経絡療法の考察から
ここでは、「経絡学」、経穴学」から「経絡療法」へのアプローチを学びます。
WHO 表記 |
ツボ名 | 場所 | こんな時に使う | ツボの由来 |
ST-1 |
承泣 しょうきゅう |
瞳孔の下7分、眼窩下縁の中央、正視させて取る。 | 目の諸症状、顔面神経麻痺、三叉神経痛、眼筋痙攣、眼精疲労 | 「承」=受ける、「泣」=泣く。涙を受け止めるところという意味。 |
ST-2 |
四白 しはく |
瞳孔の下1寸、眼窩下孔部、正視させて取る。 | 目の諸症状、顔面神経麻痺、三叉神経痛、眼筋痙攣、眼精疲労、鼻炎、頭痛 | 「四」は四方八方、「白」は光の意味である。広く物を見まわすことのできる目の下にある。視力回復のツボとされた。 |
ST-3 |
巨リョウ
こりょう |
鼻孔の外8分、瞳孔線上に取る。 | 顔面神経麻痺、三叉神経痛、顔面痙攣、鼻炎、歯痛 | 「巨」は大きい、「リョウ」は骨の隙間あるいは陥凹したところを指す。頬骨と上顎骨の隙間にあるため。 |
ST-4 |
地倉 ちそう |
口角の外4分に取る。 | 顔面神経麻痺、三叉神経痛、顔面痙攣、歯痛、咬筋痙攣 | 「地」は土地、「倉」は穀物の貯蔵庫をいう。額は昔、天の庭とたとえ、頬は地にたとえた。頬と歯の間に食物が溜まった様が倉庫に似ているため。 |
ST-5 |
大迎 だいげい |
下顎角の前1寸3分の陥凹分、動脈拍動部に取る。 | 顔面神経麻痺、三叉神経痛、咬筋痙攣、耳下腺炎、歯痛 | 「迎」は大迎骨、すなわち下顎骨のことである。ここを押圧すると、頚動脈の大きな拍動を感じるため。 |
ST-6 |
頬車 きょうしゃ |
下顎角の前上方で、歯を噛み締めると咬筋が緊張し、力を抜くと陥凹するところに取る。 | 顔面神経麻痺、三叉神経痛、咬筋痙攣、耳下腺炎、歯痛、下顎関節障害 | 昔、頤(おとがい)は、下歯床骨(下歯の土台の骨の意)頬車(口を開閉する蝶番)骨と呼んでいた。この蝶番の中にこの経穴があるため。 |
ST-7 |
下関 げかん |
頬骨弓中央の下際陥凹部に取る。 | 下顎関節障害、咬筋痙攣、耳下腺炎、歯痛、顔面神経麻痺、三叉神経痛、耳鳴 | 「下」は下方、「関」は機関の意味で、下顎骨を動かす機関であることから名づけられた。 |
ST-8 |
頭維 ずい |
額角髪際にあり、神庭穴の外4寸5分に取る。 | 頭痛、めまい、高血圧、目に諸疾患、顔面神経麻痺、眼筋痙攣、脱毛症 | 「維」は角を指し、頭の額角のあることから名づけられた。 |
ST-9 |
人迎 じんげい |
喉頭隆起の外方1寸5分、動脈拍動部に取る。 | 咽喉腫脹・疼痛、喘息、眩暈、顔面紅潮、高血圧 | 「迎」は動くという意味で、喉頭隆起の両脇にあり、飲食時に、人や物を送迎しているように動くことに似ていることから。 |
ST-10 |
水突 すいとつ |
人迎穴と気舎穴の中央に取る。 | 咽喉腫脹・疼痛、喘息、甲状腺腫 | 「水」は漿液(食物の漿液)の意味で、「突」は突き出る意味である。水を飲み込むときにここが大きく上に動く様が気が上衝していくことに(突の状態)たとえられている。 |
ST-11 |
気舎 きしゃ |
小鎖骨上窩中央に取る。 | 咽喉腫脹・疼痛、喘息、甲状腺腫、しゃっくり | 「気」は空気を指し、「舎」は留まる場所。この経穴が胸にあるため、空気=宗気が胸中に宿るという意味。 |
ST-12 |
欠盆(缺盆) けつぼん |
