正経
気血が行き、満ち溢れている。正経には十二の脈があり、それぞれが独自の経穴を持っている。奇経の任脈、督脈だけは独自の経穴を持っており、正経十二経と結びつけて十四経とする場合もある。
正経に所属する経絡の一覧
手の太陰肺経 | 手の陽明大腸経 | 足の陽明胃経 |
足の太陰脾経 | 手の少陰心経 | 手の太陽小腸経 |
足の太陽膀胱経 | 足の少陰腎経 | 手の厥陰心包経 |
手の少陽三焦経 | 足の少陽胆経 | 足の厥陰肝経 |
奇経
奇経(きけい)とは、平常ではない奇異な経脈のことを意味している。常経である正経に対して特異な性質を持っている。
十二経には、気血が行くが、満ち溢れると、奇経に流入する。放水路のように常経の洪水を防ぐ働きをしている。奇経には八つの脈があり、それぞれ正経の経穴を使いまわしにしているが任脈、督脈だけは独自の経穴を持っており、正経十二経と結びつけて十四経とする場合もある。
奇経に所属する経絡の一覧
衝脈 |
陽蹻脈 |
陰蹻脈 |
陽維脈 |
陰維脈 |
帯脈 |
衝脈(しょうみゃく)は経絡の一つ。経脈の海と為す。また、血海という。その脈は任脈と、少腹の内、胞中に起こる。浮にして外なるものは気衝穴に起こる。足陽明と少陰二経の間に並ぶ。腹上を循り行きて横骨穴に至る。臍を挾んで左右各5分、上行して大赫穴、気穴穴、四満穴、陰交穴、中注穴、肓兪穴、商曲穴、石関穴、陰都穴、通谷穴、幽門穴を経て胸中に至って散ず。 気衝穴→横骨穴→大赫穴→気穴穴→四満穴→中注穴→肓兪穴→商曲穴→石関穴→陰都穴→腹通谷穴→幽門穴 宗穴-公孫穴 衝脈病衝脈病(しょうみゃくびょう)とは奇経の一つである衝脈の病である。 症状主に気急(呼吸困難)、気逆、胸腹部の脹痛などが起こるとされている。 『難経・二十九難』「衝之為病、逆気而裏急」の記載が根拠となっており、「逆気」とは、「気が上逆する症状」、「裏急」とは、「胸腹痛」を意味している。 治療鍼灸については「衝脈」を参照 |
陽蹻脈
陽蹻脈(ようきょうみゃく)は経絡の一つ。足の太陽の別脈、その脈、踝中に起こり、外果の下、足の太陽の申脈穴に出、外果の後循って僕参穴を本と為す。上って外果の上3寸、跗陽穴を以って郄と為す。直下して股の外廉を循り脅(腋下より肋骨尽くるところ)の後、上腕の内側を循り、臑兪穴にして手の太陽と陽維とに会す。 肩の外廉を上行し、巨骨穴で手の陽明、肩髃穴で手の陽明、少陽と会す。人迎を上り、口吻を挾み、地倉穴で手足の陽明と任脈に会す。足の陽明を上り、巨髎穴に行く。また承泣穴にて任脈と会し、目の内眥に至って手足の太陽、足の陽明、陰蹻五脈と睛明穴に会す。睛明穴より上行して髪際に入り、耳の後を下り、風池穴に入って終わる。 申脈→僕参→跗陽→居髎→臑兪→巨骨→肩髃→地倉→巨髎→承泣→睛明→風池 宗穴-申脈 郄穴-跗陽
陽きょう脈病陽蹻脈病(ようきょうみゃくびょう)とは奇経の一つである陽蹻脈の病である。 症状主に身体の内側の筋肉が弛緩し外側の筋肉が拘急する、狂走、目が閉じないなどが起こるとされている。 治療鍼灸においては陽蹻脈を参照。 |
陰蹻脈
