ホオズキ                   (ナス科ホオズキ属:多年草:草丈 〜80センチ:花期 〜7月)

薬効
せき・たん 黄疸 小便不利 むくみ(浮腫・水腫)
分布生育場所

科名:ナス科/属名:ホオズキ属
和名:酸漿/生薬名:酸漿根(さんしょうこん)/酸漿(さんしょう)/学名:Physalis alkekengi var.franchetii
東アジア原産の多年草で広く全国で栽培されています。

見分け方・特徴

ホオズキは多年草草本で、茎は直立して高さが60〜80センチ位にもなります。
葉は卵円形で長さが5〜10センチ、幅3〜8センチの有柄で互生します。葉は2葉が接近して着生(ちゃくせい)しています。
葉の辺縁には短毛があります。
花は、6〜7月ころに葉のわきに有柄の淡黄白色の花を1個下向きに咲きます。がくは、短筒状で、花後は大きくなり、果実を袋状に包みます。
ホオズキの果実は熟すと赤くなります。赤く熟した球形の果実は花材や子供のおもちゃにします。
また、液果(えきか)も血赤色に熟します。
根茎は、白色で長く地中をはって新しい株をたてます。
採集と調整
ホオズキは、7〜8月ころの開花中に、地下茎および根を掘り取り、よく水洗いして日干しにします。
これを生薬の、酸漿根(さんしょうこん)といいます。
また、全草を乾燥したものを、酸漿(さんしょう)といいます。
熟した果実は、水洗いして日干しにして、1日量8〜15グラムを煎じて飲用します。
薬効・用い方
酸漿根(さんしょうこん)、酸漿(さんしょう)は、せき止め、解熱(げねつ)、利尿(りにょう)薬として発熱、黄疸(おうだん)、水腫(すいしゅ)に用います。
酸漿(さんしょう)を、3〜10グラムを1日量として0.3リットルの水を加えて煎じて、約2分の1量になるまで煮詰めます。それを食前に3回に分けて服用します。
酸漿根(さんしょうこん)は、1日量10〜15グラムも同様に用いますが、子宮の蠕動運動(ぜんどうんどう)を盛んにして、緊縮(きんしゅく)する作用もあり、堕胎(だたい)作用が生じるので妊婦の場合は用いることはできません。

栽培:4〜5月の上旬にかけて、伸び始めた芽を地下茎ごとほりあげて、露地植えにするか、鉢植えにして栽培します。
鉢植えの場合には、鹿沼土(かぬまつち)5、腐葉土(ふようど)3、赤玉土2の割合で混合したものを用土として使用します。
3〜4芽が出た地下茎を4〜5センチに切って植えます。10日程度で活着(かつちゃく)するので油かすなどの肥料を与えて栽培します。
その他
「古事記(こじき)」によると、スサノオの尊(みこと)が退治した八岐大蛇(やまたのおろち)の目玉は赤加賀智(あかかがち)のようだったとされています。

アカカガチとは、赤いホオズキのことです。そのころはホオズキをカガチと呼び、またその後の平安のころには、ヌカズキと呼んでいました。

「本草和名(ほんぞうわみょう・918)」では、酸漿(さんしょう)の漢名に対して、和名を保保都岐(ほほつき)として、「一名奴ヌ加カ都ツ岐キ」としています。

ホオズキの語源については「大和本草(やまとほんぞう・1708)」では、ホオという臭虫が好んでホオズキの葉を食べるからその名がついたと書かれています。

少女とホオズキの組み合わせから、頬突(ほほつき)だという説もありますが、はっきりとはしていません。

また、中国では少女にちなんで、紅姑娘(べにくうにゃん)、紅娘子(べににゃんし)、姑娘花(くうにゃんばな)、花姑娘(はなくうにゃん)などの名前があります。