足の少陽胆経(あしのしょうようたんけい、中国語 足少陽胆經 zu shaoyang danjīng、英:The Gallbladder Meridian of Foot-ShaoyangもしくはZushaoyang Danjingxue)は経絡の一つ。胆経に属する足を流れる陽経の経絡である。肝臓と胆嚢は共に中国の五行(木、火、土、金、水)でいうと木に属するため密接な関係を持つ。また、流注によると胆嚢はもとより、耳のまわりを取り囲んでいるため耳の痛みにこの胆経の経穴を使うこともある。胆経の募穴は日月穴。
国際表記はGBと表記する。
足少陽胆経病
足少陽胆経病(あししょうようたんけいびょう)とは正経の一つである足の少陽胆経の病である。
症状
主に口苦、溜息をつく、片頭痛、胸・脇・肋・髀・膝外側・脛骨外側痛、足の第四趾の麻痺などが起こるとされている。
治療
鍼灸においては足の少陽胆経を参照。
目次
外眼角(瞳子髎穴)に起こり、上って側頭部に抵り、耳の後に下り、頚を循ったのち、肩に上る。大椎穴で左右が交わり、肩を循ったのち缺盆穴に入る。その支なるものは耳後より耳中に入り、耳前に出て目じりに至る。
その支なるものは外眼角より別れて大迎穴に下り、頬に上り、手の少陽三焦経に合し、下って下顎角へ行き、ついで缺盆穴の先のものと合する。缺盆穴から胸中に下り、横隔膜を貫いて肝を絡い胆に属する。その直なるものは肩から側胸部、季肋部を循り、別支は胆に属したのち脇を循り、鼠径部の気衝穴に入り、ともに股関節のあたりに入り合する。
股関節のあたりから大腿および下腿の外側を下り、足の第4指の末端に終わる。その支なるものは足背から分かれて母指に行き、足の厥陰肝経に連なる。
GB1.瞳子髎(どうしりょう)
取穴部位:外眼角の外5分
筋肉:眼輪筋
運動神経:顔面神経
知覚神経:上顎神経
血管:頬骨眼窩動脈
GB2.聴会(ちょうえ)
取穴部位:耳珠の前下方で、口を開ければ陥凹のできるところ
知覚神経:耳介側頭神経
血管:浅側頭動脈
取穴部位:頬骨弓中央の上際 禁鍼穴 筋肉:側頭筋 運動神経:三叉神経 知覚神経:耳介側頭神経 血管:頬骨眼窩動脈 |
GB4.頷厭(がんえん)
取穴部位:頭維穴と懸釐穴を結ぶ線上で、頭維穴の下1寸
知覚神経:耳介側頭神経
血管:浅側頭動脈前頭枝
GB5.懸顱(けんろ)
兵法:霞(かすみ)
取穴部位:頭維穴と懸釐穴を結ぶ線上で、頭維穴の下2寸、コメカミのほぼ中央
知覚神経:耳介側頭神経
血管:浅側頭動脈前頭枝
GB6.懸釐(けんり)
兵法:両毛(りょうもう)
取穴部位:頭維穴の下3寸で、側頭下髪際と前兌髪際との接点
知覚神経:耳介側頭神経
血管:浅側頭動脈前頭枝
GB7.曲鬢(きょくびん)
取穴部位:角孫穴と和髎穴の中間
知覚神経:耳介側頭神経
血管:浅側頭動脈
GB8.率谷(そっこく)
取穴部位:角孫穴の上1寸5分
血管:浅側頭動脈の枝
GB9.天衝(てんしょう)
取穴部位:耳後髪際の上2寸の部から前3分
知覚神経:小後頭神経
血管:浅側頭動脈
GB10.浮白(ふはく)
取穴部位:耳後髪際の上1寸
筋肉:側頭筋
運動神経:三叉神経
知覚神経:小後頭神経
血管:後耳介動脈
GB11.頭竅陰(あたまのきょういん)
取穴部位:浮白穴と完骨穴のほぼ中央で、乳様突起基底部の後、陥凹部
筋肉:後頭筋
運動神経:顔面神経
知覚神経:小後頭神経
血管:後耳介動脈
GB12.完骨(かんこつ)
取穴部位:乳様突起中央の後方で、髪際を4分入ったところの陥凹部
