BL22.三焦兪(さんしょうゆ)

取穴部位:第1・第2腰椎棘突起間(懸枢穴)の外15

要穴:三焦経の兪穴

筋肉:広背筋、腰背腱膜

運動神経:胸背神経

知覚神経:腰神経後枝

血管:腰動脈

 

解剖学的データ

筋肉

腰背腱膜 (ようはいけんまく)

広背筋が起こる腸骨陵の後部から下位の胸椎棘突起までの広大な腱膜のこと。

 

脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)

最大の背筋で、脊柱を伸展して屈曲するのを防ぎ、脊柱を起立させる働きがある。脊柱起立筋はさらに、腸肋筋・最長筋・棘筋の3つに分けられる。

運動神経

脊髄神経‐後枝(せきずいしんけい)

脊髄に出入りする末梢神経のことで、頸神経・胸神経・腰神経・仙骨神経・尾骨神経よりなる。脊髄神経の前枝は後頭部・胸部・腹部・上肢・下枝の筋肉や皮膚を、後枝は肩背部・腰部・臀部の筋肉や皮膚を分節的にする。

知覚神経

腰神経‐後枝(ようしんけい)

腰椎の高さから出る5対の脊髄神経のこと。腰神経の前枝は主に腰神経叢を構成し、鼠径部~大腿内側・前面の筋肉の支配や皮膚の知覚を司る。また、後枝は腰臀部の筋肉や皮膚を分節的に支配する。

血管

腰動脈(ようどうみゃく)

腹大動脈から起こる4対の動脈のこと。腰動脈からは、背筋と内側の皮膚を栄養する背枝、椎間孔をへて脊髄とその被膜を栄養する脊髄枝などが分岐する。

主治・対象疾患

腰痛

ぎっくり腰

椎間板ヘルニア

腎炎

腎盂炎

腎結石

腎不全

水腎症

ネフローゼ症候群

膀胱炎

尿管結石

尿道結石

尿道炎

尿閉

尿漏れ

尿路痛

頻尿

夜尿症

下腹部痛

下腹部の脹り

卵巣炎

子宮筋腫

子宮けいれん

子宮内膜炎

下痢

冷え性

おりもの過多

月経過多

月経過少

不正性器出血

無月経

更年期障害

生理痛

生理不順

のぼせ

脱毛症

認知症

脳性麻痺

片麻痺

坐骨神経痛

大腿の運動障害

膝関節の運動障害

疲労感

不妊症

ED(勃起不全)

睾丸炎

 

 

 

腎兪穴(じんゆけつ)は、東洋医学で腎臓のエネルギーを整えるとされる重要な経穴(ツボ)です。腰部に位置し、腰痛や冷え性の緩和、疲労回復に効果が期待できます。腎兪穴を刺激することで、血行促進や筋肉の緊張緩和、さらには全身のエネルギーバランスの改善が図られると言われています。セルフケアとしてのマッサージや温め、専門家による鍼灸施術を通じて、腎兪穴を日常生活に取り入れることで、心身の健康をサポートしましょう。

 

 

腎兪穴とは

腎兪穴の位置

腎兪穴(じんゆけつ)は、腰のエリアに位置する経穴で、東洋医学では腎臓の働きを助けるとされる重要なツボです。背骨の第2腰椎下の高さにあり、その左右に指2本分ほど外側の部分にあります。このツボは体の中心部に近い場所にあり、全身のバランスを整える役割を果たしています。

名前の由来

は腎臓を指し、流れる輸送するを意味します。腎兪穴は腎臓のエネルギーを調整し、全身に必要なエネルギーを送る働きを持つと考えられています。

腎兪穴の効果と役割

東洋医学における腎兪穴の役割

東洋医学では、腎は生命エネルギー(精)の源とされ、体力、気力、生殖能力、老化に深く関わるとされています。腎兪穴を刺激することで、腎の機能を活性化し、体内のエネルギー循環を促進すると言われています。

·         腰痛の緩和: 腰周りの筋肉を緩め、痛みを軽減します。

·         冷えの改善: 体を温め、冷え性の症状を和らげます

·         疲労回復: 腎のエネルギーを補うことで、疲労感を軽減します。

現代医学から見た腎兪穴の影響

現代医学では、腎兪穴の刺激は血流の改善や筋肉の緊張緩和に役立つとされています。これにより、神経系のバランスを整え、ストレスの軽減にも効果があると考えられています。

