間神経

知覚神経:肋間神経前皮枝

血管:浅腹壁動脈下腹壁動脈

 ST27.大巨(だいこ)

取穴部位:天枢穴の下2寸、石門穴の外2寸、神闕穴の高さより下2寸で正中線から外方2

筋肉:腹直筋

運動神経:肋間神経

知覚神経:肋間神経前皮枝

血管:浅腹壁動脈下腹壁動脈

 

ST28.水道(すいどう)

取穴部位:天枢穴の下3寸、関元穴の外2寸、神闕穴の高さより下3寸で正中線から外方2

筋肉:腹直筋

運動神経:肋間神経

知覚神経:肋間神経前皮枝腸骨下腹神経前皮枝

血管:浅腹壁動脈下腹壁動脈

  

ST29.帰来(きらい)

取穴部位:天枢穴の下4寸、中極穴の外2寸、神闕穴の高さより下4寸で正中線から外方2

筋肉:腹直筋外腹斜筋内腹斜筋

運動神経:肋間神経腸骨下腹神経腸骨鼠径神経

知覚神経:肋間神経前皮枝腸骨下腹神経前皮枝

血管:浅腹壁動脈下腹壁動脈

ST30.気衝(きしょう)

取穴部位:天枢穴の下5寸、曲骨穴の外2寸、神闕穴の高さより下5寸で正中線から外方2

禁鍼穴

筋肉:外腹斜筋内腹斜筋鼠径靭帯

運動神経:肋間神経腸骨鼠径神経腸骨下腹神経

知覚神経:腸骨下腹神経前皮枝腸骨鼠径神経

血管:浅腹壁動脈下腹壁動脈

ST31.髀関(ひかん)

取穴部位:上前腸骨棘の下方、縫工筋大腿筋膜張筋の間、陥凹部

筋肉:大腿直筋縫工筋大腿筋膜張筋

運動神経:大腿神経上殿神経

知覚神経:外側大腿皮神経

血管:外側大腿回旋動脈

ST32.伏兔(ふくと)

取穴部位:大腿部の前外側、膝蓋骨外上角から髀関穴に向かい上6

筋肉:大腿直筋外側広筋

運動神経:大腿神経

知覚神経:外側大腿皮神経大腿神経前皮枝

血管:外側大腿回旋動脈

ST33.陰市(いんし)

取穴部位:大腿部の前外側、膝蓋骨外上角から髀関穴に向かい上3

禁灸穴

筋肉:外側広筋

運動神経:大腿神経

知覚神経:外側大腿皮神経大腿神経前皮枝

血管:外側大腿回旋動脈

ST34.梁丘(りょうきゅう

取穴部位:大腿部の前外側、膝蓋骨外上角から髀関穴に向かい上2

要穴:郄穴

筋肉:外側広筋

運動神経:大腿神経

知覚神経:外側大腿皮神経大腿神経前皮枝

血管:外側大腿回旋動脈、外側上膝動脈

ST35.犢鼻(とくび)

取穴部位:膝蓋骨下縁と脛骨上端との中間、膝蓋靭帯中

筋肉:膝蓋靭帯

知覚神経:伏在神経膝蓋下枝

血管:膝関節動脈網

ST36.足三里(あしのさんり)

取穴部位:膝を立て、外膝眼穴の下3寸、脛骨粗面と腓骨頭下際の間

要穴:合土穴、四総穴、足の陽明胃経の下合穴

筋肉:前脛骨筋

運動神経:深腓骨神経

知覚神経:外側腓腹皮神経

血管:前脛骨動脈

ST37.上巨虚(じょうこきょ)

取穴部位:膝を立て、足三里穴から解谿穴に向かい下3寸、外膝眼穴の下6

要穴:手の陽明大腸経の下合穴

筋肉:前脛骨筋

運動神経:深腓骨神経

知覚神経:外側腓腹皮神経

血管:前脛骨動脈

ST38.條口(じょうこう)

取穴部位:足三里穴から解谿穴に向かい下5寸、外膝眼穴の下8寸、上巨虚穴の下2

禁灸穴

筋肉:前脛骨筋

運動神経:深腓骨神経

知覚神経:外側腓腹皮神経

血管:前脛骨動脈

ST39.下巨虚(げこきょ)

取穴部位:足三里穴から解谿穴に向かい下6寸、外膝眼穴の下9寸、条口穴の下1

要穴:手の太陽小腸経の下合穴

筋肉:前脛骨筋

運動神経:深腓骨神経

知覚神経:外側腓腹皮神経

血管:前脛骨動脈

 ST40.豊隆(ほうりゅう)

取穴部位:外果の上8寸、条口穴の外方に一筋へだてた陥凹部

要穴:絡穴

筋肉:前脛骨筋長趾伸筋

運動神経:深腓骨神経

知覚神経:外側腓腹皮神経

血管:前脛骨動脈

ST41.谿(かいけい)

取穴部位:足関節前面中央、前脛骨筋腱の外側陥凹部

要穴:経火穴

筋肉:前脛骨筋腱、長母趾伸筋腱、長趾伸筋

運動神経:深腓骨神経

知覚神経:浅腓骨神経

血管:前脛骨動脈

ST42.衝陽(しょうよう)

