心包実
心包実(しんぽうじつ)とは、漢方医学で言う脈管系全般の機能亢進によりおこる症状を言う。
概要
漢方医学では六臓のうち心包は五行思想で言う火を司る機能を指し、六臓で言えば三焦
三焦 三焦(さんしょう)とは、伝統中国医学における六腑の一つ。 胸椎1と胸椎2の輪切りにした部位を一焦、胸椎2と胸椎3を二焦、以下順に数え仙椎4と仙椎5の部位を二十一焦として全身を表した(焦は単位名である)。おおまかに横隔膜 と腹膜をもって人体を三等分に分け、七焦、十四焦、二十一焦を区切りとし、上焦、中焦、下焦とした。これをもって人体の全身の機能を表した。腑としての三焦は以下に記す。 《中蔵経曰》三焦者。人之三元之気也。総領五臓六腑栄衛経絡内外左右上下之気。三焦通即内外左右上下皆通。其於周身灌體。和内調外栄左養右導上宣下莫大於此。 腑としての三焦は上焦、中焦、下焦(三元)の原気を擁し、その原気は五臓六腑(裏)、栄衛(半表半裏)、経絡(表)、人体の最深部から体表まで頭のてっぺんから足の先まで左右の手先まで全身すべてに行きわたる。腑としての三焦は全身に通じておりその原気は巡って全身内外左右上下全てを管理統括する。 《難経八難》諸十二経脈者、皆係於生気之原、謂十二経之根本也、謂腎間之動気也。此五臓六腑之本、十二経脈之根、呼吸之門。三焦之原、一名守邪之神、故気者人之根本也。
十二経脈は生気の原(三焦の原)に係わっており、十二経脈の根本をなす。腎間の動気とも云う。生気の原は五臓六腑の本、十二経脈の根、呼吸の門である。これは三焦の原で人の生命活動の根本である。 五臓六腑の本とは深リンパ系を、十二経脈の根は浅リンパ系を、呼吸の門はリンパ咽頭輪をいう。 《霊枢 本輸編》腎合膀胱。膀胱者、津液之腑也。少陽属腎、腎上連肺、故将両臓。三焦者、中瀆之腑也、水道出焉、属膀胱、是孤之腑也。 腎は膀胱と表裏をなす。腎の力によって水穀より生じ腹水として蓄えられた過分な水分(津液)は膀胱に滲み入り貯えられ体外に排出される。三焦はクダの腑で腎(腰リンパ本管)から上って肺(大静脈)に連なる。 三焦も腎の力によって流れ行き組織液の調節に係わるよって腎と膀胱に属す。三焦は生命の元である原気を擁し特別の腑とされる。 五臓六腑の一腑としての三焦は静脈のバイパスとして組織液の運搬に係わる。(中瀆之腑)病態四飲 三焦の原気は免疫抗体作用と食作用をなす。 腑としての三焦は、全身を表す三焦と混同されやすく、腑としての三焦は上、中、下焦に分布はするがそれらの生理機能とは何ら関係はない。 病態 自己免疫疾患 膀胱三焦腎気熱結 には水道 人体の気とは三焦の原気をいう。井栄輸経合の内の原穴は三焦の原気(衛気)を現す。 |
に相当するため心包の機能の亢進は(西欧医学では脈管系に相当する機能障害と思われる)心臓血管障害などがあらわれるとされる。漢方医学では
対処としては
鍼灸においては五行や東洋医学の治療方針の関係から五行では自経が実すれば、その子を瀉すとされており、この場合、火の気である心包が実すれば土の気である子の脾を瀉せとされており、心包経の大陵穴、脾経の太白穴が用いられる。