腎兪穴の押し方とケア方法

自分でできる簡単なマッサージ法

1.    腰の位置を確認し、腎兪穴を見つけます。

2.    指の腹を使って、心地よい圧を加えながら円を描くようにマッサージします。

3.    1回あたり3–5分を目安に行いましょう。

鍼灸による施術方法

鍼灸院では、腎兪穴に適切な刺激を与えることで効果を高めます。特に鍼やお灸を使う施術は、深部の筋肉や経絡にアプローチでき、即効性が期待できます。

注意点や禁忌

·         妊娠中の方や体調不良の際には、自己判断で刺激を与えないようにしましょう。

·         痛みを感じる場合は、無理に押さず専門家に相談してください。

腎兪穴と関連する症状

腎兪穴が効果的な症状

·         腰痛やぎっくり腰

·         冷え性やむくみ

·         慢性的な疲労感

·         生理不順や更年期症状

腎兪穴の刺激が期待できる体調改善

腎兪穴は全身のエネルギーを整えるため、免疫力向上やストレス緩和にも役立つと言われています。

日常生活で腎兪穴を活かす方法

温活やツボ押しでの腎兪穴の活用

腎兪穴を温めることは、冷え性の改善に効果的です。蒸しタオルや使い捨てカイロを利用し、腰の腎兪穴部分を温めると良いでしょう。

予防としての腎兪穴ケア

毎日の入浴時に、腎兪穴を軽くマッサージする習慣をつけることで、慢性的な疲労や腰痛を予防できます。

腎兪穴の歴史と文化的背景

東洋医学における腎兪穴の位置付け

腎兪穴は古代中国の医療体系で重視されてきた経穴の一つです。腎はを司るとされ、長寿や健康維持において重要な役割を果たしてきました。

古代からの使用例

漢方医学書である『黄帝内経』にも腎兪穴が登場し、腎のエネルギーを調整する重要なツボとして紹介されています。


まとめ

腎兪穴は、腰痛や冷え性の改善だけでなく、全身のエネルギーバランスを整える重要なツボです。日々のケアに取り入れることで、健康維持や症状の予防につながります。定期的なマッサージや鍼灸による施術を活用し、腎兪穴を上手に活かしていきましょう

東洋医学32.膀胱経

[足の太陽膀胱経]


 概念~「筋による疾病を主る」経絡
『陽気なるもの、精則ち神を養い、柔則ち筋を養う』という。陽気が化生した精微は内には神を養い、外には筋を柔らかくする。膀胱経は水に属し水が()けると筋は潤いを失い病変が発生する。さらに膀胱経は陽経の中でも巨陽とされ人体の陽気が正常・旺盛であることに深く関わっている。
膀胱経が「筋による疾病を主る」『霊枢』とはこのことをあらわしている。

 循行(経絡の流れの道筋)
目の内眺に起こり、額を 上り頭頂に至る。支脈の一つが頭頂から耳の上 角のこめかみの部に行き到る。その直行の脈は、 頭頂より入り脳を絡し、項に出で肩を循り、背 を挟み、腰にいたり、体内に進入し、腎を絡し膀 胱に属す。その後、腰中より脊を挟んで下行し 殿部を貫き、膝窩に進入する。別の縦に行く分 支は肩甲骨より脊を挟み、殿部の外側を経て下 腿を行く。膝窩中に至って前の縦行する分支と 相交わる。交会後下に向かい下腿後側の内部を 通過し、外踝の後ろに出て後、足の外側に沿い 小趾外側端に行き至り、足の少陰腎経に交わる。
【原文】『霊枢・経脈篇』
目の内眦に起こり、額を上って頭 頂に交わる。その支なる者は、頭頂より耳の上 角に至る。その直なる者は、頭頂より入りて脳を 絡し還りて出で別れて項を下り、肩 甲骨の内を循り、脊を挾み腰中に抵り、入り て椎骨両側の背筋を循り、腎を絡し膀胱に属 す。その支なる者は、腰中より下って脊を挟み、 殿部を貫き、膝窩に入る. その 支なる者は肘内より左右に別れ下って肩甲部 を貫き、脊の内を挟み、大腿大転子の部 位を過り、大腿外を循り、後廉より下 ってかく中に合し、以って下ってふくらは ぎを貫き、外課の後に出で、京 骨を循り、小趾の外側に至る。