取穴部位:足背にあり、第2・第3中足骨底間の陥凹部

要穴:原穴

筋肉:長趾伸筋短母趾伸筋

運動神経:深腓骨神経

知覚神経:浅腓骨神経

血管:足背動脈

ST43.陥谷(かんこく)

取穴部位:足背にあり、第2中足指節関節の後、外側陥凹部

要穴:兪木穴

筋肉:短母趾伸筋、第二背側骨間筋

運動神経:深腓骨神経外側足底神経

知覚神経:浅腓骨神経

血管:第二背側中足動脈の枝

ST44.内庭(ないてい)

取穴部位:足背にあり、第2中足指節関節の前、外側陥凹部

要穴:滎水穴

筋肉:第二背側骨間筋

運動神経:外側足底神経

知覚神経:浅腓骨神経

血管:第二背側中足動脈の枝

ST45.厲兌(れいだ)

取穴部位:足の第2指外側爪甲根部、爪甲の角を去ること1

要穴:井金穴

知覚神経:浅腓骨神経

血管:第二背側中足動脈の枝

関連項目

後肢陽明胃経

後肢陽明胃経(こうしようめいいけい)とは経に属する後肢を流れる陽経の経絡である。人間でいうところの足の陽明胃経に相当する。

目次

1.18後蹄頭(内)(ごていとう(ない))

後肢陽明胃経に所属する経穴の一覧

承泣(しょうきゅう)

取穴部位:眼窩下縁中央部

主治:結膜炎、流涙症、眼瞼疾患、風邪、視神経萎縮

四白(しはく)

取穴部位:眼窩下孔の窪み

主治:眼科疾患、顔面神経麻痺、顔面痛

鎖口(さこう)

取穴部位:口角からの延長線上

主治:よだれ、破傷風、口内炎、風邪、熱性病

開関(かいがん)

取穴部位:口角からの延長線で咬筋前縁

主治:口内炎、顔面痛、歯痛、破傷風

抱さい(ほうさい)

取穴部位:奥歯に対する咬筋

主治:口内炎、歯痛、顔面痛

下関(げかん)

取穴部位:顎関節前下縁の窪み

主治:歯痛、顔面痛、破傷風、耳疾患

人迎(じんげい)

取穴部位:頚静脈上1/3

主治:喘息、消化不良、のどの痛み

天枢(てんすう)

取穴部位:臍の両側

主治医:子宮内膜炎、腹痛、便秘、尿閉、腸炎

大こう(だいこう)

取穴部位:大腿骨大転子前下方の窪み

主治:後肢麻痺、股関節の痛み

後伏兎(ごふくと)

主治:股関節・腰部疼痛、後肢疾患

掠草(りゃくそう)

取穴部位:膝蓋骨下方の外靭帯と中靭帯の間の窪み

主治:膝痛、後肢麻痺

后三里(ごさんり)

取穴部位:下腿外側1/4

主治:嘔吐、便秘、下痢、咳、後肢疾患、発熱

上巨虚(じょうこきょ)

取穴部位:后三里下方の骨間の隙間

主治:便秘、消化不良

豊隆(ほうりゅう)

取穴部位:上巨虚下方の筋溝

主治:咳、便秘、神経症状、後肢麻痺、気管支炎

解渓(かいけい)

取穴部位:足首の窪み

主治:便秘、神経症状、捻挫、後肢疾患

滴水(てきすい)

取穴部位:第34足根骨間の窪み

主治:顔面むくみ、風邪、熱性病、中毒、後肢疾患

趾間(内)(しかん(ない))

取穴部位:第23趾間

後蹄頭(内)(ごていとう(ない))

