エゾエンゴサク           (ケシ科キケマン属:多年草:草丈 〜20センチ:花期 4〜5月)

薬効
腹痛 胃痛 生理痛 浄血 血の道
分布生育場所

科名:ケシ科/属名:キケマン属
和名:蝦夷延胡索/学名:Corydalis ambigus
北海道、本州中部以北・日本海側の山地の林床、原野などに自生。

新潟県角田山のミチノクエンゴサク、本州、四国、九州の山地のヤマエンゴザク、 新潟市内のミチノクエンゴサク
新潟市西蒲区角田山ミチノクエンゴサク

見分け方・特徴

北海道や本州北部の日本海側の比較的湿った原野や山地、原野に見られる多年草で非常に弱々しい。
草丈は10〜15センチ程度、花は4〜5月頃に咲き、長さ1.5〜2.5ミリで小さく先端は唇状。
花の色は青紫で茎の先端に数個がつきます。
葉は2回3出複葉卵形、果実は線形。
地中には、茶色の鱗片(りんぺん)に包まれた1.5〜2センチの丸い塊茎(かいけい)があります。

本州、四国、九州の山地にヤマエンゴサク、花色が赤紫色のジローボウエンゴサクは、関東以西、四国、九州に自生して薬草として用います。
採集と調整
花が枯れた6〜7月頃に、地下の塊茎を堀り水洗いして日干にしたものを、生薬で和延胡索(わのえんごさく)といい、漢名の延胡索(えんごさく)の代用生薬として用いられます。
薬効・用い方
和延胡索(わのえんごさく)には、アルカロイドのテトラハイドロパルマチン、ブルボカプニンほかを含有して、胃の痛み、腹痛、生理痛、腰痛、浄血に、乾燥した和延胡索(わのえんごさく)を2〜5グラムを約500リットルの水で半量まで煎じて、カスを取って3回に分けて食間に服用します。

また、乾燥して粉末にした和延胡索(わのえんごさく)を、1回量0.2〜0.3グラムを、通経、血の道、浄血、胃潰瘍に服用します。
妊婦の服用は避けるできです。

春の開花時に、地上部の全草を採取して軽く茹でて、おひたし、白和え、ごまあえ、酢の物、そのまま、薄くころもをつけててんぷらにします。
その他
毒草が多いケシ科の植物で食べることができるのが、エゾエンゴサクのなかまです。
花は、小さく可憐で北海道では、造成地などでは群生するという。

名前の由来は、漢方薬の生薬(しょうやく)からで、中国・朝鮮のエンゴサクの塊茎(かいけい)を蒸して、日干しにして乾燥したものを、延胡索(えんごさく)といい、これは、江戸時代中期の小石川御薬園には朝鮮の延胡索(えんごさく)を栽培したという記録があることからうかがえます。

薬用植物としては、重要な薬草して江戸時代の「多識編(たしきへん)」、「三才図会(さんさいずえ)」にも掲載されているが、普通には余り知られていない雑草として扱われていたようです。

昔関東地方などでは、スミレを太郎坊、ジローボウエンゴサクを次郎坊と呼んで、両方の花を引っ掛けて引き合って遊んだという、それから、ジローボウエンゴサクという名が生まれたという。

引き合うとどちらが勝つのか・・・そう、思うだけで昔の子供だちの楽しそうな笑い声が聞こえてきませんか?