鍼灸の適応 <WHO(世界保健機関)>
一般に、鍼灸療法は肩こり,腰痛、神経痛、関節炎ぐらいにしか効果が無いように思われがちですが、多くのつらい症状や病気に効果があります。
最近、NIH(米国 国立衛生研究所)の見解として鍼灸療法の各種の病気に対する効果とその科学的根拠、西洋医学の代替治療として効果について有効であると発表しました。
WHO(世界保健機関)で鍼灸療法の有効性を認めた病気には、次ぎのものを挙げています。
上記疾患のうち「◎神経痛・◎リウマチ・◎頚肩腕症候群・◎頚椎捻挫後遺症・◎五十肩・◎腰痛」は、わが国においては、鍼灸の健康保険の適用が認められています。健康保険の手続きについては、「健康保険で鍼灸治療を受けられる病気とその手順について」でご説明致します。
鍼灸の効果の研究は、各地にある研究所、医療機関、鍼灸大学、短期大学などで意欲的に進められております。総合的には、鍼灸刺激が自律神経系、内分泌系、免疫系等に作用して、その結果として、中枢性及び反射性の筋緊張の緩和、血液及びリンパ液循環の改善等の作用があり、ひいては、生体の恒常性(病気を自然に回復させる作用)に働きかけるのではないかと考えられています。
また、古来より認められている鎮痛効果の解明も次ぎのような諸説があります。
健康保険取り扱い
次の病気については鍼灸で健康保険がうけられます。
その他これらに類似する疾患など。
鍼灸の保険適用につきましては、次ぎの事項にご留意下さい。
温熱療法が癌に有効である事は皆さんも良くご存じと思います。温熱には、温度にもよりますが色々な効果があると言われていますが、通常は、ストレスの防御、免疫増強(抗がん効果)、疾病の予防や治療、鎮痛効果に古来使われてきました。
当院でも、この温熱療法は大きく3つの面から導入しています。
1) 免疫活性効果
2) 鎮痛効果
3) 美容効果
では、最初に温熱効果について簡単に解説します。温熱には、加温する程度によりA)高加温(42度以上)効果と、B)マイルド加温(39度程度)効果の2つがあります。
A) | A) 高加温効果とは、高加温(42度以上)の癌への直接壊死を期待した効果を言います。42度から始まるタンパク凝固の結果ですが、正常組織は毛細血管も拡張し、増えた血流が熱を除去するため、局所は高温にならないと言われています。一方、癌組織の血管は未熟なため、高温になっても拡張できず、熱がこもり凝固壊死が始まると言われています。(私自身も、癌治療の経過中に感染症を合併し、発生した高熱後に腫瘍が急速に縮小した事例を複数経験しています)全身の高加温療法もありますが、かなりの危険性も伴い、現在深部加温が効率的に出来るようになり全身療法は少なくなりつつあります。 |
B) | マイルド加温(39度程度)効果とは、HSP(Heat Shock Protein 熱ショックタンパク質)を増加させる効果と言えます。HSPとは、細胞内において、タンパク質の修復、形成、輸送、分解など管理するタンパクで、分子量によりHSP100,90,70,60,47,40,27など沢山ある中、 分子量70,000のHSP70が最も効果が高いとされます。また、HSPは、熱のない平常時にもシャペロン(フランスの若い貴婦人を介添えする年配の貴婦人の事)として、タンパク質の運搬、形成に介添えを行います。よって、マイルド加温の結果、増加したHSP70は、@)免疫力強化A)癌細胞の抗原性顕在化B)高濃度VC療法の増強効果C)放射線感受性増強効果D)化学療法増強効果があるとされます(赤坂アンチエイジングクリニック 森医師)。 HSPの研究をされる、愛知医大の伊藤要子先生によれば、このマイルド加温療法は、プリオン病、アルツハイマー病、パーキンソン病、白内障、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、 各種神経変性疾患の所謂フォールディング病(神経難病:構造異常を起こした異常タンパク質が凝集し壊死する病気群)にも有効であるといいます。また、伊藤先生は「非常にストレスの多い現代、HSPを十分準備して、大きなストレスに備える」事の重要性も説かれています。(国際統合医学会誌 Vol.3 P92〜P99より) |
当院では、この温熱療法を実施する為に1〜3の療法を取り入れています。