取穴部位:第2爪後

主治:歯痛、熱病、便秘、消化障害、後肢麻痺、下部尿路疾患

足の陽明胃経

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WHO
表記

ツボ名

場所

こんな時に使う

ツボの由来

ST-1

承泣
しょうきゅう

瞳孔の下7分、眼窩下縁の中央、正視させて取る。

目の諸症状、顔面神経麻痺、三叉神経痛、眼筋痙攣、眼精疲労

「承」=受ける、「泣」=泣く。涙を受け止めるところという意味。

ST-2

四白
しはく

瞳孔の下1寸、眼窩下孔部、正視させて取る。

目の諸症状、顔面神経麻痺、三叉神経痛、眼筋痙攣、眼精疲労、鼻炎、頭痛

「四」は四方八方、「白」は光の意味である。広く物を見まわすことのできる目の下にある。視力回復のツボとされた。

ST-3

巨リョウ
こりょう

鼻孔の外8分、瞳孔線上に取る。

顔面神経麻痺、三叉神経痛、顔面痙攣、鼻炎、歯痛

「巨」は大きい、「リョウ」は骨の隙間あるいは陥凹したところを指す。頬骨と上顎骨の隙間にあるため。

ST-4

地倉
ちそう

口角の外4分に取る。

顔面神経麻痺、三叉神経痛、顔面痙攣、歯痛、咬筋痙攣

「地」は土地、「倉」は穀物の貯蔵庫をいう。額は昔、天の庭とたとえ、頬は地にたとえた。頬と歯の間に食物が溜まった様が倉庫に似ているため。

ST-5

大迎
だいげい

下顎角の前1寸3分の陥凹分、動脈拍動部に取る。

顔面神経麻痺、三叉神経痛、咬筋痙攣、耳下腺炎、歯痛

「迎」は大迎骨、すなわち下顎骨のことである。ここを押圧すると、頚動脈の大きな拍動を感じるため。

ST-6

頬車
きょうしゃ

下顎角の前上方で、歯を噛み締めると咬筋が緊張し、力を抜くと陥凹するところに取る。

顔面神経麻痺、三叉神経痛、咬筋痙攣、耳下腺炎、歯痛、下顎関節障害

昔、頤(おとがい)は、下歯床骨(下歯の土台の骨の意)頬車(口を開閉する蝶番)骨と呼んでいた。この蝶番の中にこの経穴があるため。

ST-7

下関
げかん

頬骨弓中央の下際陥凹部に取る。

下顎関節障害、咬筋痙攣、耳下腺炎、歯痛、顔面神経麻痺、三叉神経痛、耳鳴

「下」は下方、「関」は機関の意味で、下顎骨を動かす機関であることから名づけられた。

ST-8

頭維
ずい

額角髪際にあり、神庭穴の外4寸5分に取る。

頭痛、めまい、高血圧、目に諸疾患、顔面神経麻痺、眼筋痙攣、脱毛症

「維」は角を指し、頭の額角のあることから名づけられた。

ST-9

人迎
じんげい

喉頭隆起の外方1寸5分、動脈拍動部に取る。

咽喉腫脹・疼痛、喘息、眩暈、顔面紅潮、高血圧

「迎」は動くという意味で、喉頭隆起の両脇にあり、飲食時に、人や物を送迎しているように動くことに似ていることから。

ST-10

水突
すいとつ

人迎穴と気舎穴の中央に取る。

咽喉腫脹・疼痛、喘息、甲状腺腫

「水」は漿液(食物の漿液)の意味で、「突」は突き出る意味である。水を飲み込むときにここが大きく上に動く様が気が上衝していくことに(突の状態)たとえられている。

ST-11

気舎
きしゃ

小鎖骨上窩中央に取る。

咽喉腫脹・疼痛、喘息、甲状腺腫、しゃっくり

「気」は空気を指し、「舎」は留まる場所。この経穴が胸にあるため、空気=宗気が胸中に宿るという意味。

ST-12

欠盆(缺盆)
けつぼん

大鎖骨上窩にあり、鎖骨上際陥凹部、乳頭線上に取る。

喘息、咳嗽、胸部の膨満感などの呼吸器疾患、肋間神経痛

「缺」は欠けた意味で、「盆」は深く陥凹した場所を指す。鎖骨上窩にあるため、その場所が、欠けた盆に似ていることから。

ST-13

気戸
きこ

鎖骨下際にあり、前正中線の外4寸、乳頭線上に取る。

咳嗽、喘息、咽喉腫脹・疼痛、鎖骨上窩の痛み

気は、口から脾・胃へ、鼻から肺へと通じる。本穴は、どちらへも通じるため、気の証に効果がある。ここを気の扉のように開けば気を巡らせ、閉めれば気を蔵することができることからこの名が付いた。

ST-14

庫房
こぼう

第2肋骨上際にあり、乳中線上に取る。

喘息、咳嗽、胸部の膨満感などの呼吸器疾患、肋間神経痛

「庫」=倉庫。肺気は気戸から本穴に入り、深部の肺に貯えられることから、倉庫にみたて名づけられた。

ST-15

屋翳
おくえい

第2肋間にあり、乳中線上に取る。

喘息、咳嗽、胸部の膨満感などの呼吸器疾患、肋間神経痛、胸膜炎

「屋」は蓋。「翳」は羽毛でできた大きな扇子。本穴が庫房穴の下、膺窓穴の間にあり、屋根の庇の様な状態から名づけられた。

ST-16

膺窓
ようそう

第3肋間にあり、乳中線上に取る。

喘息、咳嗽、胸部の膨満感などの呼吸器疾患、肋間神経痛、胸膜炎

「膺」は胸、「窓」は気と光を通すところの意味であり、胸部の閉塞を通すため。

ST-17

乳中
にゅうちゅう

乳頭の中央で第4肋間に取る。

乳頭中央にあるので、名づけられた。(禁鍼灸穴)

