経絡療法の考察から
ここでは、「経絡学」、経穴学」から「経絡療法」へのアプローチを学びます。
WHO 表記 |
ツボ名 | 場所 | こんな時に使う | ツボの由来 |
KI-1 |
湧泉 ゆうせん |
足底中線上で、上1/3の陥凹部に取る。 | 足・腰・下腹部の冷え、足指痛、頭痛、不眠、高血圧、熱中症、失神 | 「湧」は底から水が噴水のように湧き出る様。腎経の脈気が湧き出ることから名づけられた。 |
KI-2 |
然谷 ねんこく |
足内側縁、舟状骨粗面の後下縁に取る。 | 足指痛、婦人病、泌尿器・生殖器系疾患、片麻痺、足の冷え | 舟状骨を然骨といい、そのくぼみにあることから。 |
KI-3 |
太渓 たいけい |
内果頂点の後方で、後脛骨動脈拍動部に取る。 | 足指痛、片麻痺、泌尿・生殖器系疾患、婦人病 | 内踝の大きなくぼみにあるため、湧泉から流れ出た、腎の気の流れがここで一つに集まり、大きな渓流となり、海へ注がれるから。 |
KI-4 |
大鐘 たいしょう |
太渓の下5分で、踵骨上縁、アキレス腱の前縁に取る。 | 内果腫痛、踵痛、足関節障害、泌尿・生殖器系疾患、婦人病、水腫 | 「鐘」=種。天から賦与されたもの(腎は先天の気。つまりは生まれ持った気を主る)の種。大鐘はまじりけのない精気の種が集まっているところという意。 |
KI-5 |
水泉 すいせん |
太渓の直下1寸、踵骨隆起の前の陥凹部に取る。 | 婦人病、踵痛、泌尿・生殖器系疾患 | 水泉はげき穴(経気が深いところにある)。腎は水の臓=水源。水源が深いところで溢れ出てくるという意。 |
KI-6 |
照海 しょうかい |
内果直下1寸に取る。 | 足関節障害、婦人病、泌尿・生殖器系疾患、不眠症、むくみ、アレルギー体質 | 「照」=光で照らす。「海」=川が一つになる深い場所。陽きょう脈の気が生じるところでもある。 |
KI-7 |
復溜 ふくりゅう |
太渓の直上2寸、アキレス腱の前縁に取る。 | 婦人病、泌尿・生殖器系疾患、むくみ、盗汗、下腿の知覚・運動障害、冷え症 | 「復」は再び戻ること。太渓→大鐘→水泉→照海から再び上行する意味。 |
KI-8 |
交信 こうしん |
復溜と脛骨内側縁との間に取る。 | 婦人病、泌尿・生殖器系疾患、盗汗、下腿の知覚・運動障害、冷え症、下痢 | 腎経は脾経の三陰交穴で交わるという説と生理周期を月信と言い、この経穴が生理不順に有効的という意味の説もある。 |
KI-9 |
築賓 ちくひん |
太渓の直上5寸、腓腹筋下垂部とヒラメ筋の間に取る。 | 下腿の知覚・運動障害 | 「築」=土台を築く。「賓」=主人と並ぶ来客。来客に当たるのが、腓腹筋・ヒラメ筋(もしくはアキレス腱)。その境目に属す為、下腿の痛み等に効果がある。 |
KI-10 |
陰谷 いんこく |
膝窩横紋の内側、半腱様筋腱と半膜様筋腱の間に取る。 | 膝窩内側の知覚・運動障害、膝の冷え、婦人病、泌尿・生殖器系疾患 | 「陰」=内側。膝の内側の谷間にあるという意味。 |
KI-11 |
横骨 おうこつ |
肓兪の下5寸、曲骨(任脈)外5分に取る。 | 婦人病、泌尿・生殖器系疾患、下腹痛 | 横骨は恥骨とも言った。横骨は恥骨の直上にあるため、横骨と呼んだ。 |
KI-12 |
大赫 だいかく |
肓兪の下4寸、中極(任脈)外5分に取る。 | 婦人病、泌尿・生殖器系疾患、下腹痛、下痢 | 「赫」は盛ん、はっきりするという意。この真下に子宮があるため、妊娠すると、ここが大きく膨らむため。 |
KI-13 |
気穴 きけつ |
肓兪の下3寸、関元(任脈)外5分に取る。 | 婦人病、泌尿・生殖器系疾患、下腹痛、下痢 | 腎気が集まるところで、ここに気を凝縮させる。 |