1. インディバCRet(以下、インディバ、図1)による深部加温療法
2. 琵琶の葉温熱療法(ユーフォリア方法とモグサによる古典的方法)
3. 薬草蒸し(韓国式)
本稿では、1について述べます。
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インディバによる治療法の特徴は、通常の温熱療法と違って効率的に深部加温が出来る事にあります。通常、内臓癌や転移巣は体深部にあり、体表からの加温では血流により熱が運び去られるため、十分な深部加温が困難でした。しかし、インディバは加温したい部分(癌周辺)をエレクトロード(操作電極)と反対側に戻し電極板をおき、容量電位法と抵抗性電位法の特許技術により従来困難であったジュール熱を深部に発生させる事が出来るようになりました(図2)。この方法により、高加温療法も可能ですが、当院では、高濃度VCと併用する事により、抗がん効果を期待しています。 |
(図2 インディバHPより) |
(図3 「統合医療で癌に克つ」Vol.8より) |
先の森先生は、ヒト結腸癌患者の細胞死滅率を高濃度VC単独より、マイルド加温を加えた方が高かったと報告しています(図3)。 以上より、当院では癌治療の為の全ての高濃度VC点滴療法には、インディバによるマイルド加温療法をセットしています。(よって、VCの料金表は、これら温熱療法を加えた設定となっています) |
ほかほかと湯気をたてる湯船が恋しくなる季節。シャワーと違って、ゆっくり湯船に体をつける入浴は、冷えた体を芯から温めるのはもちろん、血流促進による冷え症改善、心身のリラックス、発汗による新陳代謝アップなども期待できる。
一般的には38〜40°Cのぬるめのお湯にゆっくり入って、じわじわと体温を上げるといいといわれているが、腰から下を集中的に温める半身浴や、ひざ下を湯につける足湯だけでも体は温まり、発汗も促される。
寒さや乾燥で肌のかさつきが気になる、手足が冷たいという人は、発汗や保湿作用のある入浴剤を使ったり、リラックスできる香りの精油を垂らすなどしてもいい。入浴タイムを自分磨きの時間にしていこう。
ところで、新たな入浴法として、最近話題になっている「HSP(ヒートショックプロテイン)入浴法」をご存じだろうか? ぬるめのお湯にゆっくりつかるのではなく、「40〜42°C前後で10〜20分間」と、熱めのお湯でしっかり体を温める方法だ。
この入浴法を提唱する愛知医科大学の伊藤要子准教授はこの入浴法で「体をストレスから守る力が高まる」と説明する。
HSPとはストレスで傷ついた細胞を修復し、元気にするたんぱく質のこと。「体は“ストレス”と感じるが、細胞が死ぬほどではないマイルドなストレスを与えることで、体内のHSPが増え、傷や病気が治りやすくなったり、疲れにくい、カゼやインフルエンザにかかりにくい、低体温体質が改善する、などの健康増進作用があることがわかってきた」(伊藤准教授)
HSPを増やすストレスは、精神的な緊張や運動、また紫外線や放射線などの環境的要因などさまざま。「その中で最も手軽で安全なのが熱ストレス」だと伊藤准教授。
「家にあるお風呂を加温装置として使えばHSPを増加させ、疲れにくい元気な体を維持することができる。実際に加温装置を使った“マイルド加温療法”を、がん治療の化学療法などと併用する臨床研究が行われている」(伊藤准教授)
家庭でできるマイルド加温としてのHSP入浴法は、40〜42°Cの浴槽に10〜20分つかればいい。体温計を口にくわえ、体温が38°C以上になり、汗が出るのをめどに体を温めたい。
入浴後はバスタオルなどで全身をくるみ、熱を逃さないよう10〜15分安静に。水分補給も入浴前後で500mlを目標にしっかりと行いたい。
伊藤准教授が行った研究では、HSP量が最大になるのはHSP入浴を行った2日後。ここをピークに1〜3日ぐらいは効果が持続する。また、体温を38°Cまで上げた人はHSPが約1・5倍に増えていたという。
階段昇降を行ってデータをとったところ、HSP入浴を行った人の方が疲労感は軽かった。「大切な日やストレスが予想される2日前にHSP入浴を行えばストレスや疲れが軽減できる。効果の持続から考えて週に2回が効果的。疲れやすい、元気になりたいという人にはおすすめしたい」(伊藤准教授)