知覚神経:小後頭神経
血管:後頭動脈
GB13.本神(ほんじん)
取穴部位:神庭穴と頭維穴を結ぶ線上で、頭維穴の内方1寸5分、神庭穴の外方3寸
筋肉:前頭筋
運動神経:顔面神経
知覚神経:眼窩上神経
血管:眼窩上動脈
GB14.陽白(ようはく)
取穴部位:眉弓中央の上1寸
筋肉:前頭筋
運動神経:顔面神経
知覚神経:眼窩上神経
血管:眼窩上動脈
GB15.頭臨泣(あたまのりんきゅう)
取穴部位:瞳孔の直上で、神庭穴と頭維穴を結ぶ線上との交点、神庭穴の外方2寸2分5厘
禁灸穴
筋肉:前頭筋
運動神経:顔面神経
知覚神経:眼窩上神経
血管:眼窩上動脈
GB16.目窓(もくそう)
取穴部位:頭臨泣穴の後1寸
筋肉:帽状腱膜
知覚神経:眼窩上神経
血管:眼窩上動脈
GB17.正営(しょうえい)
取穴部位:頭臨泣穴の後2寸、目窓穴の後1寸
筋肉:帽状腱膜
知覚神経:眼窩上神経
GB18.承霊(しょうれい)
取穴部位:頭臨泣穴の後3寸5分、正営穴の後1寸5分
禁鍼穴
筋肉:帽状腱膜
知覚神経:大後頭神経
血管:後頭動脈
GB19.脳空(のうくう)
取穴部位:頭臨泣穴の後5寸、承霊穴の後1寸5分で、脳戸穴の外方2寸
筋肉:後頭筋
運動神経:顔面神経
知覚神経:大後頭神経
血管:後頭動脈
GB20.風池(ふうち)
取穴部位:乳様突起下端と瘂門穴との中間で、後髪際陥凹部
運動神経:脊髄神経後枝
知覚神経:頚神経後枝
血管:後頭動脈
GB21.肩井(けんせい)
兵法:肩先(けんせん)
禁鍼穴
筋肉:僧帽筋
知覚神経:鎖骨上神経
血管:頚横動脈
GB22.淵腋(えんえき)
取穴部位:腋窩中央の下方3寸で、中腋窩線上の肋間、正中線より外方8寸
禁灸穴
筋肉:前鋸筋
運動神経:長胸神経
知覚神経:肋間神経外側皮枝
GB23.輒筋(ちょうきん)
兵法:脇下(きょうか)
取穴部位:淵腋穴より乳頭に向かい1寸、正中線より外方7寸
筋肉:前鋸筋
運動神経:長胸神経
知覚神経:肋間神経外側皮枝
GB24.日月(じつげつ)
取穴部位:期門穴の直下5分 要穴:胆経の募穴 運動神経:肋間神経 知覚神経:肋間神経前皮枝、肋間神経外側皮枝 血管:肋間動脈 |
GB25.京門(けいもん)
兵法:脇陰(きょういん)
取穴部位:第12肋骨前端下際
要穴:腎経の募穴
知覚神経:肋間神経外側皮枝
血管:肋間動脈
GB26.帯脈(たいみゃく)
兵法:後月影(うしろげつえい)
取穴部位:章門穴の下1寸8分で、臍と同じ高さの水平線上
知覚神経:肋間神経外側皮枝
血管:肋間動脈
GB27.五枢(ごすう)
取穴部位:帯脈穴の内下方3寸、上前腸骨棘の内側
知覚神経:腸骨下腹神経
血管:浅腸骨回旋動脈
GB28.維道(いどう)
取穴部位:五枢穴の内下方5分
知覚神経:腸骨下腹神経
血管:浅腸骨回旋動脈
GB29.居髎(きょりょう)
取穴部位:維道穴から環跳穴に向かい下3寸、上前腸骨棘と大転子の中間
運動神経:上殿神経
知覚神経:外側大腿皮神経、腸骨下腹神経外側皮枝
血管:外側大腿回旋動脈
GB30.環跳(かんちょう)
取穴部位:側臥して股関節を深く屈し、股関節横紋の外端、大転子の前上方陥凹部
運動神経:上殿神経
知覚神経:上殿皮神経
血管:上殿動脈
GB31.風市(ふうし)
取穴部位:大腿骨外側上顆の上7寸、腸脛靭帯と大腿二頭筋の間、大腿外側、膝の上7寸、両筋の間、直立して手掌を大腿外側に当て中指尖端の下際
知覚神経:外側大腿皮神経
血管:外側大腿回旋動脈下行枝
GB32.中瀆(ちゅうとく)