KI-14 |
四満 しまん |
肓兪の下2寸、石門(任脈)外5分に取る。 | 婦人病、泌尿・生殖器系疾患、下腹痛、下痢 | 「四」=四隅に広がるい。「満」=みたす。枠いっぱい。腹部の代表する不調(血・気・食積・水湿脹満)を主治としているため。 |
KI-15 |
中注 ちゅうちゅう |
肓兪の下1寸、曲骨(任脈)外5分に取る。 | 婦人病、便秘、下痢、腸鳴、腹痛 | この内側には胞宮や精巣があり、腎気が集まるところでここから胞中(子宮)へ注がれるから。 |
KI-16 |
肓兪 こうゆ |
神闕(臍)の外5分に取る。 | 婦人病、便秘、下痢、腸鳴、腹痛 | 「肓」=隠れた部分。横隔膜。「兪」=気の集まったくぼみ。衝脈との交会穴でもあり、婦人科系や消化器系に効果がある。 |
KI-17 |
商曲 しょうきょく |
肓兪の上2寸、下?(任脈)外5分に取る。 | 婦人病、便秘、下痢、腸鳴、腹痛 | 「商」=表裏関係の大腸の五音。大腸の曲弯部。つまり、腸鳴を表わしている。 |
KI-18 |
石関 せきかん |
肓兪の上3寸、建里(任脈)外5分に取る。。 | 便秘、下痢、腸鳴、腹痛、嘔吐、腹脹、不妊症 | 「関」は物が通らないこと。石のように頑固な疾病を通す効果のある穴。便秘や不妊など。 |
KI-19 |
陰都 いんと |
肓兪の上4寸、中かん(任脈)外5分に取る。 | 便秘、下痢、腸鳴、腹痛、嘔吐、腹脹 | 陰の気が集まって上へあがるのが都上がる様なので。胃の近くでもあるので、胃を整える作用がある。 |
KI-20 |
腹痛谷 はらつうこく |
肓兪の上5寸、上かん(任脈)外5分に取る。 | 嘔吐、腹痛、腹張、腹鳴、消化不良。 | 黄帝内経に『谷の道は脾を通ず』とある。水穀(飲食物)を上から下へ流す穴という意味。 |
KI-21 |
幽門 ゆうもん |
肓兪の上6寸、巨闕(任脈)外5分に取る。 | 嘔吐、腹痛、腹張、腹鳴、消化不良。 | 「幽」=暗い。「門」=胃の上口にある。この暗く秘められたところで、腹から胸に経気が流れるため。 |
KI-22 |
歩廊 ほろう |
第5肋間、中庭の外2寸に取る。。 | 咳嗽、喘息、嘔吐、食欲不振 | 「歩」=ゆっくり歩く。「廊」=ぐるりと回る。腎気がぐるりとゆっくりまわりながら、胸中に入っていくことから。 |
KI-23 |
神封 しんぽう |
第4肋間、だん中の外2寸に取る。 | 咳嗽、喘息、胸部苦満、嘔吐、食欲不振、乳部の腫脹 | 「神」=心。胸。「封」=境界線。胸中線の脇にあり、心に近いため。 |
KI-24 |
霊墟 れいきょ |
第3肋間、玉堂の外2寸に取る。 | 咳嗽、喘息、胸部苦満、嘔吐、乳部の腫脹 | 心神の住居である玉堂穴のとなりにあり、「霊」は心の意味。「墟」は土で盛られた高い山。霊墟は胸の高いところにあり、心神と関係しているため。 |
KI-25 |
神蔵 しんぞう |
第2肋間、紫宮の外2寸に取る。 | 肋間神経痛、喘息、咳嗽、胸部苦満、心胸痛 | 心に近い紫宮の両側で、霊墟の上にあり、神霊=心を守っている穴。 |
KI-26 |
ケ中 いくちゅう |
第1肋間、華蓋の外2寸に取る。 | 喘息、咳嗽、胸部苦満 | 「ケ」=郁。いろどりの意味。この経穴は肺の傍にあり、肺は別名:華蓋である。肺は文郁(華やかないろどり)の府と呼ばれている(肺は君主の車の上の絹の傘の形に似ている)ので、この名がついた。 |
KI-27 |
兪府 ゆふ |
鎖骨の下縁、せんきの外2寸に取る。 | 喘息、咳嗽、胸部苦満 | 「兪」は輸送する。「府」は集まるところ。腎気が足から胸へ運ばれ、最後にここに集結するから。 |