ST-18

乳根
にゅうこん

第5肋間にあり、乳中線上に取る。

喘息、咳嗽、乳汁分泌不全、胸痛、肋間神経痛、

「乳房根部(乳房の下縁)にあるので、名づけられた。

ST-19

不容
ふよう

天枢穴の上6寸、巨闕穴の外2寸に取る。

食欲不振、嘔吐、腹脹、腹痛などの消化器系の症状

「胃が本穴の高さまで食物が達したらそれ以上は受容不可能(受容能力の限界)であるから「不容」と名づけられた。

ST-20

承満
しょうまん

天枢穴の上5寸、上?穴の外2寸に取る。

腹脹、腹痛、嘔吐、吐き気、食欲不振などの消化器系の症状、胸脇苦満

「承」は受納。「満」は充満。不容穴の下にあり、水穀で満タンという意味。

ST-21

梁門
りょうもん

天枢穴の上4寸、中?穴の外2寸に取る。

腹脹、腹痛、下痢、嘔吐、吐き気、食欲不振などの消化器系の症状

「梁」=関。経気(ここでは胃気)が巡るもっとも重要な箇所。また伏梁(心下否満)を治すことから名づけられた。

ST-22

関門
かんもん

天枢穴の上3寸、建里穴の外2寸に取る。

腹部膨満、腹痛、腹鳴、下痢、食欲不振、浮腫

「関門」とは、門を閉じて受け入れないという意味である。本穴は胃と腸の境界のところにある。または、胃気の出入り口という意味。

ST-23

太乙
たいいつ

天枢穴の上2寸、下?穴の外2寸に取る。

腹部膨満、腹痛、腹鳴、下痢、食欲不振、浮腫

「太」は大きい・重要という意味で、「乙」はとどまる、終わる。「太乙」とは極めて重要な胃部の終わりにあるツボという意味である。

ST-24

滑肉門
かつにくもん

天枢穴の上1寸、水分穴の外2寸に取る。

腹部膨満、腹痛、腹鳴、下痢、食欲不振、浮腫

「門」=気の入口である口のこと。「滑肉」=舌。舌は滑利の肉といい、ここを刺激すると舌の動きを滑らかにする動かすことができることから名づけられた。

ST-25

天枢
てんすう

臍の外2寸に取る。

腹痛、下痢、赤痢、便秘、腹鳴、腹部膨満、浮腫、月経不順・生理痛

「天」は上部を指し、「枢」は枢軸・要の意味である。臍の傍にあり、臍を境に天と地(上半身・下半身)の境目の要所という意味と脾胃を整える要穴という意味。

ST-26

外陵
がいりょう

天枢穴の下1寸、陰交穴の外2寸に取る。

腹痛、下痢、便秘、腹鳴、腹部膨満、浮腫、月経不順・生理痛

「外」は傍らということで、突起したところを「陵」という。体に力を入れると、腹部に気が集まり、外側にある腹筋が盛りあがってくる様が「陵」に似ていることから。

ST-27

大巨
だいご

天枢穴の下2寸、石門穴の外2寸に取る。

下腹部の脹満、排尿困難、生理不順・生理痛、生殖器系疾患、尿管結石、浮腫

「巨」は大きいという意味で、腹部で最も高く、大きく隆起した場所にあるため、名づけられた。

ST-28

水道
すいどう

天枢穴の下3寸、関元穴の外2寸に取る。

下腹部の脹満、排尿困難、生理不順・生理痛、生殖器系疾患、尿管結石、浮腫

「道」は道路のこと、本穴は膀胱の上部にあり治水をする役目あることから。

ST-29

帰来
きらい

天枢穴の下4寸、中極穴の外2寸に取る。

下腹部の脹満、排尿困難、生理不順・生理痛、生殖器系疾患、尿管結石、不妊症

「帰」=還る、「来」=戻るの意味で、呼吸法により本穴に気が集まることから、根底に気が帰る場所という意味。

ST-30

気衝
きしょう

天枢穴の下5寸、曲骨穴の外2寸に取る。

下腹部の脹満、排尿困難、生理不順・生理痛、生殖器系疾患、尿管結石、不妊症

「気」は経気のこと、「衝」は突き上げる動き・要衝。帰来の真下にあるため、気の要衝という意味で名付けられた。別名=気街。衝の字は動脈拍動部に付くことが多い。

ST-31

髀関
ひかん

上前腸骨棘の下方、縫工筋と大腿筋膜張筋の間、陥凹部に取る。

下肢の麻痺・萎縮、腰痛、股関節痛、股関節の屈伸困難

「髀」は昔、大腿骨を髀骨と称した。「関」=関節。股関節に近いことから。

ST-32

伏兎
ふくと

大腿部の前外側にあり、膝蓋骨外上角から脾関穴に向かい上6寸に取る。

腰部・股関節痛、膝の冷え、下肢麻痺、脚気

「伏」はうつ伏せの状態。大腿骨前上方に大腿四頭筋が隆起しているが、その形が兎が伏せているように見えることから。

ST-33

陰市
いんし

大腿部の前外側にあり、膝蓋骨外上角から脾関穴に向かい上3寸に取る。

腰部・膝部のしびれ・だるさ・痛み、屈伸困難、下肢麻痺

「市」=集まること。本穴は陽経に属して居るが、下半身の冷え等の陰証に効くのでこの名が付いた。

ST-34

梁丘
りょうきゅう

大腿部の前外側にあり、膝蓋骨外上角から脾関穴に向かい上2寸に取る。

胃痛、腹痛、膝の腫脹・疼痛、下肢麻痺

「丘」=丘陵。「梁」=その丘陵の背。本穴のある膝蓋骨上の周囲の筋を山梁にたとえた。