大鎖骨上窩にあり、鎖骨上際陥凹部、乳頭線上に取る。 | 喘息、咳嗽、胸部の膨満感などの呼吸器疾患、肋間神経痛 | 「缺」は欠けた意味で、「盆」は深く陥凹した場所を指す。鎖骨上窩にあるため、その場所が、欠けた盆に似ていることから。 |
ST-13 |
気戸 きこ |
鎖骨下際にあり、前正中線の外4寸、乳頭線上に取る。 | 咳嗽、喘息、咽喉腫脹・疼痛、鎖骨上窩の痛み | 気は、口から脾・胃へ、鼻から肺へと通じる。本穴は、どちらへも通じるため、気の証に効果がある。ここを気の扉のように開けば気を巡らせ、閉めれば気を蔵することができることからこの名が付いた。 |
ST-14 |
庫房 こぼう |
第2肋骨上際にあり、乳中線上に取る。 | 喘息、咳嗽、胸部の膨満感などの呼吸器疾患、肋間神経痛 | 「庫」=倉庫。肺気は気戸から本穴に入り、深部の肺に貯えられることから、倉庫にみたて名づけられた。 |
ST-15 |
屋翳 おくえい |
第2肋間にあり、乳中線上に取る。 | 喘息、咳嗽、胸部の膨満感などの呼吸器疾患、肋間神経痛、胸膜炎 | 「屋」は蓋。「翳」は羽毛でできた大きな扇子。本穴が庫房穴の下、膺窓穴の間にあり、屋根の庇の様な状態から名づけられた。 |
ST-16 |
膺窓 ようそう |
第3肋間にあり、乳中線上に取る。 | 喘息、咳嗽、胸部の膨満感などの呼吸器疾患、肋間神経痛、胸膜炎 | 「膺」は胸、「窓」は気と光を通すところの意味であり、胸部の閉塞を通すため。 |
ST-17 |
乳中 にゅうちゅう |
乳頭の中央で第4肋間に取る。 | 乳頭中央にあるので、名づけられた。(禁鍼灸穴) | |
ST-18 |
乳根 にゅうこん |
第5肋間にあり、乳中線上に取る。 | 喘息、咳嗽、乳汁分泌不全、胸痛、肋間神経痛、 | 「乳房根部(乳房の下縁)にあるので、名づけられた。 |
ST-19 |
不容 ふよう |
天枢穴の上6寸、巨闕穴の外2寸に取る。 | 食欲不振、嘔吐、腹脹、腹痛などの消化器系の症状 | 「胃が本穴の高さまで食物が達したらそれ以上は受容不可能(受容能力の限界)であるから「不容」と名づけられた。 |
ST-20 |
承満 しょうまん |
天枢穴の上5寸、上?穴の外2寸に取る。 | 腹脹、腹痛、嘔吐、吐き気、食欲不振などの消化器系の症状、胸脇苦満 | 「承」は受納。「満」は充満。不容穴の下にあり、水穀で満タンという意味。 |
ST-21 |
梁門 りょうもん |
天枢穴の上4寸、中?穴の外2寸に取る。 | 腹脹、腹痛、下痢、嘔吐、吐き気、食欲不振などの消化器系の症状 | 「梁」=関。経気(ここでは胃気)が巡るもっとも重要な箇所。また伏梁(心下否満)を治すことから名づけられた。 |
ST-22 |
関門 かんもん |
天枢穴の上3寸、建里穴の外2寸に取る。 | 腹部膨満、腹痛、腹鳴、下痢、食欲不振、浮腫 | 「関門」とは、門を閉じて受け入れないという意味である。本穴は胃と腸の境界のところにある。または、胃気の出入り口という意味。 |
ST-23 |
太乙 たいいつ |
天枢穴の上2寸、下?穴の外2寸に取る。 | 腹部膨満、腹痛、腹鳴、下痢、食欲不振、浮腫 | 「太」は大きい・重要という意味で、「乙」はとどまる、終わる。「太乙」とは極めて重要な胃部の終わりにあるツボという意味である。 |
ST-24 |
滑肉門 かつにくもん |
天枢穴の上1寸、水分穴の外2寸に取る。 | 腹部膨満、腹痛、腹鳴、下痢、食欲不振、浮腫 | 「門」=気の入口である口のこと。「滑肉」=舌。舌は滑利の肉といい、ここを刺激すると舌の動きを滑らかにする動かすことができることから名づけられた。 |
