手の陽明大腸経(てのようめいだいちょうけい、中国語 手陽明大腸經 shǒu yángmíng dàchángjīng、英:The Large Intestine Meridian of Hand-YangmingもしくはShou Yangming Dachangjing)とは大腸経に属する手を流れる陽経の経絡である。肺と大腸は共に中国の五行(木、火、土、金、水)でいうと金に属するため密接な関係を持つ。また、流注によると大腸はもとより、歯のまわりを取り囲んでいるため歯痛にこの大腸経の経穴を使うこともある。大腸経の募穴は天枢穴(足の陽明胃経)。
国際表記はLIと表記する。
目次
示指末端(商陽穴)に起こり、示指の橈側白肉際(肌目の際)を循り、第1中手骨と第2中手骨の間(合谷穴)に出て、前腕後外側を上り、肘窩横紋(肘の皺)の外端(曲池穴)に入る。上腕の外側を上行して、肩峰突起(肩の端にある盛り上がったところ)の外端の肩髃穴に至り、巨骨穴を過ぎ、大椎穴(督脈)に至って諸経と会する。大椎穴より下って鎖骨上窩(缺盆穴:足の陽明胃経)を経て肺を絡い、下って膈を貫き大腸に属する。
その支なるものは鎖骨上窩(缺盆穴)より別れて頸部(首)に上り、頬を貫いて下歯中に入り、還り出て左右に別れて口を挟み、鼻下の人中に交わり、左は右に、右は左に行き、すなわち左右交叉して、鼻孔を挟んで鼻翼両側(迎香穴)に終わる。ついで足の陽明胃経に連なる。
取穴部位:示指橈側爪甲根部、爪甲の角を去ること1分 要穴:井金穴 知覚神経:正中神経浅枝 血管:第一背側中手動脈の枝 |
LI2.二間(じかん)
取穴部位:第2中手指節関節の下、橈側陥凹部 要穴:滎水穴 知覚神経:橈骨神経浅枝 血管:第一背側中手動脈の枝 |
取穴部位:第2中手指節関節の上、橈側陥凹部 要穴:兪木穴 筋肉:第一背側骨間筋 運動神経:尺骨神経 知覚神経:橈骨神経浅枝 血管:第一背側中手動脈の枝 |
LI4.合谷(ごうこく)
取穴部位:第1・第2中手骨底間の陥凹部、第2中手骨より 要穴:原穴、四総穴 筋肉:第一背側骨間筋 運動神経:尺骨神経 知覚神経:橈骨神経浅枝 血管:第一背側中手動脈 |
取穴部位:手関節背面橈側にあり、母指伸展してできる長・短母指伸筋腱の間の陥凹部 要穴:経火穴 運動神経:橈骨神経 知覚神経:橈骨神経浅枝 血管:橈骨動脈 |
LI6.偏歴(へんれき) 取穴部位:前腕後橈側にあり、陽谿穴から曲池穴に向かい上3寸、長・短橈側手根伸筋の間 要穴:絡穴 運動神経:橈骨神経 知覚神経:外側前腕皮神経 血管:橈骨動脈 |
取穴部位:前腕後橈側にあり、陽谿穴から曲池穴に向かい上5寸、長・短橈側手根伸筋の間 要穴:郄穴 運動神経:橈骨神経 知覚神経:外側前腕皮神経 血管:橈骨動脈 |
LI8.下廉(げれん)
取穴部位:前腕後橈側にあり、曲池穴の下4寸、陽谿穴から曲池穴に向かい上6寸、長・短橈側手根伸筋の間 運動神経:橈骨神経 知覚神経:外側前腕皮神経 血管:橈骨動脈 |
取穴部位:前腕後橈側にあり、曲池穴の下3寸、陽谿穴から曲池穴に向かい上7寸、長・短橈側手根伸筋の間 運動神経:橈骨神経 知覚神経:外側前腕皮神経 血管:橈骨動脈 |