兵法:潜竜(せんりゅう)
取穴部位:大腿骨外側上顆の上5寸で、腸脛靭帯と大腿二頭筋の間
筋肉:腸脛靭帯、大腿二頭筋腱
運動神経:坐骨神経
知覚神経:外側大腿皮神経
血管:外側大腿回旋動脈
GB33.膝陽関(ひざのようかん)、足陽関(あしのようかん)、寒府(かんぷ)
取穴部位:陽陵泉穴の上3寸で、大腿骨外側上顆の上際で、腸脛靭帯と大腿二頭筋腱の間
禁灸穴
筋肉:腸脛靭帯、大腿二頭筋腱
運動神経:坐骨神経
知覚神経:外側大腿皮神経
血管:外側上膝動脈
GB34.陽陵泉(ようりょうせん)
取穴部位:膝をたてて腓骨頭の前下際
要穴:合土穴、筋会、足の太陽膀胱経の下合穴
筋肉:長腓骨筋
運動神経:浅腓骨神経
知覚神経:外側腓腹皮神経
血管:外側下膝動脈、後脛骨動脈の腓骨回旋枝
GB35.陽交(ようこう)
取穴部位:外果から陽陵泉穴に向かい上7寸
筋肉:長腓骨筋
運動神経:浅腓骨神経
知覚神経:外側腓腹皮神経
血管:前脛骨動脈
GB36.外丘(がいきゅう)
取穴部位:外果の上7寸、陽交穴の後方で長腓骨筋とヒラメ筋の間
要穴:郄穴
知覚神経:外側腓腹皮神経
血管:前脛骨動脈
GB37.光明(こうめい)
取穴部位:外果から陽陵泉穴に向かい上5寸
要穴:絡穴
筋肉:長腓骨筋
運動神経:浅腓骨神経
知覚神経:外側腓腹皮神経
血管:前脛骨動脈
GB38.陽輔(ようほ)
取穴部位:外果の上4寸の部より前3分
要穴:経火穴
筋肉:短腓骨筋
運動神経:浅腓骨神経
知覚神経:外側腓腹皮神経、浅腓骨神経
血管:前脛骨動脈
取穴部位:外果から陽陵泉穴に向かい上3寸
要穴:髄会
筋肉:短腓骨筋
運動神経:浅腓骨神経
知覚神経:外側腓腹皮神経、浅腓骨神経
血管:前脛骨動脈
GB40.丘墟(きゅうきょ)
取穴部位:外果の前下方、足部を外転背屈し、最も陥凹するところ
要穴:原穴
筋肉:下伸筋支帯
知覚神経:浅腓骨神経
GB41.足臨泣(あしのりんきゅう)
兵法:草隠(くさがくれ)
取穴部位:第4・第5中足骨底間の陥凹部
要穴:兪木穴
筋肉:第4背側骨間筋
運動神経:外側足底神経
知覚神経:浅腓骨神経
血管:第4背側中足動脈
GB42.地五会(ちごえ)
取穴部位:第4中足指節関節の後、外側陥凹部
筋肉:第4背側骨間筋
運動神経:外側足底神経
知覚神経:浅腓骨神経
血管:第4背側中足動脈
取穴部位:第4中足指節関節の前、外側陥凹部 要穴:滎水穴 筋肉:第4背側骨間筋 運動神経:外側足底神経 知覚神経:浅腓骨神経 血管:第4背側中足動脈 |
GB44.足竅陰(あしのきょういん)
取穴部位:足の第4指外側爪甲根部、爪甲の角を去ること1分
要穴:井金穴
知覚神経:浅腓骨神経
血管:第4背側中足動脈の枝
関連項目
足の少陽胆経
WHO |
ツボ名 |
場所 |
こんな時に使う |
ツボの由来 |
GB-1 |
瞳子リョウ |
外眼角の外5分に取る。 |
眼の諸疾患、頭痛 |
「瞳子」は瞳孔。「リョウ」は骨の隙間を指す。本穴が眼の横にあるため。 |
GB-2 |
聴会 |
耳珠の前下方で口を開けば陥凹のできるところに取る。 |
耳の諸疾患、歯痛、顔面神経麻痺、耳下腺炎 |
「会」は集まる。本穴は耳聾や気閉を治し、音が集まり、聴覚が戻るという意味。 |
GB-3 |
上関 |
頬骨弓中央の上際に取る。 |
顔面神経麻痺、三叉神経痛、顔面痙攣、歯痛、頭痛 |
別名を客主人。本穴は頬骨弓を挟んで上にあるため。 |
GB-4 |
頷厭 |
頭維(胃経)から曲鬢を結ぶ曲線上で頭維から4分の1のところに取る。 |
