アンズ          (バラ科サクラ属:落葉性低木:樹高 〜 メートル:花期 3〜4月)

薬効
せき・たん ぜんそく(気管支ぜんそく) 薬用酒
       
分布生育場所

科名:バラ科/属名:サクラ属
和名:杏/生薬名:杏仁(きょうにん)/別名;カラモモ/学名:Prunus armeniaca
中国北部原産〜ネパール、ブータンの原産
北地に適する果樹。東北地方や長野県、山梨県などで栽培
新潟市西区のアンズ

杏(アンズ)の花杏(あんず)の果実
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見分け方・特徴

ウメによく似ている樹皮は褐色で、こまかい割れ目があります。新枝は、なめらかで紅色をおび、花はウメよりおくれて咲き淡紅色です。
がく筒は紅紫色で、がく片は反り返っています。
果実は熟して黄赤色となります。表面には紫褐色の斑点があり、果肉は黄赤で中央部の核は熟すと容易に分離します。核の面には、しわのようなこまかい網紋があります。核の中には種子があり、これを杏仁(きょうにん)といいます。

採集と調整
6月に種子を集めて天日で乾燥したものを生薬で杏仁(きょうにん)といいます。
使用に際しては、仁の突端部を除き、皮はつけたまま使用したほうがいいでしょう。
薬効・用い方
杏仁(きょうにん)は、アミグリンを含んでいるので、鎮咳薬として、ぜんそく、せき、呼吸困難などに効き目があります。
せきは、外面的現象にすぎないので鎮咳薬として考える場合は、疾病の本質も考えることが必要です。
杏仁は、風寒、風熱、風湿、暑気などの外因によって発生した、せきでのどが渇き痛みがあって口や鼻、皮膚などの乾燥と便秘を伴うような症状に適しています。また、含有する脂肪油は、腸内に入って潤滑の作用があるために通便もよくなります。
杏仁は、多量に服用すると、含まれているアミグリンの分解により生ずる青酸の吸収が必然的に多くなり、頭がふらつき、嘔吐などを起こす場合があります、重症の場合はけいれん、意識障害、呼吸困難などの中毒症状が起こる場合があるので量的な注意が必要です。
用いる場合は、皮付きの方が効き目がよいでしよう。
杏仁は、1日量3〜5グラムを煎じて用いますが、多くは漢方処方として用いられます。また、杏仁水や杏仁油(きょうにんすい)の原料とします。

アンズ酒
完熟果実と未熟果実を同時に原料としますが、それぞれ別に作っておいてから混ぜてもいいでしょう。
果実を採取して水洗いしてから水を切り、約500グラムに砂糖300グラムを加えて、ホワイトリカー約1.8リットルを入れて約3ヶ月漬けます。
美しいこはく色となり特有の杏仁臭さがあります。
疲労回復や鎮咳去痰薬(ちんがいきょたんやく)として1回30ミリリットルずつ1日2回食間に飲用します。
その他
名の由来は、カラモモの和名に「杏子」の漢字をあて、杏子の唐音が転訛(てんか)して、アンズの名になったという

中国北部の原産で日本には古く渡来しています。「本草和名(ほんそうわみょう)」(918)や「和名抄(わみょうしょう)」(932)にはカラモモの和名に杏子(あんず)をあてています。