シソ(アカジソ)          (シソ科シソ属:1年草:草丈 〜60センチ:花期 〜9月)

薬効
便秘 食欲不振 消化不良 気管支炎(気管支カタル) せき・たん ノイローゼ(神経症)
花粉症           
分布生育場所

科名:シソ科/属名:シソ属
和名:紫蘇/生薬名:紫蘇葉(しそよう)/蘇葉(そよう)/紫蘇子(しそし)/学名:Perilla frutescens
日本全国で広く野菜のひとつとして栽培。
八百屋では大葉(オオバ)と呼ばれ、薬効もあるアオジソ

見分け方・特徴

シソの草丈は60センチくらい、茎は四角で葉は広卵形で縁にギザギザがあり茎に対生します。植物全体に高い香りがあり、茎葉とともに紫色で甘香があります。
9月ころに枝端に淡紫色の花を穂状に多数つけます。
品種が多く、茎葉が緑色で花が白色のアオジソ、葉がちりめん状にしわの多いものをチリメンジソ、両者の性質をもったアオチリメンジソ、表面が緑色で裏面が紫色のカタメンジソなどがあります。
採集と調整
シソの葉は6〜7月の開花前に採取し始めて、半日程度日干しにした後に、風通しのよい場所で陰干しにします。これを生薬で紫蘇葉(しそよう)または蘇葉(そよう)といいます。
10月ころに種子を採取して陰干しにしたものを、生薬(しょうやく)で紫蘇子(しそし)、茎だけを天日で乾燥したものを紫蘇梗(しそこう)といってそれぞれ薬用にします。
シソの精油は一般的には出穂期までが含量が多いので、7〜8月の開花期前に枝葉をつみ取るか、葉だけを乾燥させて冷暗所に保存しておきます。

また、シソにはアオジゾとアカジソの両系統がありますが、アカジソを薬用に使用します。
八百屋さんやスーパーで販売している、大葉とはアオジソの葉です。
薬効・用い方
シソの葉には殺菌、防腐、解熱、解毒作用があり、昔から梅干の着色、着香料や刺身のつまに用いられています。
ノイローゼ、ストレスなど気分がすぐれない場合や芳香性健胃、整腸、胃神経症、鎮静、せきなどに1日量5〜10グラムに水0.4リットルで煎じて半量まで煮詰めて2〜3回に分けて食前に服用します。
果実・紫蘇子(しそし)は鎮咳去痰、便秘によく効きとされて、茎の紫蘇梗(しそこう)は気分のもやもやを取り去り食欲不振、消化不良に有効とされています。
いずれも、1日量5〜10グラムに水0.4リットルで煎じて半量まで煮詰めて2〜3回に分けて食前に服用します。
慢性気管支炎の治療には、シソ葉と生姜(しょうきょう)を10:1で、煎じて毎日朝夜の2回服用をします。

サバなどの青みの魚の蕁麻疹(じんましん)には、シソ葉の粉末を小さじ1杯と熱湯を入れて飲用します。

栽培は、日当たりのよい土地で肥沃で排水の良い場所が最適です。種子は3月下旬から4月上旬に直播します。

浴湯料には、神経痛、腰痛、リューマチ、痔、打ち身、精神安定に葉や果実を採り、残った茎を浴槽に入れて入浴します。

薬用酒は、整腸、鎮痛、健脳、利尿に葉や種子を使用してホワイトリカーに漬けて薬用酒にします。

七味唐辛子
七味唐辛子は、トウガラシ山椒(サンショウ)胡麻(ごま)、 麻子仁(ましにん/麻の実)、陳皮(チンピ)、罌粟子(オウゾクシ/ケシの実)、紫蘇子(シソシ)の7種類から成る薬味
その他
シソの名前の由来は、「延喜式(えんぎしき・927)」に記述があり、「伊勢国、蘇子(いぬえのみ)一升、尾張国、紫蘇子(しそ)各 五升」とあります。
このイヌエとは、シソの古名ですが、エとは同じシソ科のエゴマのことをいい、エゴマに似て非なる(イヌ)植物として、イヌエと名づけられたといいます。

中国中南部地方原産で、日本には奈良、平安時代に渡来して薬用や香味用食品として現在まで各地で栽培されてきました。
古書には「その子(紫蘇子(しそし))は血行をよくし、寒を去り、内を温め、風邪を去り、痰を消し、肺を利し、喘を安く、胃を開き、食を進め、胎を安くす」と薬効を説明しています。「大和本草」には「紫蘇」を「葉の表裏ともに紫色で、香気があるものを佳品としています。」、また「採取は梅雨の前後にすみやかに葉をつみとること」と記述されています。

シソには、シアニジンやアレルギーを抑える抗ヒスタミン成分が多く含まれていて、アトピー性皮膚炎に効果があることが確認されて注目されています。
香気成分は、シソ油(精油)、ペリラアルデヒドなどで防腐作用があります。