チャボガヤ                (イチイ科カヤ属:常緑低木:樹高 〜25メートル:花期 〜5月)

薬効
便秘 夜尿症(やにょうしょう) 腸管寄生虫症
 
分布生育場所

科名:イチイ科/属名:カヤ属
和名:矮鶏榧/学名:Torreya nucifera Var.radicans
本州・日本海側の多雪地帯、紀伊半島、四国・石鎚山の山地

イチイ科カヤ属カヤ
イチイ科イチイ属イチイ(一位)
イチイ科イチイ属キャラボク(伽羅木)

見分け方・特徴

イチイ科カヤ属カヤの多雪地帯に適応した変種で、本州・日本海側の多雪地帯、紀伊半島、四国・石鎚山の山地に自生
高さ1〜2.5メートルの雌雄異株の常緑針葉低木
若枝は、赤褐色でカヤより赤みを帯び、葉は、長さ約2センチ、幅約3ミリの線形、側枝は水平に2列に並び、表面は濃緑色で光沢があり、裏面には白い気孔線がある
花は、5月頃に、雄花は淡黄色の楕円形で前年枝の葉腋につき、雌花は、緑色で前年枝の先端に数個がつく
種子は、卵形で緑色で肉質の仮種皮に包まれ、翌年秋に紫褐色に熟し、淡赤褐色の種子がある
採集と調整
11月頃に、カヤの種子を採取して、種子の肉質の外種皮を取り除いて、天日で乾燥
これを生薬(しょうやく)で、榧実(ひじつ)、種子を榧子(ひし)と呼ぶ
薬効・用い方
有効成分は、種子には脂肪油ほかを含む

夜尿症には、実を炒って粉末にしたものを、1回につき0.3〜0.6グラム、1日3回お湯で飲むか、生の実を1〜2個焼いて食べる

十二指腸虫駆除には、空腹時に乾燥した実を粉末にしたものを、1日1回3〜5グラム服用する

翌年秋に熟した種子(内種皮の胚乳)は食用にする
その他
名の由来は、古代に葉を「蚊やり」に使ったといい、古名の「かへ」が転訛(てんか)して、カヤの名になったという

「延喜式(えんぎしき・927)」には、「典薬寮(てんやくりょう)」で、榧子(ひし)の貢物(みつぎもの)の記録があり、カヤの実を、腸内の寄生虫駆除、カヤの油を食用、頭髪油、灯火用に利用していたという記述がある

古代に日本では、灯火に、ゴマ油を燃やし、その後、エゴマ油、シソ油、ナタネ油を使っていたが、天候に左右されて油が採れない時には、カヤ、イヌガヤ、チャボガヤの実から油を採っていた