LI11.曲池(きょくち)

取穴部位:肘を屈曲してできる肘窩横紋の外方で、上腕骨外側上顆の前

要穴:合土穴

筋肉:長橈側手根伸筋短橈側手根伸筋

運動神経:橈骨神経

知覚神経:外側前腕皮神経

血管:橈側反回動脈

 頚腕・肘関節障害、橈骨神経障害、高血圧、生理痛、咽頭炎、消化器系の働きを活発にして、顔のむくみをとる、目を酷使したことで起きる充血をとるなど首から上の疾患に効果を発揮します。また、ストレス、寝不足やなどで弱った胃腸にも効果があります。さらに、腕全体と肩こりに効果を発揮します。

「曲」は肘関節を屈曲することを指し、取穴の際ここに現れる陥凹の形状が浅い「池」に似ている

上半身の血行を促進し、肩や首の痛み、だるさ・のぼせ感を解消する。

主治・対象疾患

頭痛

肩こり

頸肩腕症候群

胸郭出口症候群

肘関節の運動障害

肘関節外側の知覚障害

肘関節外側痛

橈骨神経障害

上腕痛

前腕橈側痛

前腕橈側の知覚障害

腱鞘炎

高血圧

生理痛

生理不順

咽喉炎(のどの腫れ・痛み)

片麻痺

脳性麻痺

じんま疹

発疹

発熱

眼筋けいれん

眼瞼下垂

眼精疲労

眼痛

視力減退

眼の充血

結膜炎

角膜炎

眼瞼炎

下歯痛

アレルギー


LI11)曲池
(qu1chi2)(きょくち)・鬼臣(gui3chen2)(きしん)・鬼腿(gui3tui3)(きたい)・陽澤・目灸

【取穴】

肘外側、LU5)尺澤と上腕骨外側上顆を結ぶ線上の中点。

※肘を十分に屈曲したとき、肘窩横紋上外端の陥凹部にある。

【名の由来】

「曲=曲げる」「池=陥凹」。肘を曲げた時に、この位置に陥凹ができる事から。

【要穴】

『手陽明経合土穴(金経土穴/土生金/自経母穴)』

『標本:手陽明之本(肘骨)』

【交会】

・経筋:手陽明経筋の結する処(肘外)

【作用】

〔補〕調和気血・温経散寒

〔瀉〕気血宣通・解熱消炎・清熱陽明・舒筋活絡

【弁証主治】

◆大腸/胃/腎病「逆気而泄を治す/虚すれば其の母を補う」

胃腸障害(虚弱・萎縮性胃炎・下痢・便秘・血便・脱肛・口渇など)

アレルギー疾患(鼻炎・喘息・アトピー性皮膚炎など

サルコペニア(加齢性の腰痛〔得気が得られた段階で抜く。置鍼は必要ない〕)・視力低下・歯痛など

◆手陽明経(筋)病

項頚部痛・肩背のひきつれ、五十肩・上肢痛、悪寒〔灸7壮〕、炎症・第2指痛など

【主症主治】

『馬丹陽天星十二穴/熱性疾患(頚部リンパ節腫・帯状疱疹・出血傾向)・嚥下困難・肘痛・上肢のマヒなど』

【弁証配穴】

『募合配穴(大腸):上巨虚・曲池+天枢』…大腸実証〔瀉法〕

『原合配穴(陽明経):合谷+曲池』…手陽明経(手陽明経筋)病

【主症配穴】

『十三鬼穴:水溝〔左禾髎~右禾髎の透刺?〕⇒少商〔3分刺入〕⇒隠白〔3分刺入〕⇒太淵(大陵)〔5分刺入〕⇒申脈〔火鍼3分〕⇒風府⇒頬車〔温鍼〕⇒承漿〔左頤孔~右頤孔の透刺?〕⇒労宮(間使)⇒上星⇒会陰⇒曲池〔火鍼〕⇒鬼封〔瀉血〕/精神疾患』〔水溝から順に、症状を見ながら一つ一つ穴を加えていく。後渓を加えると尚良し〕


『中風七穴:百会+風池(曲鬢)+肩井+大椎(風市)+足三里+間使(懸鐘)+曲池/半身不随』

+少衝…発熱

+陽陵泉…半身不随・四肢の痙攣

+水溝〔瀉〕…猫背〔曲池は補〕

+肩井…頚部リンパ節腫

+丘墟〔透照海〕…胆嚢炎

+血海…アレルギー性の蕁麻疹・皮膚の痒み

【症例/個人的見解】

・土穴には中央という意味も兼ねるため、陽経では原穴に準じた運用をされることが多い。 つまり原穴同様、子午の表裏である足少陰腎経の病にも適用可能。

・個人的には原穴同様、【臓腑複合連関】でつながる「胃/大腸/腎」の複合的疾患に適応と考える。 

・去風退熱の要穴。また十三鬼穴の第十二穴。精神疾患に著効とあるが、発熱が前提であることを考慮すべし。

・背に灸する時は、過度の上逆を抑える為に同時に曲池にも灸をすること。

・検証:得気は肘全体に響く。浅層で腕橈骨筋に自律性攣縮あり。中層で『臂臑』と『陽渓』の両方向へ、深層では逆に響きが消える感じ。

編:はりきゅう治療院 伍行庵
埼玉県さいたま市中央区上落合2-5-35-1F