ST-35

犢鼻
とくび

膝を軽く曲げたとき、膝蓋骨外下方にできる陥凹に取る。

膝の痛み・しびれ、屈伸困難、脚気

「「犢」は小牛のこと。本穴は膝蓋骨下縁の外の陥凹部にあり、その形が小牛の鼻に似ていることから名づけられた。

ST-36

足三里
あしさんり

膝をたて、犢鼻の下3寸に取る。

消化器系の疾患、婦人病、高血圧、慢性疲労、坐骨神経痛、片麻痺、膝・下腿障害

「里」は邑・居・集まる・通ずる、の意味である。「三」は犢鼻の下3寸という意味と、三部(上焦・中焦・下焦)の治療に効果があるため。また、1里=1寸。

ST-37

上巨虚
じょうこきょ

膝をたて、足三里穴から解谿穴に向かい下3寸に取る。

下痢、腹脹、腹痛、便秘などの消化器系疾患、慢性虫垂炎

「上」は上、「巨」は大きい、「虚」は隙間の意味。脛骨と腓骨の間の大きな間隙に上方にあるから。また「巨」は大腸の意味もあり、腸内に溜まった邪気やお血を、取り除き、気血の流れを良くする作用がある。

ST-38

条口
じょうこう

足三里穴から解谿穴に向かい下5寸に取る。

下腿の知覚・運動障害、膝関節障害、腹脹、腹痛、片麻痺、慢性虫垂炎

狭く長いことを「条」といい、本穴は上巨虚と下巨虚の間にあり、脛骨と腓骨の間の間隙に、細長い1本の筋が口の形に現れるため。

ST-39

下巨虚
げこきょ

足三里穴から解谿穴に向かい下6寸に取る。

下腿の知覚・運動障害、膝関節障害、腹脹、腹痛、下痢、片麻痺、慢性虫垂炎

「下」は下部を指す。「巨」は大きい、「虚」は空虚の意味。脛骨と腓骨の間の大きな間隙に下方にあるから。

ST-40

豊隆
ほうりゅう

外果の上8寸、条口穴の外方に一筋へだてた陥凹部に取る。

下腿の知覚・運動障害、片麻痺、腹脹、腹痛、下痢、多量の喀痰、喘息、咳嗽

「豊」は豊富、「隆」は盛んの意味。本穴のある場所は、肌肉が豊かに盛り上がっているところにあるために名づけられた。

ST-41

解渓(解谿)
かいけい

足関節前面中央、前脛骨筋腱の外側陥凹部に取る。

下腿の知覚・運動障害、片麻痺、足関節障害、頭痛、めまい腹脹、腹痛、下痢

窪んだ場所を「谿(渓)」といい、「解」は開放するの意味。本穴は足関節の陥凹部にあり、靴ひもをほどく場所にあるため。胃経の経穴。

ST-42

衝陽
しょうよう

足背にあり、第2・第3中足骨底間の前、陥凹部に取る。

足軟無力、足関節障害、片麻痺、歯痛

「衝」は動くことで、「陽」は陰陽の陽の意味である。本穴は陽気の動脈拍動部にあるため。

ST-43

陥谷
かんこく

足背にあり、第2中足指節関節の後、外側陥凹部に取る。

足軟無力、足関節障害、片麻痺、歯痛、急・慢性胃腸炎

「陥」は陥凹、「谷」は山の谷を指している。本穴は距骨の間隙にあり、腱と腱の隙間にあるので谷と谷のくぼみに似ていることから。

ST-44

内庭
ないてい

足背にあり、第2中足指節関節の前、外側陥凹部に取る。

足軟無力、足関節障害、趾関節障害、片麻痺、歯痛、鼻血、急・慢性胃腸炎

「内」=深部、「庭」=居住地。本穴は遠く離れた頭部・心部・腹部などの疾患を治し、主治す作用は表より内や裏にあることから。

ST-45

厲兌
れいだ

足の第2指外側爪甲根部、爪甲の角を去ること1分に取る。

足軟無力、足関節障害、趾関節障害、片麻痺、歯痛、鼻血、急・慢性胃腸炎

「厲」は易学で土。土に属する「胃」のことである。「兌」は口の意味。胃は水穀の海といい、飲食は必ず口から行うため、口の疾患を主治とする。


東洋医学28.胃経

[足の陽明胃経]


 概念~「血による疾病を主る」経絡
 胃は水穀の海、精微を化生し、営血を生ず るを主る。これはすなわち「営は中焦に出づ」 の意味するところである。胃の腑に病があれば 営血を生じさせることができない。また陽明は 多気多血の経であり、その経気の盛衰は直接人体全体 の血の盛衰に影響する。このため本経は 「血による疾病を主る」とされるのである。

 循行(経絡の流れの道筋)
 鼻翼傍辺に起こり、鼻根 を上行し、再び鼻外を下行し、上歯の中に入り、 還って出で口を挟み、下って承漿に交わり、折 れて走り腮(頬部前下方)の後下縁を循り、頬 車穴を経て耳前に上り、髪際に沿い、前額に到 る。支脈の一は、大迎の前より下って入迎に達 し、喉嚨(喉頭と気管)に沿い、訣盆に入り、 胃に属し、脾を絡い、腹裏を循り、気衝に至る。  その直脈は、訣盆より、乳頭を経て、臍傍を 挟み、下って小腹の気衝に達し、前の脈と相合 する。会合後、再びこれより下行し髀関に至り、 下肢の外側前縁に沿い、膝を経て、踝を過り直 ちに第二趾の外側端に至る。
 支脈の二は、膝下三寸足の三里穴の処より分 出し、下行して進み、中趾外側端に入る。
 支脈の三は、足背の衝陽穴より分出し、斜め に走って母趾内側端に至り、足の太陰脾経に交 わる。