取穴部位:前腕後橈側にあり、曲池穴の下2寸、陽谿穴から曲池穴に向かい上8寸、長・短橈側手根伸筋の間 運動神経:橈骨神経 知覚神経:外側前腕皮神経 血管:橈骨動脈 |
取穴部位:肘を屈曲してできる肘窩横紋の外方で、上腕骨外側上顆の前 要穴:合土穴 運動神経:橈骨神経 知覚神経:外側前腕皮神経 血管:橈側反回動脈 |
取穴部位:上腕骨外側上顆の上際で、上腕三頭筋外縁の陥凹部 運動神経:橈骨神経 知覚神経:外側上腕皮神経 血管:橈側反回動脈、中側副動脈 |
取穴部位:曲池穴から肩髃穴に向かい上3寸 禁鍼穴 知覚神経:外側上腕皮神経 血管:上腕深動脈 |
取穴部位:肩髃穴から曲池穴に向かい下3寸、三角筋の前縁 知覚神経:外側上腕皮神経 血管:上腕深動脈三角筋枝 |
取穴部位:肩関節の前方、肩峰と上腕骨頭の間 筋肉:三角筋 運動神経:腋窩神経 知覚神経:鎖骨上神経 血管:胸肩峰動脈三角筋枝 |
取穴部位:鎖骨外端と肩甲棘の間の陥凹部 運動神経:副神経、頚神経叢筋枝、肩甲上神経 知覚神経:鎖骨上神経 血管:肩甲上動脈 |
取穴部位:扶突穴の後下方1寸、胸鎖乳突筋後縁 知覚神経:鎖骨上神経 血管:上行頚動脈、浅頚動脈 |
取穴部位:喉頭隆起の外方3寸で下顎角の下方1寸 知覚神経:頚横神経 血管:上行頚動脈 |
取穴部位:水溝穴の外5分 禁灸穴 筋肉:口輪筋 運動神経:顔面神経 知覚神経:上顎神経 血管:上唇動脈 |
LI20.迎香(げいこう) 取穴部位:鼻孔の外5分、鼻唇溝中 禁灸穴 運動神経:顔面神経 知覚神経:上顎神経 |
前肢陽明大腸経(ぜんしようめいだいちょうけい)とは大腸経に属する前肢を流れる陽経の経絡である。人間でいうところの手の陽明大腸経に相当する。
1 前肢陽明大腸経に所属する経穴の一覧 |
1.1 商陽(しょうよう) |
1.2 合谷(ごうこく) |
1.3 前三里(ぜんさんり) |
1.4 曲池(きょくち) |
1.5 臂臑(ひじゅ) |
1.6 肩井(けんせい) |
1.7 姜牙(ぎょうが)、迎香(げいこう) |
取穴部位:第2爪後の内側
主治:歯痛、喉のはれ、指麻痺、熱性病、風邪、捻挫、中毒、腹痛
取穴部位:親指と人差し指の間
主治:歯痛、結膜炎、便秘、腕疼痛、免疫・神経・内分泌系疾患
取穴部位:上腕骨外側上1/4で外腕屈筋と第5指伸筋の間
主治:腹痛、歯痛、肩・上腕疼痛
取穴部位:腕を曲げてできたしわの外側
主治:咽喉痛、肘関節痛、結膜炎、熱性病、高血圧、消化器疾患
取穴部位:肩井穴と曲池穴の線上で上1/3
主治:前肢麻痺、眼、麻酔
取穴部位:上腕骨の外結節上部の窪み
主治:肩関節痛、麻痺
取穴部位:鼻孔の外翼下
主治:熱性病、顔のはれ、風邪、鼻炎、顔面神経麻痺、蘇生
手の陽明大腸経
WHO |
ツボ名 |
場所 |
こんな時に使う |
ツボの由来 |
LI-1 |
商陽 |
示指橈側爪甲根部、爪甲の角を去ること1分に取る。 |
示指麻痺、咽頭炎、下歯痛、鼻かぜ、発熱、無汗 |
「商」は五音のひとつで、五行では、肺経・大腸経ともに金に属し、肺経の少商が陰経なら、大腸経の商陽は陽経という意味。 |