http://ocean-clinic.com/touyou_images/boukou.gif

 経絡症候および主治症
1経脈通過部位の疾病:頭痛、眼痛、項背痛、 腰痛、下肢麻庫、半身不随、坐骨神経痛、風湿 性(リウマチなど)関節炎、小児麻庫後遺症など
2背部兪穴それぞれの相応する臓器の疾病:
呼吸器系疾患:感冒、気管支炎、気管支喘息、 肺結核、肺炎など
心血管系疾患:頻脈、不整脈、狭心症など
消化器系疾患:胃炎、腸炎、細菌性下痢、消 化不良、消化管潰瘍、胃下垂、肝炎、胆嚢炎、 胆嚢結石など
泌尿生殖器系疾患:インポテンツ、遺精、遺 尿、月経不順、生理痛、閉経、帯下、骨盤炎、 腎炎、腎泌尿器結石、胎位異常、難産など
3)その他:痔疾、脱肛、神経衰弱、癩狂(精 神病)、ヒステリーなど

 経穴概要

経穴数:67
気 血:多血少気
走 行:頭から足に走る
時 刻:午後3~5時(申時)
起始穴:BL01.睛明
終止穴:BL67.至陰
絡 穴:BL58.飛陽
郄 穴:BL63.金門

五兪穴:(a)井穴:BL67.至陰
       (b)榮穴:BL66.足の通谷
       (c)兪穴:BL65.束骨
       (d)原穴:BL64.京骨
       (e)経穴:BL60.崑崙
       (f)合穴:BL40.委中
肺兪穴:BL28.膀胱兪
募 穴:CV03.中極


 経穴一覧表

経穴名
よみ

取穴法

要穴
出典

BL01.睛明
せいめい

内眼角の内1分、鼻根との間に取る。

『甲乙』 手少陰経別・ 手太陽経脈・ 足少陽経脈が交会。

BL02.攅竹
さんちく

眉毛の内端陥凹部に取る。

『甲乙』

BL03.眉衝
びしょう

攅竹の直上、前頭部の髪の生え際から0.5寸の所、神庭と曲差の間に取る。

『脈経』

BL04.曲差
きょくさ

神庭穴と頭維穴を結ぶ線上で、神庭穴の外1寸5分に取る。

『甲乙』

BL05.五処
ごしょ

曲差穴の後5分、上星穴の外1寸5分に取る。

『甲乙経』WHO: 五處(処)

BL06.承光
しょうこう

曲差穴の後2寸、五処穴の外1寸5分に取る。

『甲乙』

BL07.通天
つうてん

曲差穴の後3寸5分、承光穴の外1寸5分に取る。

『甲乙』

BL08.絡却
らっきゃく

曲差穴の後5寸、通天穴の外1寸5分に取る。

『甲乙』 WHO: 絡卻(却)

BL09.玉枕
ぎょくちん

絡却穴の後、脳戸穴の外1寸3分に取る。

『甲乙』

BL10.天柱
てんちゅう

郄門穴の外1寸3分に取る。

『霊枢』本輸

BL11.大杼
だいじょ

第1・第2胸椎棘突起間の外1寸5分に取る。

骨会
『霊枢』海論 手太陽経脈、経筋 足少陽経脈が交会。

BL12.風門
ふうもん

第2・第3胸椎棘突起間の外1寸5分に取る。

『甲乙』

BL13.肺兪
はいゆ

第3・第4胸椎棘突起間の外1寸5分に取る。

肺の兪穴
『霊枢』背兪 (月+兪)