頭痛、めまい、耳鳴り |
「頷」は下顎を指し。「厭」は合わせる。下顎が運動する時、咀嚼筋の動きに合わせて動くため。 |
GB-5 |
懸顱 |
頭維(胃経)から曲鬢を結ぶ曲線上の中点に取る。 |
頭痛、めまい、耳鳴り、目赤 |
「懸」=解放する、ここでは治療をし緩和すること。「顱」=頭部。頭部の諸症状を緩和するため。 |
GB-6 |
懸釐 |
頭維(胃経)から曲鬢を結ぶ曲線上で頭維から4分の3のところに取る。 |
頭痛、めまい、耳鳴り、目赤 |
「懸」=治療をして緩和すること(頭部の諸症状に良い)。「釐」=わずかの差。懸顱穴とはわずかの差だが、山のように隔たっているという意味。 |
GB-7 |
曲鬢 |
もみあげ後縁の上方で、耳尖の高さに取る。 |
頭痛、歯痛、顎関節障害、構音障害 |
「曲」は曲がること、「鬢」は側頭部の耳前の髪の毛を指す。、率谷穴まで経脈がここより曲がるため。 |
GB-8 |
率谷 |
角孫(三焦経)の上1寸5分に取る。 |
頭痛、めまい、耳鳴り、目赤 |
「率」=めぐる。「谷」=陥凹部。本穴は耳のあたりの髪際に沿い、3つの縫合線部にあるため。 |
GB-9 |
天衝 |
率谷の後方5分に取る。 |
頭痛、歯痛、歯肉の腫脹・疼痛 |
「天」は頭頂にある百会穴のこと。「衝」は通ずる道のこと。本穴は百会へ通ずる道の役割を持つ。気滞による頭部の痛みを取る作用がある。 |
GB-10 |
浮白 |
耳尖直後の髪際の後方1寸に取る。 |
頭痛、めまい、耳鳴り |
「浮」は浅い表、経気が軽く浮いて上昇すること。「白」は五臓の肺に属す。肺疾患に有効な経穴のため。 |
GB-11 |
頭竅陰 |
乳様突起の後上方で、完骨から天衝に向かって約3分の1のところに取る。 |
頭痛、めまい、耳鳴り |
「頭」は頭部、「竅」は孔、「陰」は陰陽の陰。耳の後ろ(陰側)にあることと、本穴は七竅(眼・鼻・口・耳)の諸症状に効果があるため。 |
GB-12 |
完骨 |
乳様突起基底部の後下方の陥凹部に取る。 |
頭痛、頚項部痛、歯痛、肩こり |
乳様突起を昔は完骨と呼んでいた。本穴がその下にあるため。 |
GB-13 |
本神 |
神庭穴と頭維穴を結ぶ線上で、頭維穴の内方1寸5分に取る。 |
頭痛、めまい、頚項部痛、不眠症 |
脳は人の根本で、元神の府である。本穴は前頭部で、神庭に横にあり、その内は脳であるため。 |
GB-14 |
陽白 |
眉毛中央の上1寸に取る。 |
頭痛、眼の諸疾患、三叉神経痛、顔面神経麻痺 |
「白」=明るい光。本穴は眼疾患に効果があり、ここを刺激すると、陽光が射すほどにものがはっきりと見えるようになるといわれることから。 |
GB-15 |
頭臨泣 |
瞳孔の直上で、神庭穴と頭維穴を結ぶ線上との交点に取る。 |
頭痛、めまい、眼の諸疾患、鼻の諸疾患 |
「泣」=声を上げずに泣くこと。人は泣く寸前に鼻腔から前頭部にかけて涙があふれてくる。この上腋の道を鼻水と涙が下るところのため。 |
GB-16 |
目窓 |
頭臨泣穴の後1寸に取る。 |
頭痛、めまい、眼の諸疾患、鼻の諸疾患 |
「目」は眼、「窓」は光を入れる窓。本穴の脈気は眼に通じ、眼の窓を明るくする。 |
GB-17 |
正営 |
頭臨泣穴の後2寸、目窓穴の後1寸に取る。 |
頭痛、めまい、歯痛 |
「正」は正確。「営」は営気の意味。頭部5穴の真ん中にあり陽気が集結するところ。 |
GB-18 |
承霊 |