LI-2 |
二間 |
第2中指節関節の下、橈側陥凹部に取る。 |
示指麻痺、咽頭炎、下歯痛、鼻血、鼻かぜ、発熱、無汗 |
「二」は第2ということで、「間」は場所の意味である。示指の第2節に位置することから名付けられた。 |
LI-3 |
三間 |
第2中指節関節の上、橈側陥凹部に取る。 |
手指手背腫脹・麻痺、咽頭炎、下歯痛、鼻血、鼻かぜ |
「三」は第3ということで、「間」は場所の意味である。示指の第3節に位置するため。 |
LI-4 |
合谷 |
第1・第2中手骨底間の下、陥凹部、第2中手骨よりに取る。 |
顔面の知覚・運動の書疾患、咽頭炎、片麻痺、高血圧、じんま疹 |
「合」は二つのことが合わさること。筋と筋とが合わさったくぼみのところ。大腸経の原穴。四総穴でもある。別名「虎口」=虎の両指が開くと虎の口に似ていることから。 |
LI-5 |
陽谿 |
手関節後橈側にあり、母指を伸展してできる長・短母指伸筋腱の間の陥凹部に取る。 |
橈骨神経障害、手関節障害、咽頭炎、歯痛、頭痛、目赤 |
「陽」は陽経の意。「谿」は山に挟まれた溝、肉の小会するところ。手首を曲げるときに現れる陥凹部が山間の谷に似ているため。また、この経穴は大腸経の経火穴である。 |
LI-6 |
偏歴 |
陽谿と曲池とを結ぶ線を4等分し、陽谿から4分の1のところに取る。 |
橈骨神経障害、手関節障害、歯痛、鼻血、前腕知覚運動障害、五十肩、水腫 |
「偏」は偏より離れること。「歴」は経歴、通過の意味で、大腸経の絡穴たで、ここから、肺経に流れるため、この名が付いた。 |
LI-7 |
温溜 |
陽谿と曲池とを結ぶ線の中点の下方1寸(親指1横指分)に取る。 |
橈骨神経障害、手関節障害、頭痛、歯痛、鼻血、前腕知覚運動障害、五十肩 |
「温」は温暖なこと、「溜」は流注の意味である。温経散寒の効果をもつので、温溜と名付けられた。また、大腸系の?穴である。 |
LI-8 |
下廉 |
陽谿と曲池とを結ぶ線を3等分し、曲池から3分の1のところに取る。 |
橈骨神経障害、前腕知覚運動障害、頭痛、腹痛、下痢、腸鳴、消化不良 |
「廉」は菱形状のものの角とか辺縁の意味である。前腕外側の筋肉の盛り上がりの下に位置することから名づけられた。 |
LI-9 |
上廉 |
陽谿と曲池とを結ぶ線を4等分し、曲池から4分の1のところに取る。 |
橈骨神経障害、前腕知覚運動障害、頭痛、腹痛、下痢、腸鳴、消化不良 |
前腕外側の筋肉の盛り上がりの下に位置するのが、下廉なら、上に位置するのが上廉と付けた。 |
LI-10 |
手三里 |
陽谿と曲池とを結ぶ線上で曲池の下方2寸(人差指・中指・薬指の3横指分)に取る。 |
橈骨神経障害、前腕知覚運動障害、片麻痺、頚腕障害、頭痛、腸炎 |
「里」は村里、居住地の意味。ツボが上腕の肘?穴より3寸のところにあるので、手三里と名付けた。 |
LI-11 |
曲池 |
肘を屈曲してできる肘窩横紋の外方で、上腕骨外側上顆の前に取る。 |
頚腕・肘関節障害、橈骨神経障害、高血圧、生理痛、咽頭炎、片麻痺、じんま疹、発熱 |