BL14.厥陰兪
けついんゆ

第4・第5胸椎棘突起間の外1寸5分に取る。

心包の背兪穴
『備急千金要方』  『鍼灸大成』

BL15.心兪
しんゆ

第5・第6胸椎棘突起間の外1寸5分に取る。

『霊枢』背兪

BL16.督兪
とくゆ

第七胸椎棘状突起の外側1.5寸に取る。

『聖恵』

BL17.膈兪
かくゆ

第7・第8胸椎棘突起間の外1寸5分に取る。

血会
『霊枢』背兪

BL18.肝兪
かんゆ

第9・第10胸椎棘突起間の外1寸5分に取る。

『霊枢』背兪

BL19.胆兪
たんゆ

第10・第11胸椎棘突起間の外1寸5分に取る。

『素問』奇病論 WHO: 膽(胆)兪

BL20.脾兪
ひゆ

第11・第12胸椎棘突起間の外1寸5分に取る。

『霊枢』背兪

BL21.胃兪
いゆ

第12胸椎・第1腰椎棘突起間の外1寸5分に取る。

『甲乙』

BL22.三焦兪
さんしょうゆ

第1・第2腰椎棘突起間の外1寸5分に取る。

『甲乙』

BL23.腎兪
じんゆ

第2・第3腰椎棘突起間の外1寸5分に取る。

『霊枢』背兪

BL24.氣海兪
きかいゆ

3・第4腰椎棘突起間の外15

『聖恵』

BL25.大腸兪
だいちょうゆ

第4・第5腰椎棘突起間の外1寸5分に取る。

『甲乙』 足少陽経脈が交会。

BL26.關元兪
かんげんゆ

5腰椎棘突起と正中仙骨稜第1仙椎棘突起間(上仙穴)の外15

『聖恵』

BL27.小腸兪
しょうちょうゆ

正中仙骨陵第1仙椎棘突起部の下外1寸5分に取る。

『甲乙』 足少陽経脈が交会。

BL28.膀胱兪
ぼうこうゆ

正中仙骨陵第2仙椎棘突起部の下外1寸5分に取る。

『甲乙』

BL29.中膂兪
ちゅうりょゆ

正中仙骨陵第3仙椎棘突起部の下外1寸5分に取る。

『甲乙』

BL30.白環兪
はっかんゆ

正中仙骨陵第4仙椎棘突起部の下外1寸5分、仙骨裂の外1寸5分に取る。

『甲乙』

BL31.上髎
じょうりょう

第1後仙骨孔部に取る。

足少陽経脈が交会。

BL32.次髎
じりょう

第2後仙骨孔部に取る。

『素問』骨空論

BL33.中髎
ちゅうりょう

第3後仙骨孔部に取る。

『素問』骨空論 足少陽経脈が交会。

BL34.下髎
げりょう

第4後仙骨孔部に取る。

『素問』骨空論

BL35.会陽
えよう

尾骨下端の外5分に取る。

『甲乙』 WHO: 會(会)陽

BL36.承扶
しょうふ

殿溝の中央に取る。

『甲乙』

BL37.殷門
いんもん

後大腿部のほぼ中央、承扶穴委中穴を結ぶ線のほぼ中央に取る。

『甲乙』

BL38.浮郄
ふげき

委陽穴の上1寸、大腿二頭筋の内縁に取る。

『甲乙』

BL40.委中
いちゅう

膝窩横紋の中央に取る。

合土穴、四総穴
『霊枢』本輸 「肚腹は三里に止め 腰背は委中に求む  頭項は列缺に尋ね  面目は合谷に収む」

BL41.附分
ふぶん

第2・第3胸椎棘突起間の外3寸に取る。

『甲乙』

BL42.魄戸
はっこ

第3・第4胸椎棘突起間の外3寸に取る。

『甲乙』

BL43.膏肓
こうこう

第4・第5胸椎棘突起間の外3寸に取る。

『霊枢』九針十二原

BL44.神堂
しんどう

第5・第6胸椎棘突起間の外3寸に取る。

『甲乙』 WHO: 神(神)堂

BL45.譩譆
いき

第6・第7胸椎棘突起間の外3寸に取る。

『素問』骨空論

BL46.膈関
かっかん

第7・第8胸椎棘突起間の外3寸に取る。

『甲乙』WHO: 膈關(関)

BL47.魂門
こんもん

第9・第10胸椎棘突起間の外3寸に取る。

『甲乙』

BL48.陽綱
ようこう

第10・第11胸椎棘突起間の外3寸に取る。

『甲乙』

BL49.意舎
いしゃ

第11・第12胸椎棘突起間の外3寸に取る。

『甲乙』 WHO: 意舍(舎)