陰蹻脈(いんきょうみゃく)は経絡の一つ。足の少陰の別脈、その脈、跟中に起こり、足の少陰の然谷穴の後、同じく内果の下、足の少陰の照海穴を循り、上って内果の上2寸、交信穴を以って郄と為す。直上して陰股を循り、陰上に入り、胸裡を循って缺盆に入り、上って人迎穴の前に出、咽嚨に至り衝脈を交貫し頄の内廉に入る。上行して内眥に属し、手、足の太陽、足の陽明、陽蹻の五脈と睛明穴で会す。 然谷→照海→交信→睛明 宗穴-照海 郄穴-交信 陰きょう脈病陰蹻脈病(いんきょうみゃくびょう)とは奇経の一つである陰蹻脈の病である。 主に身体の外側の筋肉が弛緩し内側の筋肉が拘急する、下肢厥冷などが起こるとされている。 治療鍼灸においては陰蹻脈を参照。 |
陽維脈(よういみゃく)は経絡の一つ。諸陽の会に起こる。その脈、足の太陽の金門穴に発す。外果の下1寸5分に存り、外果の上、7寸に上り足の少陽、陽交穴に会す。陽維の郄と為す。膝の外廉を循り、髀厭を上り、少腹側に抵り、居髎穴にて足の少陽と会す。脅肋を斜め上に循り、肘の上の臂臑穴にて手の陽明、手、足の太陽と会する。肩の前を過ぎ、臑会穴、天髎穴で手、足の少陽と会す。却って肩井穴で手、足の少陽、足の陽明と会す。肩の後に入り、手の太陽、陽蹻脈と臑兪に会す。上りて耳の後を循り、風池穴で手、足の少陽と会す。脳空穴、承霊穴、正営穴、目窓穴、頭臨泣穴を上り、額に下り、陽白穴で手、足の少陽、手、足の陽明の五脈と会す。頭を循って耳に入り、上って本神穴に止る。 金門→陽輔→陽交→臂臑→天髎→臑兪→風池→瘂門→風府→脳空→承霊→正営→目窓→頭臨泣→陽白→本神 宗穴-外関 郄穴-陽交 維脈病陽維脈病(よういみゃくびょう)とは奇経の一つである陽維脈の病である。 主に寒熱に関わる病(冷え、発熱、悪寒等)などが起こるとされている。 治療鍼灸においては陽維脈を参照。 |
陰維脈(いんいみゃく)は経絡の一つ。諸陰の交に起こる。足の少陰の築賓穴に発する。陰維の郄穴と為す。内果の上5寸、腨肉分中にあり、上って股の内廉を循り、上行して小腹に入る。府舎穴で足の太陰、厥陰、少陰、陽明と会す。上って大横穴、腹哀穴で足の太陰と会し、脅肋を循って期門穴で、足の厥陰と会す。胸膈を貫き咽に上り、天突穴、廉泉穴で任脈と会し、上って頂前に至って終わる。 築賓→衝門→府舎→大横→腹哀→期門→天突→廉泉 宗穴-内関 郄穴-築賓 陰維脈病陰維脈病(いんいみゃくびょう)とは奇経の一つである陰維脈の病である。 症状主に心痛などが起こるとされている。 治療鍼灸においては陰維脈を参照。 |
帯脈(たいみゃく)は、経絡の一つ。季脅に起こり、足の厥陰、章門穴と足の少陽、帯脈穴を循り、身を囲して一周して束帯然の如し。また五枢穴、維道穴で足の少陽と会す。 章門穴→帯脈穴→五枢穴→維道穴 宗穴-足臨泣穴 帯脈病帯脈病(たいみゃくびょう)とは奇経の一つである帯脈の病である。 症状主に腹部の脹満、臍から腰周りの痛み、女性では赤白帯下などが起こるとされている。 治療]鍼灸においては帯脈を参照。 |
任脈
任脈病(にんみゃくびょう)とは奇経の一つである任脈の病である。 症状主に男性では疝気、女性では帯下、月経不順などが起こるとされている。 治療鍼灸においては任脈を参照。 |
督脈
督脈病症状主に脊柱部の強ばり、頭重感、頭痛、小児ではひきつけなどが起こるとされている。 治療鍼灸においては督脈を参照。 |