「曲」は肘関節を屈曲することを指し、取穴の際ここに現れる陥凹の形状が浅い「池」に似ているため。また、この経穴は大腸経の合穴である。 |
LI-12 |
肘リョウ |
上腕骨外側上顆の上際で、上腕三頭筋外縁の陥凹部に取る。 |
肘関節及び周囲軟部組織障害、テニス肘、片麻痺 |
「肘」は肘部を指し、「リョウ」は骨の突起の近くにある陥凹、あるいは間隙を指す。肘関節の外側陥凹にあるため。別名「肘尖」。 |
LI-13 |
手五里 |
曲池穴から肩グウ穴に向かい上3寸に取る。? |
肘関節及び周囲軟部組織障害、テニス肘、片麻痺、喀血、頚部リンパ節腫脹 |
昔、「里」には「寸」の意味があった。肘を屈曲させた肘尖から5寸であることから、手五里と名付けられた。 |
LI-14 |
臂臑 |
肩グウ穴から曲池穴に向かい下3寸、三角筋の前縁に取る。 |
肘関節及び周囲軟部組織障害、五十肩、片麻痺、頚部リンパ節腫脹 |
「臂」は肘から上の上腕外側のこと。「臑」は骨に付着せず、柔らかい肉が豊富にあるところ。肉が豊富な三角筋にあることから。また、大腸経・小腸経・膀胱経・陽維脈の交会穴。 |
LI-15 |
肩グウ |
患者の上肢を水平に持ち上げ、肩関節部の前後にあらわれる凹みのうち、前も凹みに取る。 |
肘関節及び周囲軟部組織障害、五十肩、片麻痺、頚部リンパ節腫脹 |
「グウ」は骨と骨の隙間のこと。肩甲骨と上腕骨の隙間にあるから。大腸穴・陽矯脈の交会穴。また肩関節におこる諸疾患を主治とする。 |
LI-16 |
巨骨 |
鎖骨外端と肩甲棘の間の陥凹部に取る。 |
肩こり、肘関節及び周囲軟部組織障害、五十肩 |
「巨」=大きい。巨骨とは鎖骨の意味である。鎖骨の上端にあるので、この名が付いた。大腸経・陽矯脈の交会穴。 。 |
LI-17 |
天鼎 |
扶突穴の後下方1寸、胸鎖乳突筋後縁に取る。 |
咽頭腫脹、嗄声、舌骨下筋群麻痺、嚥下障害、寝違え、頚部リンパ節腫脹 |
「天」は頭の意味で、昔の煮焚き用食器の一種である「鼎」と言い、首の左右にある胸鎖乳突筋を「鼎」に見立て、頭を支える筋と言う意味から名付けた。 |
LI-18 |
扶突 |
喉頭隆起外方3寸で下顎角の下方1に取る。 |
咽頭腫脹、嗄声、嚥下障害、寝違え、、頚部リンパ節腫脹、甲状腺腫脹、喘息 |
昔、指4本を並べたときの長さ{3寸)を「扶」といい、「突」は高く盛り上がった場所。喉頭隆起の両側3寸にあることから。 |
LI-19 |
禾リョウ |
水溝穴の外5分に取る。 |
鼻の諸症状、顔面神経麻痺、三叉神経痛 |
「禾」は穀物、「リョウ」は骨の陥凹や間隙の意味である。食べるとこ(口の意味)の隙間。 |
LI-20 |
迎香 |
鼻孔の外5分、鼻唇溝中に取る。 |
鼻の諸症状、顔面神経麻痺、三叉神経痛 |
「迎」は迎える、「香」はかおりの意味である。香味をよく迎えられるようになることから迎香と名付けられた。大腸経・胃経の交会穴。 |
手の陽明大腸経
Points of Large Intestine Meridian of Hand-Yangming, LI20