【原文】『霊枢・経脈篇』
 
鼻に起こり、頞中()に交り、旁太陽の脈に納り下 って鼻外を循り、上歯の中に入り、還り出でロ を挾み唇を環り、下って承漿に交わり、却きて 頤の後の下廉を循り、大迎に出で、頬車を循り、 耳前に上り客主人を過り、髪際を循り、額顱に至る. その支なる者は、大迎の前より人迎に下り、喉 嚨を循り訣盆に入り、隔に下り胃に属し脾に絡 う.その直なる者は、缺盆より乳の内廉を下り、 下りて臍を挾み、気街の中に入る.その支 なる者は胃ロに起こり、下って腹裏を循り、下って 気街中に至り合す. 以って髀関を下り、伏 兎に抵り、膝髕の中に下り、下って脛の外 廉を循り、足謖に下り、中趾の内聞に入る. その支なる者は、下廉三寸にして別れ下り、中 趾外間に入る. その支なる者は、謖上に別れ、 大趾の間に入り、その端に出づ.

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 経絡症候および主治症
1)消化器系疾患:胃痛、腹痛、嘔吐泄潟、腸 鳴、細菌性下痢、胃下垂、虫垂炎、腸麻庫、栄 養不良性水腫、肝炎、神経性胃腸障害など。
2)頭部顔面感覚器疾患:頭痛、眼痛、歯痛、 顔面神経麻庫、顔筋痙攣、三叉神経痛、甲状腺 腫大、耳下腺炎など。
3)経脈通過部位の疾患:胸痛、下肢痛、膝関 節腫痛、下肢筋萎縮・麻痺・無力、片麻痺、小 児麻痺後遺症など。
4)その他:脚気、横隔膜痙攣、乳腺炎、高血 圧、神経衰弱、身体虚弱など。

 経穴概要

経穴数:45
気 血:多気多血
走 行:頭から足に走る
時 刻:午前7~9時(辰時)
起始穴:承泣
終始穴:厲兌
絡 穴:豊隆
郄 穴:梁丘

五兪穴:(a)井穴:厲兌
       (b)榮穴:内庭
       (c)兪穴:陥谷
       (d)原穴:衝陽
       (e)経穴:解谿
       (f)合穴:足の三里
肺兪穴:胃兪
募 穴:中脘


 経穴一覧表

経穴名
よみ

取穴法

要穴
出典

ST01.承泣
しょうきゅう

瞳孔の下7分、眼窩下縁の中央、正視させて取る。

任脈が交会 『甲乙』

ST02.四白
しはく

瞳孔の下1寸、眼窩下縁の中央、正視させて取る。

『甲乙』

ST03.巨髎
こりょう

鼻孔の外8分、瞳孔線上に取る。

『甲乙』

ST04.地倉
ちそう

口角の外4分に取る。

『甲乙』

ST05.大迎
だいげい

下顎角の前1寸3分の陥凹部、動脈拍動部に取る。

足少陽経脈と交会。 『素問』気穴論、『素問』気府論

ST06.頬車
きょうしゃ

耳垂下端と下顎角の間の陥凹部に取る。

足少陽経脈と交会。 『霊枢』経脈、『素問』気府論

ST07.下関
げかん

頬骨弓中央の下際陥凹部に取る。

WHO: 下關(関) 『霊枢』本輸、『素問』気府論(王冰注)

ST08.頭維
ずい

額角髮際にあり、神庭穴の外4寸5分に取る。

『甲乙』

ST09.人迎
じんげい

喉頭隆起の外方1寸5分、動脈拍動部に取る。

『霊枢』本輸、『素問』気府論

ST10.水突
すいとつ

人迎穴と気舎穴の中央に取る。

『甲乙』

ST11.気舎
きしゃ

小鎖骨上窩中央に取る。

WHO: 氣(気)舍(舎) 『甲乙』

ST12.缺盆
けつぼん

大鎖骨上窩にあり、鎖骨上際陥凹部、乳頭線上に取る。

手太陰経筋・経別、手陽明経脈・経別、足太陽経筋、手少陽経脈・経別、足少陽経脈・経別・経筋、任脈が交会。 『霊枢』経脈、『素問』刺禁論(王冰注)

