X線CT
エックスセンシーティー
【英】axial computed tomography,computed axillar tomography(CAT),computed(computerized)tomography(CT)
【独】Computertomographie
同義語:コンピュータ断層撮影法computerized trans axial tomography,X‐ray computed tomography(X‐CT),CT‐scanner
身体の横断断層を撮影する特殊なX線装置である.フィルムの代わりにヨウ化ナトリウムとかゼノンガス検出器を用い,X線管*を身体の周囲を移動させて撮影し, 検出器の透過X線量をディジタル化して,画像を演算によって再構成してTV面に描出する.この方法により,軟部組織から骨組織までを連続した濃淡のある画像として表現することができる.この装置の原理は,マコーミックにより報告されたが,約10年後の1972年,ハウンスフィールドG.Hounsfield,アンブローズJ.Ambrose両博士により開発されたEMI‐scannerまで実用化に時間がかかった.構想については,高橋信次,梅垣洋一郎らにより報告されていたが,結局コンピュータの実用化まで時間が必要であったと考えられる.装置は,第1世代のX線の単一ビームと身体をはさんだ対側の検出器と一緒に照射野を走査し,これを1°おきに180回くり返すものから,第2世代のX線の線束を扇形に広げ,1回の曝射で単一の線束より広い範囲を撮影し,検出器の数を増加し,走査距離を短くし,回転角度を1°ではなく,10°~30°と大きくすることにより短時間で撮影できるようになった.第3世代では,1回の照射野で身体全体を照射できるようにX線束を広げ,この対側に500個前後の検出器を設置し連続的に360°回転することにより照射時間が分の単位から秒の単位となった.第4世代では,X線管は,身体の周囲を360°回転するが,検出器を全周に設置したものである.この検出器を静止したものと,フラフープ型の上下,左右の運動をする形式があった.1秒前後のきわめて短時間に撮影を可能としている.現在では,第3世代の画像が最も対照度が良好で実用的と考えられている.しかしまた,1秒以下での高速スキャナとなると第4世代でなければならないと考えられている.X線管も最初はX線治療用の油冷水冷方式のものが使用されたが,現在では小焦点で熱容量の大きな空冷方式のX線管が主として利用されている.第3世代では,X線はパルス状に間欠的に曝射させ,照射線量は少なくなっている.第1, 2, 4世代では,連続した曝射である.この装置の普及により,体内の深在臓器(頭蓋骨内,胸部,腹部など)とか四肢の客観的診断が可能となり,必須な診断手段となり画像診断*という言葉の起源となった.