大指次指(次指の大指側)の端に起こり、指の上廉を循り、合谷両骨の間(第一と第二掌骨の間、合谷)に出で、上りて両筋の中に入り、臂の上廉を循り、肘の外廉に入り、臑の外前廉を上り、肩に上り、髃骨(肩甲骨と鎖骨とが連結しているところ、肩髃)の前廉に出で、上りて柱骨の会上(肩甲骨の上で、頸骨の隆起しているところ、つまり大椎)に出で、下りて缺盆に入りて肺を絡い、膈を下りて大腸に属す。
其の支れたる者は、缺盆より首に上りて頬を貫き、下歯の中に入り、還り出でて口を挟み、人中に交わり、左は右に之き、右は左に之き、上りて鼻孔を挟む。
手の陽明之別は、名づけて偏歴と曰う。腕を去ること三寸、別れて太陰に入る。其の別れたる者は、上りて臂を循り、肩髃に乗じ、曲頬に上りて歯に偏す。其の別れたる者は、耳に入り宗脈(耳や眼などの器官に分布しているものを指す。多くの経脈が集まって主脈あるいは大脈を成しているので宗という。)に合す。実するは則ち齲し聾す。虚するは則ち歯寒え、痺隔(膈間が閉塞して通じないことを形容)す。これを別るる所に取るなり。
『霊枢・経脈』参照
記号 |
経穴 |
位置 |
取穴 |
解剖 |
意味 |
主治 |
要穴 |
交会 |
LI1 |
在手大指次指内側、去爪甲如韮葉(甲乙) |
食指の橈側で爪甲を去ること1分に取る。 |
示指伸筋腱、手背動脈網、正中神経 |
咽喉腫痛、下顎部腫脹、下歯痛、難聴、耳鳴、視神経萎縮、熱病汗不出、卒倒、中風昏迷、喘咳、肩痛引缺盆 |
井金穴 |
|
||
LI2 |
在手大指次指本節前内側陥者中(甲乙) |
わずかに拳を握り第2中手指節関節の前縁橈側、表裏の肌目に取る。 |
深・浅指屈筋腱 |
間は間隙。本穴は手の第二指指節関節の前陥凹で、本経の二番めの穴位。 |
喉痺、下顎腫痛、目痛、目黄、鼻血、膿血便、歯痛口乾、顔面神経麻痺、身熱、嗜睡、肩背痛振寒 |
栄水穴 |
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LI3 |
在手大指次指本節後内側陥者中(甲乙) |
わずかに拳を握り食指の橈側、第2中手指節関節の後、第2中手骨骨頭の上の方に取る。 |
第一背側骨間筋 |
間は間隙。本穴は手の第二指指節関節の後陥凹で、本経の三番めの穴位。 |
兪木穴 |
|
||
LI4 |
在手大指、次指間(甲乙) |
第1・第2中手骨の間、ほぼ第2中手骨の中央橈側に取る。 |
第一背側骨間筋中 |
合は合わせる、谷は山谷。本穴は第一、第二母中手骨の間にあり、二骨は深い谷のように見える。 |
顔面部一切の疾病、胃腸疾患、頭痛、眩暈、目赤は痛、鼻血、鼻炎、歯痛、難聴、面腫、咽喉腫痛、声がれ、牙関緊閉、顔面神経麻痺、風疹、指痙攣、臂痛、半身不随、発熱悪寒、無汗、多汗、咳嗽、閉経、難産、胃痛、腹痛、便秘、痢疾、小児のひきつけ、皮膚過敏、疥癬、寒熱往来 |
原穴・四総穴 |
|
|
LI5 |
在腕中上側両旁間陥者中(甲乙) |
腕関節背面橈側、母指を拡げたとき、短母指伸筋腱と長母指伸筋腱の間の陥凹中に取る。 |
短母指伸筋腱と長母指伸筋腱の間 |