ST-25 |
天枢 てんすう |
臍の外2寸に取る。 | 腹痛、下痢、赤痢、便秘、腹鳴、腹部膨満、浮腫、月経不順・生理痛 | 「天」は上部を指し、「枢」は枢軸・要の意味である。臍の傍にあり、臍を境に天と地(上半身・下半身)の境目の要所という意味と脾胃を整える要穴という意味。 |
ST-26 |
外陵 がいりょう |
天枢穴の下1寸、陰交穴の外2寸に取る。 | 腹痛、下痢、便秘、腹鳴、腹部膨満、浮腫、月経不順・生理痛 | 「外」は傍らということで、突起したところを「陵」という。体に力を入れると、腹部に気が集まり、外側にある腹筋が盛りあがってくる様が「陵」に似ていることから。 |
ST-27 |
大巨 だいご |
天枢穴の下2寸、石門穴の外2寸に取る。 | 下腹部の脹満、排尿困難、生理不順・生理痛、生殖器系疾患、尿管結石、浮腫 | 「巨」は大きいという意味で、腹部で最も高く、大きく隆起した場所にあるため、名づけられた。 |
ST-28 |
水道 すいどう |
天枢穴の下3寸、関元穴の外2寸に取る。 | 下腹部の脹満、排尿困難、生理不順・生理痛、生殖器系疾患、尿管結石、浮腫 | 「道」は道路のこと、本穴は膀胱の上部にあり治水をする役目あることから。 |
ST-29 |
帰来 きらい |
天枢穴の下4寸、中極穴の外2寸に取る。 | 下腹部の脹満、排尿困難、生理不順・生理痛、生殖器系疾患、尿管結石、不妊症 | 「帰」=還る、「来」=戻るの意味で、呼吸法により本穴に気が集まることから、根底に気が帰る場所という意味。 |
ST-30 |
気衝 きしょう |
天枢穴の下5寸、曲骨穴の外2寸に取る。 | 下腹部の脹満、排尿困難、生理不順・生理痛、生殖器系疾患、尿管結石、不妊症 | 「気」は経気のこと、「衝」は突き上げる動き・要衝。帰来の真下にあるため、気の要衝という意味で名付けられた。別名=気街。衝の字は動脈拍動部に付くことが多い。 |
ST-31 |
髀関 ひかん |
上前腸骨棘の下方、縫工筋と大腿筋膜張筋の間、陥凹部に取る。 | 下肢の麻痺・萎縮、腰痛、股関節痛、股関節の屈伸困難 | 「髀」は昔、大腿骨を髀骨と称した。「関」=関節。股関節に近いことから。 |
ST-32 |
伏兎 ふくと |
大腿部の前外側にあり、膝蓋骨外上角から脾関穴に向かい上6寸に取る。 | 腰部・股関節痛、膝の冷え、下肢麻痺、脚気 | 「伏」はうつ伏せの状態。大腿骨前上方に大腿四頭筋が隆起しているが、その形が兎が伏せているように見えることから。 |
ST-33 |
陰市 いんし |
大腿部の前外側にあり、膝蓋骨外上角から脾関穴に向かい上3寸に取る。 | 腰部・膝部のしびれ・だるさ・痛み、屈伸困難、下肢麻痺 | 「市」=集まること。本穴は陽経に属して居るが、下半身の冷え等の陰証に効くのでこの名が付いた。 |
ST-34 |
梁丘 りょうきゅう |
大腿部の前外側にあり、膝蓋骨外上角から脾関穴に向かい上2寸に取る。 | 胃痛、腹痛、膝の腫脹・疼痛、下肢麻痺 | 「丘」=丘陵。「梁」=その丘陵の背。本穴のある膝蓋骨上の周囲の筋を山梁にたとえた。 |
ST-35 |
犢鼻 とくび |
膝を軽く曲げたとき、膝蓋骨外下方にできる陥凹に取る。 | 膝の痛み・しびれ、屈伸困難、脚気 | 「「犢」は小牛のこと。本穴は膝蓋骨下縁の外の陥凹部にあり、その形が小牛の鼻に似ていることから名づけられた。 |