BL52.志室
ししつ

第2・第3腰椎棘突起間の外3寸に取る。

『甲乙』

BL53.胞肓
ほうこう

正中仙骨陵第2仙椎棘突起部の下外3寸に取る。

『甲乙』

BL54.秩辺
ちっぺん

正中仙骨陵第3仙椎棘突起部の下外3寸に取る。

『甲乙』 WHO: 秩邊(辺)

BL55.合陽
ごうよう

委中穴の直下3寸に取る。

『甲乙』

BL56.承筋
しょうきん

委中穴の下、腓腹筋の最もふくらんだところで、内側頭と外側頭の筋溝に取る。(委中穴の下、ほぼ5寸に当たる。)

『甲乙』

BL57.承山
しょうざん

委中穴の下、腓腹筋内側頭と外側頭の筋溝下端に取る。(委中穴の下、ほぼ8寸に当たる。)

『甲乙』

BL58.飛陽
ひよう

崑崙穴の上7寸、腓腹筋下垂部の外縁、腓腹筋とヒラメ筋との間に取る。

絡穴
『霊枢』根結 WHO: 飛揚(陽)

BL59.附陽
ふよう

崑崙穴の上3寸で、アキレス腱の前に取る。

『霊枢』本輸

BL60.崑崙
こんろん

外果の最も尖ったところの高さで、外果とアキレス腱の間、陥凹部に取る。

経火穴
『霊枢』本輸 WHO:崑(昆)崙(侖)。日本経穴委員会は「昆侖」 。

BL61.僕参
ぼくしん

崑崙穴の直下、踵骨外側面の陥凹部に取る。

『甲乙』 WHO: 僕參(参)

BL62.申脈
しんみゃく

外果の直下5分に取る。

『甲乙』

BL63.金門
きんもん

申脈穴の前下方、踵立方関節の外側陥凹部に取る。

郄穴
『甲乙』

BL64.京骨
けいこつ

第5中足骨粗面の後下際、表裏の肌目陥凹部に取る。

原穴
『霊枢』本輸

BL65.束骨
そっこつ

第5中足指節関節の後、外側陥凹部に取る。

兪木穴
『霊枢』本輸

BL66.足の通谷
あしのつうこく

第5中足指節関節の前、外側陥凹部に取る。

榮水穴
『霊枢』本輸

BL67.至陰
しいん

足の第5指外側爪甲根部、爪甲の角を去ること1分に取る。

井金穴
『霊枢』本輸

 主な経穴とその主治症
BL01.
睛明とBL02.攅竹
 睛明の主治症は
1)急性結膜炎、流行吐結膜炎、 麦粒腫など、目の発赤腫痛、迎風流涙(風にあ たると涙が出る)
2)視神経萎縮、網膜炎、緑内 障、近視、斜視、乱視、色盲、夜盲症など。
 晴明への刺針は直刺で行い、施術者は押し手 の拇指または示指で眼球を軽く外方へ押し出す ようにしながら右手で針をゆっくり刺入する。 深さは0.21寸までの間にとどめる。抜針後は 脱脂綿で圧迫して出血を防ぐ。禁灸穴である。
 臨床上は攅竹、睛明ともに各種眼疾患に使われる。た だし、攅竹は目の発赤腫痛、迎風流涙、眼瞼せつ 腫、麦粒腫などの外眼疾患の治療に用いられ、ま た眼窩痛、前頭痛、顔面神経麻蝉による目の歪 斜、閉目不全、眼瞼痙攣、額紋消失および三叉 神経痛の第一枝痛、鼻炎、副鼻腔炎などの治療に 用いられる。睛明の方は外眼疾患のみでなく視 神経萎縮、近視、遠視、斜視、夜盲症、色盲、 中心性網膜炎などの内眼疾患の治療にも用いられ ている。