手背は陽で、本穴は陥凹を呈し、山間の渓に似ている。 |
頭痛、難聴、耳鳴、咽喉腫痛、虫歯痛、目赤、目翳、熱病心煩、臂腕痛、精神疾患 |
経火穴 |
|
|
LI6 |
在腕後三寸(甲乙) |
長短橈側手根伸筋腱と長母指外転筋の間 |
偏は斜め、歴は経が行くこと。大腸経は本穴から絡脈を出し肺経に行く。 |
絡穴 |
|
|||
LI7 |
在腕後、少士五寸、大士六寸(甲乙) |
長短橈側手根伸筋腱と長母指外転筋の間 |
温は温熱、溜は留と同じで停留するの意味。本穴は温経散寒の作用がある。 |
頭痛、面腫、鼻血、口舌腫痛、咽喉腫痛、肩背痠痛、腸鳴腹痛、癲癇、精神病、吐舌 |
郄穴 |
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LI8 |
在輔骨下、去上廉一寸(甲乙) |
短橈側手根伸筋、長橈側手根伸筋 |
廉は丘陵とか菱形の角をいう。本穴は前腕橈側にあり、上廉の下にある。 |
小腸病、頭痛が移動するもの、眩暈、目痛、肘臂痛、腹痛、消化不良、乳痛 |
|
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||
LI9 |
在三里下一寸(甲乙) |
長・短橈側手根伸筋 |
廉は丘陵とか菱形の角をいう。本穴は前腕橈側二あり、下廉の上方にある。 |
大腸病、頭痛、半身不随、上肢帯のだるさと麻痺、腹痛、腸鳴、泄瀉 |
|
|
||
LI10 |
在曲池下二寸(甲乙) |
長・短橈側手根伸筋 |
里は寸ともいう。肘髎より3寸なので手三里という。 |
胃病、腹脹、吐瀉、歯痛、声がれ、頬腫、頚部リンパ結核、半身不随、手臂麻痛、肘攣不伸、眼科疾患 |
|
|
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LI11 |
在肘外、輔骨中骨之中...以手按胸取之(甲乙) |
腕橈骨筋の橈側で長橈側手根伸筋の起始部 |
曲は肘を屈曲させる、池は水池のこと。取穴時、屈曲させた肘の横紋の陥凹が浅い池のようにみえる。手陽明の合穴で、脈気は肘に流れ水が注ぐ池の中のようである。 |
一切の皮膚病、一切の熱病、咽喉腫痛、手臂腫痛、上肢不随、手肘無力、月経不順、頚部リンパ結核、瘡、疥、丹毒、腹痛吐瀉、痢疾、歯痛、目赤痛、視力低下、高血圧、胸中煩満、小児のひきつけ、鬱病、寒熱往来、肩周炎 |
合土穴 |
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LI12 |
在肘大骨外廉陥者中(甲乙) |
肘を屈し、曲池の外上方1寸、上腕骨辺縁に取る。 |
腕橈骨筋の起始部 |
肘は肘部、髎は孔。本穴は肘の上の上腕骨陥凹にある。 |
肘臂痛、拘攣、麻木、嗜臥 |
|
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LI13 |
在肘上三寸、行向里大脈中央(甲乙) |
腕橈骨筋の起始部、上腕三頭筋前縁 |
里は寸のこと。本穴は天府の下5寸にある。 |
|
|
|||