ST13.気戸
きこ

鎖骨下際にあり、前正中線の外4寸、乳頭線上に取る。

WHO: 氣(気)戸 『甲乙』

ST14.庫房
こぼう

第2肋骨上際にあり、乳頭線上に取る。

『甲乙』

ST15.屋翳
おくえい

第2肋間にあり、乳頭線上に取る。

『甲乙』

ST16.膺窓
ようそう

第3肋間にあり、乳頭線上に取る。

WHO: 膺窗(窓) 『甲乙』

ST17.乳中
にゅうちゅう

乳頭の中央で、第4肋間に取る。

WHO: 乳(孚とする)中、乳中 『甲乙』

ST18.乳根
にゅうこん

第5肋間にあり、乳頭線上に取る。

WHO: 乳(孚とする)根、乳根 『甲乙』

ST19.不容
ふよう

天枢穴の上6寸、巨闕穴の外2寸に取る。

『甲乙』

ST20.承満
しょうまん

天枢穴の上5寸、上脘穴の外2寸に取る。

WHO: 承滿(満) 『甲乙』

ST21.梁門
りょうもん

天枢穴の上4寸、中脘穴の外2寸に取る。

『甲乙』

ST22.関門
かんもん

天枢穴の上3寸、建里穴の外2寸に取る。

WHO: 關(関)門 『甲乙』

ST23.太乙
たいいつ

天枢穴の上2寸、下脘穴の外2寸に取る。

『甲乙』

ST24.滑肉門
かつにくもん

天枢穴の上1寸、水分穴の外2寸に取る。

『甲乙』

ST25.天枢
てんすう

臍の外2寸に取る。

募穴 WHO: 天樞(枢) 『霊枢』骨度

ST26.外陵
がいりょう

天枢穴の下1寸、陰交穴の外2寸に取る。

『甲乙』

ST27.大巨
だいこ

天枢穴の下2寸、石門穴の外2寸に取る。

『甲乙』

ST28.水道
すいどう

天枢穴の下4寸、中極穴の外2寸に取る。

WHO:歸(帰)來(来) 『甲乙』

ST29.帰来
きらい

天枢穴の下4寸、中極穴の外2寸に取る。

WHO:歸(帰)來(来) 『甲乙』

ST30.気衝
きしょう

天枢穴の下5寸、曲骨穴の外2寸に取る。

WHO: 氣(気)衝、足少陽経脈と交会。 『霊枢』経脈(氣街)、『甲乙』

ST31.髀関
ひかん

上前腸骨棘の下方、縫工筋と大腿筋膜張筋の間、陥凹部に取る。

WHO: 髀關(関) 『霊枢』経脈、『素問』気府論

ST32.伏兎
ふくと

大腿部の前外側にあり、膝蓋骨外上角から髀関穴に向かい上6寸に取る。

『霊枢』経脈、『霊枢』寒熱

ST33.陰市
いんし

大腿部の前外側にあり、膝蓋骨外上角から髀関穴に向かい上3寸に取る。

『甲乙』

ST34.梁丘
りょうきゅう

大腿部の前外側にあり、膝蓋骨外上角から髀関穴に向かい上2寸に取る。

郄穴 『甲乙』

ST35.犢鼻
とくび

膝蓋骨下縁と脛骨上縁との中間で膝蓋靱帯中に取る。

『霊枢』本輸、『素問』気府論

ST36.脚の三里
あしのさんり

膝を立て、外膝眼穴の下3寸に取る。(便法)膝を立て、脛骨の前縁を擦上して指の止まるところの外方陥凹部に取る。

合土穴、四総穴 「肚腹は三里に止め腰背は委中に求む。頭項は列缺に尋ね面目は合谷に収む」 『霊枢』本輸

ST37.上巨虚
じょうこきょ

膝を立て、足三里から解谿穴に向かい下3寸に取る。

「上巨虚」名は、『千金翼方』より 『霊枢』本輸(巨虚上廉)

ST38.条口
じょうこう

足三里から解谿穴に向かい下5寸に取る。

WHO: 條(条)口 『甲乙』

ST39.下巨虚
げこきょ

足三里から解谿穴に向かい下6寸に取る。

『霊枢』本輸(巨虚下廉)、『素問』針解篇(巨虚下廉)

ST40.豊隆
ほうりゅう

外果の上8寸、条口穴の外方に一筋へだてた陥凹部に取る。

絡穴 WHO: 豐(豊)隆 『霊枢』経脈、『霊枢』根結

ST41.解谿
かいけい

足関節前面中央、前脛骨筋腱の外側陥凹部に取る。

経火穴 WHO: 解谿(溪) 『霊枢』本輸

ST42.衝陽
しょうよう

足背にあり、第2・第3中足骨底間の前、陥凹部に取る。

原穴 『霊枢』本輸、『霊枢』根結

ST43.陥谷
かんこく

足背にあり、第2中足指節関節の後、外側陥凹部に取る。

兪木穴 WHO: 陷(陥)谷 『霊枢』本輸

ST44.内庭
ないてい

足背にあり、第2中足指節関節の前、外側陥凹部に取る。

栄水穴 『霊枢』本輸

ST45.厲兌
れいだ

足の第2指外側爪甲根部、爪甲の角を去ること1分に取る。

井金穴 『霊枢』本輸


 主な経穴とその主治症
承泣、四白、地倉、頭維
 承泣の主治症は目の充血、腫痛・白内障・ 口眼歪斜・眼瞼痙攣・頭痛・緑内障・視神経萎 縮・近視・色盲などの目の疾患。
 四白の主治症は目の充血・痛み・かゆみ、白内障、口眼歪斜、眼瞼 痙攣、頭痛、めまい、三叉神経痛、顔筋痙攣など。
 地倉の主治症は口角歪斜、流涎、三叉神経痛など。
 頭維の主治症は頭痛、目痛、視力低下、迎風流涙(風 にあたると涙が出る)、顔瞼痙攣等。

