サルトリイバラ      (ユリ科シオデ属:蔓性落葉低木:樹高 〜 メートル:花期 〜5月)

薬効
はれもの・できもの にきびなどの腫れ物 むくみ(浮腫・水腫)のときの利尿  
           
分布生育場所

科名:ユリ科/属名:シオデ属
和名:猿捕茨/生薬名:山帰来(さんきらい)/学名:Smilax china
日本全土の山野、平地。日本、朝鮮半島、中国の山野に広く分布します。
雌雄異株のつる性の落葉低木です。

ユリ科シオデ属シオデ(牛尾菜)

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サルトリイバラの花サルトリイバラの果実

見分け方・特徴

根茎は、不規則に分岐した塊状で、根はひげ状です。
茎には節があり、托葉(たくよう)の先がのびた巻ひげで、他のものにからみつきながら生長します。
全体に、少し曲がった刺がまばらにあり、葉は柄が短く、円形から広楕円形で茎に互生します。
3〜5本の主脈が明らかで、表裏とも無毛で平滑です。
花は、4〜6月に、黄緑色の小型の花が傘状につきます。
稚葉は柔かですが、成葉は皮革質です。5〜6月ころに黄緑色の6弁花をつけます。
果実は、類型の液果で秋から冬にかけて赤く熟し、種子は、黄褐色です。
採集と調整
秋に根茎を掘り取って水洗いして、乾燥しやすくするために、細かく切ってから天日で乾燥させます。
これを生薬(しょうやく)で、和の山帰来(さんきらい)といい、中国産の土茯苓(どぶくりょう)の代用とします。

生の柔らかい稚葉を必要な時に採取して、てんぷらにします。
赤く熟した果実は、生食してもよし、焼酎やホワイトリカーに漬けて薬用酒にもできます。


薬効・用い方
有効成分:根茎に、サポニン、タンニンなど

できものやはれものには、乾燥した根茎10〜15グラムを1日量として、水0.2リットルを加えて煎じ、約半量まで煮詰めて空腹時に3回に分けて服用します。
ニキビには、根茎10グラムとドクダミ15グラム、ハブ茶(エビスグサ)20グラムを混ぜて水0.5リットルを約半量まで煎じて、茶を飲むように1日数回に分けて服用します。しばらく、飲用を続けると効果があるとされています。

また、葉の場合は、柔らかいものはそのまま乾燥させて、堅いものは蒸してから乾燥させます。約10グラムを0.3リットルの水で煎じ、約半量まで煮詰めたものを1日量として食前か食間に3回に分けて服用。
むくみのときの利尿には、前記と同量を1日3回空腹時に服用。

中国では、胃がん、食道ガン、直腸がん、乳腺がん、子宮がん、鼻咽がんの治療に用いられ、根茎を水洗いして薄切りにして、日干しにします。毎日この乾燥片250〜500グラムを3〜3.5リットルの水に約1時間浸してから、弱火で約3時間煎じ、かすをとり除き豚の脂肉30〜60グラムを加えてさらに約1時間煎じて0.5リットル程度まで煮詰たものを、1日数回に分けて服用します。
そのほか、咽頭がんには、ウツボグサ(夏枯草・カゴソウ)を加えて煎じます。

赤く熟した果実は、約200〜300グラム採取して、約3倍量の35℃ホワイトリカーに約3ヶ月冷暗所に漬け込み、材料を引き上げます。
オレンジ色を帯びた、カーマインレッド色の薬用酒になります。
その他
サルトリイバラの名前の由来は、サルトリイバラは、刺のあり茎を伸ばして、蔓(つる)を生かして枝から枝へと絡み付き、藪(やぶ)のようになったところに猿が追い込まれると、動けなくなってしまうと言う事から猿捕り茨(さるとりいばら)という名がついたとされています。

関西以西では、サルトリイバラの葉の大型のものを5月頃にとり、カシワの葉と同じように餅を包む習慣があります。また、若葉を春先に、ゆでて水にさらして、おひたし、あえもの、天ぷらにして食べます。