LI14 |
肘上七寸胭肉端(甲乙) |
上腕骨の橈側、三角筋の下端 |
臂は上腕を、臑は上腕内側をいう。本穴は上腕内側にある。 |
頚部リンパ結核、頸項拘急、肩臂疼痛、目疾 |
|
手陽明絡、陽維之会 |
||
LI15 |
在肩端両骨間(甲乙) |
肩峰前下方で肩峰と上腕骨大結節の間に取る。上腕を水平に挙げ肩関節部に出現する二個の陥凹のうち、前の陥凹が肩髃。 |
三角筋の上部中央で肩峰と上腕骨大結節の間 |
髃は肩甲骨肩峰部のこと。本穴は肩峰と上腕骨大結節の間にある。 |
肩臂疼痛、手臂攣急、肩中熱、半身不随、過敏性皮膚炎、頚部リンパ結核 |
|
手陽明、陽蹻脈之会 |
|
LI16 |
在肩端上行両叉骨間陥者者中(甲乙) |
肩の外上方で鎖骨肩峰端と肩甲棘の間、陥凹部に取る。 |
僧帽筋、棘上筋、鎖骨肩峰端と肩甲棘の間 |
巨骨は缺盆骨すなわち鎖骨のこと。本穴は鎖骨肩峰端と肩甲棘の間の陥凹にある。 |
肩背・手臂疼痛、屈曲障害、頚部リンパ結核、甲状腺腫、癲癇で吐血 |
|
手陽明、陽蹻脈之会 |
|
LI17 |
深層は広頸筋、胸鎖乳突筋の後縁、深層は中斜角筋の起始部 |
咽喉腫痛、急な声がれ、呼吸困難、甲状腺腫、頚部リンパ結核 |
|
|
||||
LI18 |
在人迎後一寸五分(甲乙) |
まっすぐに椅子に座り、やや顔を仰向けにする。 頚部の側面で喉頭隆起の傍ら3寸、胸鎖乳突筋の胸骨頭と鎖骨頭の間に取る。 |
広頸筋、胸鎖乳突筋、深層は中斜角筋の起始部 |
扶は扶持、支え合う、突は高いところで喉ぼとけを指す。本穴は胸鎖乳突筋の胸骨頭と鎖骨頭が出会うところで二人の人が支え合っているように見える。 |
咳嗽、気喘、咽喉腫痛、急な声がれ、甲状腺腫、頚部リンパ結核 |
|
|
|
LI19 |
在直鼻孔下、侠水溝傍五分(甲乙) |
鼻孔外縁直下、水溝に水平に取る。 |
上唇挙筋の止端 |
禾は糧(かて)、髎は孔。口は穀物を納める関門であり、本穴は口の上際にある。 |
鼻ポリープ、鼻血、鼻づまり、鼻流清涕、口噤不開 |
|
|
|
LI20 |
在禾髎上、鼻下孔傍(甲乙) |
鼻翼外縁中点傍ら、鼻唇溝中に取る。 |
上唇挙筋 |
鼻の通りをよくし、鼻詰まりや嗅覚異常に効くことから。嗅覚の要衝で鼻の疾患の要穴。 |
鼻づまり、不聞香臭、鼻血、鼻炎、顔面神経麻痺、面痒、顔面浮腫、鼻ポリープ |
|
手陽明・足陽明之会 |
「経穴概論」教科書小委員会著では
(注1)合谷(LI4):第1中手骨と第2中手骨骨底の前の陥凹部、第2中手骨よりに取る。
(注2)曲池(LI11):肘を曲げ横紋の外端、上腕骨外側上顆と橈骨頭の間に取る。
(注3)臂臑(LI14):肩髃の下3寸に取る。
(注4)天鼎(LI17):扶突の下1寸、胸鎖乳突筋後縁に取る。
穴名 |
共同性 |
特殊性 |
解表 |
袪風解表宣肺 |
|
解表退熱、治項背之表邪 |
||
袪風疏衛清熱解表、宣肺、清肺 |
||
袪風解表、瀉大腸之熱 |
||
清熱解表、兼清上焦之熱 |
||
疏衛解表、宣肺、止咳、平喘 |
||
頭面部の風熱表邪 |
経絡の名前 |
読み方 |