頬車と下関
 二穴とも歯痛・三叉神経痛・顔面神 経麻痺等の治療に使われる。三叉神経痛の治療 では、下関が頬車より優れており、主穴として 用いられる。歯痛の時は下関は主に上歯痛に用 いられる。顔面神経麻庫の治療の際は逆に頬車 の方が下関よりもよく使われ、歯痛の治療にお いては上歯痛でも下歯痛でも頬車が常用されて いる。そのほか、頬車は耳下腺炎の治療にも用 いられるし、下関は中耳炎、耳鳴り・難聴、下 顎関節炎の治療にも使われる。

人迎穴
 主に咽喉腫痛、甲状 腺腫大、頚部リンパ節結核、高血圧、無脈症、 低血圧、喘息、心悸、しゃっくりなどの治療に使 われる。
 本穴への刺針に際しては、栂指で軽く頚動脈 を外方へ推し開くように按じ、針先を爪甲の辺 縁に沿わせてゆっくりと捻針にて刺人する。刺 人後は提挿を控え目にし、斜めに乱刺して頚動 脈を傷つけないよう注意する必要がある。この 経穴に関しては以上のほか、深さにも注意しな ければならない。患者の肥痩の程度にもよるが、 0.8寸を超えないようにする。またこの穴の付近 には交感神経幹・迷走神経幹・総頚動脈等重要 な組織があるうえ、本穴は比較的敏感な所なの で、不用意な操作をすれば暈針(刺針によるシ ョック)・大動脈出血、甚だしきは血圧降下、心 臓の跳動ないしは突然停止を生ずる危険がある。 そのため、この部への刺針の時は、できるだけ 臥位をとるようにして、慎重に行うことが大切 である。

梁門、天枢、水道、帰来
 これら四六はいずれも消化器系疾患 の治療に用いられる。そのうち梁門は主に胃の 疾患を治療し、胃痛、嘔吐、腹脹、食欲不振、 胃下垂、また乳痛等の治療に使われる。天枢は 腸病の治療が主となり、腹脹、腸鳴、下痢、腹 痛、細菌性下痢、便秘また月経不順、子宮下垂、 子宮筋腫、生理痛等の治療に用いられる。水道、 帰来は主として下腹部疾患たとえば下腹部脹痛、 生理不順、生理痛、不妊症、子宮下垂等の治療 に使う。このうち帰来は閉経、疝気痛、 陰茎睾丸痙縮などの治療にも用いられる。

髀関、伏兎、梁丘、犢鼻
 これら四穴は、下肢 萎縮・麻庫等の病症に使われる。そのうち、 髀関は大腿上部の病変の治療を主とし、伏兎は大 腿中部の病変並びに疝気痛、梁丘は大腿下部の 病変を主として、更に膝関節痛・屈伸不全・胃 病の治療に用いられる。犢鼻は専ら膝関節腫痛・ 屈伸不全及び脚気の治療に用いられる。

足の三里
 主治症は(1)消化器系 潰瘍、胃下垂、子宮下垂(2)急・慢性胃腸炎に よる腹痛、下痢、細菌性下痢、虫垂炎、消化不 良、腸麻庫、栄養不良性水腫(3)高血圧、脳卒 中後遺症、半身不随、小児麻痺後遺症(4)神経 衰弱、体質虚弱、貧血(5)乳腺炎、生理痛、生 理不順(6)精神分裂症、癲癇、ヒステリー症な ど(7)強壮穴として保健予防・健康増進の要穴 でもある。

上巨虚、条口、豊隆
 この三穴は下肢の萎縮・麻葎およ び胃腸疾患の腹脹、腹痛、下痢、便秘などの治療 に使われる。但し消化器系疾患の治療において は、上巨虚が最も優れ、次いで豊隆、条口の順 となる。上巨虚は腸痛を治療する上での要穴で あり、条口は肩関節周囲炎、肩関節腫痛、上腕 挙上困難の治療をも兼ねる。豊隆穴は化痰の力 が比較的強く、痰濁による眩暈、頭痛、咳楸、 癲癇に対して特に適している。

解谿、陥谷、内庭、厲兌
 この四つの穴はみな足部、足関節、 足趾の病変および消化器系疾患、例えば腹脹、 腸鳴、下痢、腹痛、細菌性下痢、便秘など、そ れに陽明経の実熱による各種病症、例えば高熱、 歯痛、三叉神経痛、癲狂、鼻出血などの治療に用 いられる。この中で、解谿は足関節疼痛・運動 障害、下垂足、また瘧疾、癲狂、癲癇、頭痛、 眩暈をも治療できる。内庭は陽明の実熱を潟す 力が他の経穴より強い。また吐血、鼻出血、し ゃっくり、嘔吐、食思不振などの症状にも用い られる。厲兌穴は多種の夢症にも応用できる。