頭臨泣穴の後3寸5分、正営穴の後1寸5分に取る。 |
頭痛、めまい、鼻の諸疾患 |
「承」は受ける。「霊」は神のこと。本穴は頭頂で通天の傍らにあり、神の思惟活動に関与しているため。 |
GB-19 |
脳空 |
頭臨泣穴の後5寸、承霊穴の後1寸5分で、脳戸穴の外方2寸に取る。 |
頭痛、めまい、頚項部痛、動悸 |
「空」は孔や陥凹。本穴は脳戸の横で、後頭骨下部の陥凹部に挟まれているため。 |
GB-20 |
風池 |
乳様突起下端と?門穴との中間で、後髪際陥凹部に取る。 |
頭痛、まめい、眼の疾患、感冒、発熱、肩こり |
「池」=浅い溝。本穴は風邪が好んで滞積するところ。 |
GB-21 |
肩井 |
肩?穴と大椎穴を結ぶ線のほぼ中間で、乳頭線上に取る。 |
後頭部痛、頚腕障害、肩こり、背部痛 |
「肩」は肩部。「井」は陥凹の経気の深いところ。本穴は肩部にあり、その下の胸郭は井戸のような空洞のため。 |
GB-22 |
淵液 |
腋窩中央の下方3寸で、中腋窩線上の肋間に取る。 |
胸脇苦満、肋間神経痛、腋窩部の腫脹 |
「淵」は深い溝。「液」は腋に通ず。淵液はもともと腋のことで、本穴は腋に深いところにあるから。 |
GB-23 |
輒筋 |
淵液穴より乳頭へ向かい1寸に取る。 |
胸脇苦満、肋間神経痛 |
「輒」=轍。本穴は肋間にあり、湾曲しているさまが肋骨ににている。「筋」=筋肉。第四肋間間隙の筋肉にあることから。 |
GB-24 |
日月 |
期門穴の直下5分に取る。 |
胸脇苦満、肋間神経痛、嘔吐、げっぷ、黄疸 |
本穴は胆経の募穴で、胆は中正の官、決断の出るところ。決断=明(真理)。明の字は、日と月からできているから。 |
GB-25 |
京門 |
第12肋骨前端下際に取る。 |
腹脹、腸鳴、下痢、腹部膨満 |
「京」は都のこと、「門」は気血の往来するところ。本穴は腎の募穴であるので、腎は水を主るので、ここでは、水門のこと。水道不利に有効。 |
GB-26 |
帯脈 |
章門穴の下1寸8分で、臍と同じ高さの水平線上に取る。 |
婦人病、腹痛、腰肋痛、疝気 |
腰紐のように腰部に位置するので名づけられた。 |
GB-27 |
五枢 |
帯脈穴の内下方3寸で、上前腸骨棘の内側に取る。 |
婦人病、腹痛、腰肋痛、疝気 |
「五」は五臓のこと、「枢」は枢要のこと。腹部の胆経の真ん中に五枢がある。本穴は五臓の気の集まる枢要な部である。 |
GB-28 |
維道 |
五枢穴の内下方5分に取る。 |
婦人病、腹痛、腰肋痛、疝気 |
「維」=つなぐ、「道」=通り道。本穴は帯脈が連接して身体正面を通り道となっている。 |
GB-29 |
居リョウ |
維道穴から環跳穴に向かい下3寸に取る。 |
腰腿痛、片麻痺 |
「居」は屈曲・かがむ。「リョウ」は骨の陥凹部。膝を屈して、できた陥凹部にある。 |
GB-30 |
環跳 |
仙骨裂孔(督脈の腰兪)と大転子の頂点とを結ぶ線を3等分し、大転子の頂点から3分の1のところに取る。 |
坐骨神経痛、殿部痛、片麻痺、下腿の知覚・運動障害 |
「環」は環の様に曲げること。「跳」は跳躍の意味。股関節周囲の動きに関することを主治とする。 |
GB-31 |
風市 |
立位して上肢を下垂したとき、大腿外側に中指頭があたるところで、腸脛靱帯と大腿二頭筋の間に取る。 |
片麻痺、下腿の知覚・運動障害 |
「市」は集合・集結。「風市」は風気の集結するところを指す。 |
GB-32 |
中トク |
