標識化合物

ヒョウシキカゴウブツ

【英】labelled compound

【仏】compose´ marque´

 

標識化合物とは,一般的にはある化合物に特別な印となる元素や化合物をつけたものということになる.とくに,核医学領域で使われるのは放射性同位元素RI*)で標識した化合物である.これらの人体に投与する標識化合物は放射性医薬品*radiopharmaceuticalともいわれ,放射性同位元素としてはγ線*またはX線(レントゲン線*)のみを放出し,適当なエネルギーであること,さらに物理学的半減期も数時間程度から1日ぐらいまでであることが望ましい.通常の核医学分野で広く使われているRIは99mTc,123Iなどで多くの化合物の標識剤となっている.一方,陽電子放射性元素には11C,13N,15Oや18Fなどの重要な元素が含まれており,とくに前三者は生理的な物質であるため,標識後も化合物の性質が変わることがない.この性質をうまく利用しているのが陽電子RI標識化合物を使うポジトロンCTである.とくに11Cは半減期*が20分と比較的長いので多用されている.非放射性の同位元素による標識もNMR法の出現により重要となった.→RI標識化合物