アヴェリス症候群

アヴェリスショウコウグン

【英】Avellis syndrome

【独】AvellisSymptomkomplex

【仏】syndrome d'Avellis 

疑核,孤束核,および脊髄視床路の病変により,迷走神経*副神経*の内側枝,および上行性の知覚路の障害を起こして出現する症候群.症状は, 1)病変と同側の軟口蓋,咽頭,喉頭の麻痺,それによる構音・嚥下障害,咽頭・喉頭の知覚障害,および2)病変と反対側の温・痛覚低下からなる(Georg Avellisはドイツの咽喉科医,18641916).

迷走神経
メイソウシンケイ
【英】vagus nerve
【独】Lungenmagennerv, Vagus
【仏】nerf pneumogastrique
【ラ】nervus vagus 
X脳神経the tenth cranial nerveで混合性である.頚部と胸部内臓,一部は腹部内臓に分布する.主となるのは副交感神経性線維であるが,関与する線維の神経核は迷走神経背側核,疑核,孤束核などである.舌咽神経と共に延髄の後外側溝より出て,頚静脈孔を通る.頚静脈孔の内部で上神経節を作る.この下方で再び大きな下神経節を作る.両神経節とも知覚線維を出す.下神経節と吻合するのは舌咽・副・舌下神経および交感神経である.迷走神経幹は咽頭側方で内頚動静脈の間を下り,ついで総頚動脈と内頚静脈の間を下行し胸腔に入る.胸腔に入る際,右迷走神経は鎖骨下動脈の前面,左迷走神経は大動脈弓の前側を弯曲して後方に走り,食道に達する.右の迷走神経は食道の後側,左の迷走神経は食道の前側を下り,横隔膜の食道裂孔を経て胃に達する.分枝は次のごとくである. 1)頭部:1 硬膜枝,2 耳介枝,3 舌咽神経との交通枝, 2)頚部:1 咽頭枝,2 上喉頭神経,a 外枝,b 内枝,3 上頚心臓枝,4 下頚心臓枝,5 反回神経,a 気管枝,b 食道枝,c 下喉頭神経,d 胸心臓枝, 3)胸部:1 気管支枝,2 肺神経叢,3 食道神経叢, 4)腹部:1 前迷走神経幹,2 後迷走神経幹,3 前胃枝,4 後胃枝,5 肝枝,6 腹腔枝,a 腎枝,b 脾枝.
副神経
フクシンケイ
【英】accessory nerve
【独】Beinerv
【仏】nerf spinal

【ラ】nervus accessorius 
XI脳神経the eleventh cranial nerveである.純運動性神経で起始核は延髄から頚髄の上半に及ぶ副神経核である.したがってその神経根を延髄根と脊髄根とに分ける.延髄根は迷走神経根の下でオリーブ後方にある後外側溝から起こり,脊髄根は第36頚髄の前,後両根の間から出る.脊髄根は脊柱管内を上昇して大孔を通り頭蓋腔内に入り,そこで延髄根と合して副神経幹を形成し,舌咽,迷走神経とともに頚静脈孔の前半部を通り頭蓋外に出て内枝,外枝の2枝に分かれる.内枝は迷走神経に合し,外枝は胸鎖乳突筋と僧帽筋を支配する.