ST-36 |
足三里 あしさんり |
膝をたて、犢鼻の下3寸に取る。 | 消化器系の疾患、婦人病、高血圧、慢性疲労、坐骨神経痛、片麻痺、膝・下腿障害 | 「里」は邑・居・集まる・通ずる、の意味である。「三」は犢鼻の下3寸という意味と、三部(上焦・中焦・下焦)の治療に効果があるため。また、1里=1寸。 |
ST-37 |
上巨虚 じょうこきょ |
膝をたて、足三里穴から解谿穴に向かい下3寸に取る。 | 下痢、腹脹、腹痛、便秘などの消化器系疾患、慢性虫垂炎 | 「上」は上、「巨」は大きい、「虚」は隙間の意味。脛骨と腓骨の間の大きな間隙に上方にあるから。また「巨」は大腸の意味もあり、腸内に溜まった邪気やお血を、取り除き、気血の流れを良くする作用がある。 |
ST-38 |
条口 じょうこう |
足三里穴から解谿穴に向かい下5寸に取る。 | 下腿の知覚・運動障害、膝関節障害、腹脹、腹痛、片麻痺、慢性虫垂炎 | 狭く長いことを「条」といい、本穴は上巨虚と下巨虚の間にあり、脛骨と腓骨の間の間隙に、細長い1本の筋が口の形に現れるため。 |
ST-39 |
下巨虚 げこきょ |
足三里穴から解谿穴に向かい下6寸に取る。 | 下腿の知覚・運動障害、膝関節障害、腹脹、腹痛、下痢、片麻痺、慢性虫垂炎 | 「下」は下部を指す。「巨」は大きい、「虚」は空虚の意味。脛骨と腓骨の間の大きな間隙に下方にあるから。 |
ST-40 |
豊隆 ほうりゅう |
外果の上8寸、条口穴の外方に一筋へだてた陥凹部に取る。 | 下腿の知覚・運動障害、片麻痺、腹脹、腹痛、下痢、多量の喀痰、喘息、咳嗽 | 「豊」は豊富、「隆」は盛んの意味。本穴のある場所は、肌肉が豊かに盛り上がっているところにあるために名づけられた。 |
ST-41 |
解渓(解谿) かいけい |
足関節前面中央、前脛骨筋腱の外側陥凹部に取る。 | 下腿の知覚・運動障害、片麻痺、足関節障害、頭痛、めまい腹脹、腹痛、下痢 | 窪んだ場所を「谿(渓)」といい、「解」は開放するの意味。本穴は足関節の陥凹部にあり、靴ひもをほどく場所にあるため。胃経の経穴。 |
ST-42 |
衝陽 しょうよう |
足背にあり、第2・第3中足骨底間の前、陥凹部に取る。 | 足軟無力、足関節障害、片麻痺、歯痛 | 「衝」は動くことで、「陽」は陰陽の陽の意味である。本穴は陽気の動脈拍動部にあるため。 |
ST-43 |
陥谷 かんこく |
足背にあり、第2中足指節関節の後、外側陥凹部に取る。 | 足軟無力、足関節障害、片麻痺、歯痛、急・慢性胃腸炎 | 「陥」は陥凹、「谷」は山の谷を指している。本穴は距骨の間隙にあり、腱と腱の隙間にあるので谷と谷のくぼみに似ていることから。 |
ST-44 |
内庭 ないてい |
足背にあり、第2中足指節関節の前、外側陥凹部に取る。 | 足軟無力、足関節障害、趾関節障害、片麻痺、歯痛、鼻血、急・慢性胃腸炎 | 「内」=深部、「庭」=居住地。本穴は遠く離れた頭部・心部・腹部などの疾患を治し、主治す作用は表より内や裏にあることから。 |
ST-45 |
児[ れいだ |
足の第2指外側爪甲根部、爪甲の角を去ること1分に取る。 | 足軟無力、足関節障害、趾関節障害、片麻痺、歯痛、鼻血、急・慢性胃腸炎 | 「氏vは易学で土。土に属する「胃」のことである。「兌」は口の意味。胃は水穀の海といい、飲食は必ず口から行うため、口の疾患を主治とする。 |