膝窩横紋の上方7寸で、腸脛靱帯と大腿二頭筋腱の間に取る。 |
片麻痺、下腿の知覚・運動障害 |
「トク」は溝。用水路。大腿部の外側にあり、風市と足陽関の間にあり、その中央にある。脈気が狭い水道を流れるように通過する。 |
GB-33 |
足陽関 |
中?から腸脛靱帯後縁に沿って下がると大腿骨外側上顆に触れ、その上縁に取る。 |
膝関節障害、下腿の知覚・運動障害 |
「陽」は膝外側(陽側)、「関」は関節を指す。膝の陽関ともいう。 |
GB-34 |
陽陵泉 |
膝をたてて腓骨頭に前下際に取る。 |
片麻痺、膝関節障害、下腿の知覚・運動障害、口苦、嘔吐 |
「陽」は足の外側面、「陵」は高いところで腓骨頭を指す。「泉」は腓骨頭前下部の小さな陥凹部を指す。経気の集まるところ。 |
GB-35 |
陽交 |
外果の上7寸、外丘の後方で長腓骨筋とヒラメ筋の間に取る。 |
片麻痺、膝痛、下腿の軟弱無力、胸脇苦満 |
「陽」は下腿の外側。「交」は交会する。胆経と陽維脈の交会穴であるため、名付けられた。 |
GB-36 |
外丘 |
外果から陽陵泉穴に向かい上7寸に取る。 |
項頚部痛、下腿外側痛、胸脇苦満 |
「外」=外側、「丘」=小さな隆起。下腿の外側にあり、筋肉が丘のように隆起するところにあるため。 |
GB-37 |
光明 |
外果から陽陵泉穴に向かい上5寸に取る。 |
眼の諸疾患、膝痛、下腿の知覚・運動障害 |
胆経の絡穴に属し、ここから別れては肝経に流れる。肝は眼に関与しているため、眼疾患を主治とし、眼に光明を与えることから、名付けられた。 |
GB-38 |
陽輔 |
外果の上4寸の部より前3分に取る。 |
頭痛、、眼の素疾患、片麻痺、下腿外側痛 |
「陽」は外。昔、腓骨を輔骨といった。本穴は腓骨の外側にあるため。 |
GB-39 |
懸鐘 |
外果から陽陵泉穴に向かい上3寸に取る。 |
片麻痺、項頚部の強ばり、胸脇苦満、下腿外側痛 |
「懸」はつり下げる。昔、子供や踊り子が、この部位ぶ鐘の形をした鈴をつり下げていたことから。別名を絶骨という。 |
GB-40 |
丘墟 |
外果の前下方、足部の外転背屈し、最も陥凹するところに取る。 |
項頚部痛、下腿の運動麻痺、外果腫脹・疼痛 |
「丘」=小高い丘。丘を大きくしたものを「墟」という。くるぶしの形が丘や墟のたとえて、名がついた。 |
GB-41 |
足臨泣 |
第4・第5中足骨底間の前、陥凹部に取る。 |
足背痛、眼の諸疾患、めまい |
足を臨み、経気は眼まで通じ眼科疾患を得意とする。眼は泣くところでもあるため、こう呼んだ。頭と足の臨泣は上下で相対している。 |
GB-42 |
地五会 |
第4中足指節関節の後、外側陥凹部に取る。 |
足背痛、頭痛、目赤、耳鳴り、めまい |
天が頭だと、「地」は足の意味。足背が赤く腫れあがり、5本の足の指が地につけない症状を治すとされ、また、五臓の気が出合うところでもあることから、名が付いた。 |
GB-43 |
キョウ渓(キョウ谿) |
第4中足指節関節の前、外側陥凹部に取る。 |
足背痛、頭痛、目赤、耳鳴り、めまい |
「侠」=狭い。「渓(谿)」=細い溝。本穴は足の第4趾・第5趾に挟まれた溝に内にあるため。 |
GB-44 |
足竅陰 |
足の第4指外側爪甲根部、爪甲の角を去ること1分に取る。 |
頭痛、目赤、耳鳴り、めまい、不眠、発熱 |
「竅」=隙間。五竅(眼・鼻・口・耳)は全て陰に属す。本穴は頭竅陰の主治と同じであり、部位が足部にあるため、名付けられた。 |