BL10.
天柱
 主に頭痛、項背痛、寝違い、鼻づまり、目の 発赤腫痛及び咽喉腫痛の治療に用いられる。

BL11.
大抒、 BL12.風門、 BL13.肺兪
 これら三穴の位 置は接近しており、背部にあって肺に近いこと から、臨床上この三穴はともに肩背痛と咳嗽・ 喘息などの治療に用いられている。そのう ち肩背部痛の治療には大抒が最も優れており、 風門、肺兪がこれに次ぐ。咳嗽、喘息への療効 は肺兪が最もよく、風門、大抒がこれに次ぐ。 しかし発熱悪寒があれば、風門が最もよく、肺 兪がこれに次ぎ、続いて大抒となる。
 そのほか、大抒穴は八会穴の一つ、骨会とな っている。骨折癒着遅延、骨痛等の骨に関係す る疾病の治療に用いられる。肺兪は肺の背兪穴 なので肺と関係する疾患に使われる。例えば、 肺結核、肺炎、喀血等に対し比較的良好な療効 がある。また風門は風邪の出入する門戸とされ、 肺は皮毛をよるということから、肺兪と風門の 二穴は蕁麻疹、湿疹、神経性皮膚炎などの皮膚病 にも一定の効果がある。

BL14.
厥陰兪とBL15.心兪
 厥陰兪と心兪はそれぞれ心包と心の背兪穴で あり、臨床上この二つの穴はともに心血管およ び精神神経疾患の治療に用いられる。例えば各 種の心臓病による心悸、心煩、心痛それに癩狂、 癲癇、ヒステリー症、痴呆などである。 心兪は厥陰兪より多く使われるが、両者は 組み合わせたり交替して用いられるのが常であ る。

BL17.
膈兪
 横隔膜に相当する部位にあり、八会 穴の一つ、血会である。その主治症には次のも のがある。
1)横隔膜痙攣、横隔膜神経過敏によるしゃっ くり、悪心、嘔吐。
2)血液と関連する疾患、例えば貧血、瘀血性 疾患、出血性疾患また血熱、血燥による皮膚病 たとえば蕁麻疹、神経性皮膚炎、乾癬などである。
3)その他祛風作用のある経穴と組み合わせて、 風湿痹痛を治療する。これは「風を治するに先 ず血を治す、血行けば風自ずと滅す」の効によ
るものである。

BL18.
肝兪と BL19.胆兪
 肝兪と胆兪の位置は接近しており、また胆腑 は肝臓の内に蔵され肝臓と表裏の関係にあるの で、臨床上、この両穴はいずれも肝胆の疾患を 治療することができる。例えば、急・慢性肝炎、 胆嚢炎、胆道炎、胆道回虫症などである。更に肝 胆と関連のある疾患に対しても有効である。例 えば高血圧症、眩暈、肋間神経痛、眼疾患等で ある。
 両穴には異なったところもあり、肝兪は肝疾 患の治療、特に慢性肝疾患に適当であり、胆兪 は胆の疾病特に慢性の胆疾患の治療に優れてい る。眼疾患に対しては、肝兪は夜盲症、白内障、 網膜症、視神経萎縮、近視、遠視など内眼疾患の 治療が主となり、胆兪は目の発赤腫痛・迎風流 涙など外眼疾患の治療に適している。このほか、 肝兪は高血圧による眩暈および癩狂、癲癇、ヒ ステリー症などの精神疾患に対し、胆兪より治療 効果がよく、胆兪は胆道回虫症や結核性の潮熱 の治療には肝兪に較べ治効が優れている。

BL20.
脾兪と BL21.胃兪
 この両穴は互いに接近しており、内に脾胃に 応じ、表裏の関係にあることから、いずれも消 化器系の疾病、例えば胃・十二指腸潰瘍、急・ 慢性胃炎、胃痛、嘔吐、胃下垂、腹痛、腸鳴、 下痢、消化不良などに用いられる。また急・慢性 肝炎、胆嚢炎などの肝胆の疾患にも使うことが できる。
 しかし両穴には異なったところもある。脾兪 は多く慢性の消化器系疾患に用いられ、胃兪は 多く急性消化器系疾患に用いられる。

BL23.
腎兪、 BL24.氣海兪、 BL25.大腸兪
 臨床上はこれら三つの穴はみな腰痛の治療に 使われる。腰痛の部位にもいろいろあり、これ らの穴位に圧痛があれば、そこで治療効果は高 まる。このうち、腎兪と氣海兪は遺精・インポテ ンツ等の生殖器系疾患の治療に応用できる。腎 兪は一切の腎虚症状を治療することができる。
例えば遺尿、耳鳴り、難聴、水腫、下痢、生理 不順、帯下、生理痛、崩漏、不妊症、習慣性流 産などである。大腸兪は坐骨神経痛の治療に効果 があり、急・慢性腸炎、便秘、脱肛、痔疾、細 菌性下痢等にも用いられる。

BL22.
三焦兪と BL28.膀胱兪
 臨床上はこれら二穴はともに小便不利、水腫、 遺尿等の症状の治療に用いられる。三焦兪は腹 脹、腸鳴、泄瀉、細菌性下痢、腎炎などの治療に も使われ、膀胱兪は便秘、腰仙痛、坐骨神経痛、 月経不順などにも用いられる。

八髎穴
BL31.
上髎、BL32.次髎、BL33.中髎、BL34.下髎の四 つの穴を指し左右あわせて八穴となる。
 臨床上は、これら八髎穴は主に腰仙痛、坐骨 神経痛、下肢麻庫、月経不順、生理痛、帯下、 不妊症、排尿困難、遺尿、下血、痔疾、疝痛、 外陰部掻痒症、遺精、子宮下垂等の病症に用い られ、なかでも次髎が最もよく用いられる。

BL43.
膏肓
 主治症は次の通りである。
1)呼吸器系疾患、例えば肺結核、肺炎、気管支炎、 咳嗽、喘息、胸痛、喀血など
2)神経衰弱、不眠、健忘、遺精、盗汗など
3)消化器系疾患、例えば脾胃虚弱、消化不良・胃痛など
4)瘧疾、特に悪性の瘧疾にもっともよい、また肺腫瘍の治 療にも用いられ、扶正祛邪の効果がある。
5)肺や胃などの五臓六肺の機能を強めて保健予防 に益する。

BL54.
秩辺
 主治症は
1)坐骨神経痛、腰仙痛、下肢麻痺
2)排尿困難、痔疾、前立腺炎などである。

BL36.
承扶、 BL40.委中、 BL57.承山
 臨床上はこの三穴はすべて坐骨神経痛の治療 の常用穴となり、また各種の原因による下肢麻 庫と腰痛および便秘・痔疾などにも用いられる。
 そのうち、委中は膝関節腫痛、熱痛、日射病に よる高熱、ひきつけ痙攣および嘔吐下痢、痙攣、 丹毒、蕁麻疹を治療することができ、承山は下 腿痙攣、脚気にも用いられる。

BL62.
申脈と BL63.金門
 二穴はともに足関節、大腿部の痛み、ある いは癩狂、癲癇、ヒステリー症などの治療に用い られる。このうち申脈穴のほうは頭痛、眩暈に も使われ、癲癇の治療には金門よりも優れてい る。特に昼間発作の癲癇に常用され、また内反 足、外感発熱、目がかすむ、鼻出血、耳鳴、心 悸などにも用いられる。金門穴は小児驚風、疝痛、 ひきつけ痙攣なども治療できる。

BL62.
申脈と小腸経の後谿穴
 BL62.申脈 は八脈交会穴(八総穴)の一つで、陽蹻脈と足の太陽膀胱経の交会穴となっている。 後谿穴も八脈交会穴の一つで、督脈と手の太陽 小腸経の交会穴である。申脈は陽蹻脈に通じ、 後駱は督脈に通じており、二脈は目の内蔽・頚 項と耳肩等の所でつながっている。このため、 臨床上、常にこの二穴はセットで目の内眦・頚 項と耳・肩などの疾病の治療に用いられている。 このような配穴法は八脈交会穴配穴法と呼ばれ、 霊亀八法では夫妻穴といわれている。

BL60.
崑崙とBL67.至陰
 BL60.崑崙の主治症は坐骨神経痛、踊の痛み、下 肢麻庫、腰背部、項部4頭頂部等のこわばりと 痛みである。そのほか、難産、胎盤残留、癩痴 等の病症の治療にも用いられている。
 BL67.至陰の主治症は胎位異常、 難産、胎盤残留、頭頂痛、鼻詰まり、鼻出血、 目の充血腫痛などである。