医薬品
粉状の医薬品を入れたカプセル |
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アンプルに入った液状の医薬品 |
医薬品の例。錠剤。写真はリタリン20 mg錠 |
医薬品(いやくひん)とは、ヒトや動物の疾病の診断・治療・予防を行うために与える薬品。使用形態としては、飲むもの(内服薬)、塗るもの(外用薬)、注射するもの(注射剤)などがある(剤形を参照)。医師の診察によって処方される処方箋医薬品、薬局で買える一般用医薬品がある。医薬品は治験を行って有効性が示されれば先発医薬品(新薬)として承認される。新薬の発売から20年の期間が経過したら、後発医薬品(ジェネリック医薬品)も販売される。
個々の代表的な医薬品については「医薬品一覧」を参照
目次
o 1.1日本 |
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o 1.2フランス |
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o 1.3ドイツ |
o 1.4イギリス |
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o 4.1日本 |
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§ 4.1.1薬局 |
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o 4.2フランス |
o 4.3ドイツ |
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o 4.4イギリス |
医薬品の定義と分類
日本
医薬品医療機器等法による定義
日本の医薬品医療機器等法第2条では次のように定義される[1]。
1の日本薬局方に収載された医薬品を日本薬局方医薬品という。第一部医薬品、第二部医薬品に大別される。薬局方は約5年に一度大改定されるが、その間2年に一度程度追補版が発行され、収載医薬品が見直されている。最新版は、2011年3月24日に、第十六改正日本薬局方が公表された。日本薬局方医薬品は使用方法、効果、作用機序などがはっきりしたもののみを収載してきたが、米国薬局方(en:United States Pharmacopeia, USP)等と比べ収載医薬品数やその内容で現状の医薬品を踏まえていないとの指摘から、積極的に新医薬品の収載を行うようになってきている。ただし、薬価やその扱いなどで、問題が若干残っている。なお、第二部に収載されたショウガ、蜂蜜などは食品として利用されているものもある。
国内で医薬品として譲渡を含め流通させるには、厚生労働大臣による製造販売承認が必要である。承認のないもので医薬品、医薬部外品、化粧品もしくは医療機器に該当しないものは「効能」「効果」をうたうことはできない。保健機能食品でその認められた範囲内で標榜する場合を除き、医薬品としての効能効果をうたった製品は、「未承認医薬品」として処罰の対象となる。
医薬品の分類
日本の医薬品は次のように分類される(動物用医薬品を除く)。
医師等の処方箋がなければ、一般の人は購入できない医薬品。入手するには医療機関を受診し、医師または歯科医師の処方箋が必要になる。
処方箋医薬品同様、処方せんに基づく薬剤の交付を原則とする[4] 。
2014年6月12日からの改正で新設された区分で、リスク分類で「副作用等により日常生活に支障をきたす程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品のうち、その使用に関して特に注意が必要で、新しく市販された成分等を含むもの」と定義される医薬品[2]。要指導医薬品は対面販売によらなければならない[2]。
食薬区分
食品中の成分の薬理作用の研究が進んだ結果、疾病の予防などの効果をうたった健康食品が出現し、医薬品との区別があいまいになってきた。このため食品と医薬品を明確に区分する必要が生まれた。
1971年(昭和46年)、「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46年6月1日薬発第476号、厚生省薬務局長通知、(別紙)医薬品の範囲に関する基準)が出され、医薬品と食品の区分が明示された(通称46通知)[5]。
まず食品に分類されるものとして
そして上記に該当しないものは、次の4つの要素から医薬品か食品かを判断する。
上記の4つの要素のうち1つ以上を満たしているものが医薬品に分類され、医薬品医療機器等法による規制を受ける。
2001年(平成13年)、厚生労働省医薬局長 「医薬品の範囲に関する基準の改正について」(医薬発第243号平成13年3月27日、厚生労働省医薬局長)で、錠剤やカプセルなど医薬品のような形態でも食品であることを明記すれば、形状だけでは医薬品と判断しないと基準が緩和された。
フランス
フランスでは処方せん医薬品と良性の初期症状への処置を目的とする処方せん任意医薬品に分類される。
ドイツ
ドイツでは処方せん医薬品、副作用が少なく一定の安全性が確認されているものに指定される薬局販売医薬品、強壮・健康状態の改善・内臓諸器官の機能保護・疾病の予防を目的とするもので具体的な効能・治療効果をもたないものに指定される自由販売医薬品に分類される。
イギリス
イギリスでは処方せん医薬品、一定の安全性が確立されているものの薬剤師が販売を監督する必要があるものに指定される薬局販売医薬品、安全性が広範に確立され薬剤師が販売を監督する必要がないものとして一般小売店で販売が可能なものに指定される自由販売医薬品に分類される[6]。
医薬品の開発
新たな医薬品(先発医薬品・新薬)を開発することにより一定の利益を上げられるほか、画期的なブロックバスターとなれば製薬会社に莫大な利益をもたらすため、会社間の開発競争が続いている。一方で長い期間(十数年)と巨額の費用(数十億から数百億円)を必要とするほか、製品化できないリスクも他の業界に比べて高い。さらに厚生労働大臣の承認を得るというプロセスが必要となり、新薬の特許は申請後原則20年で切れる(特許庁に特許延長願いを出し認められれば、最大5年間の延長が特許法で認められている)。そのため上市した後の特許保護期間は、他の製品に比べ短くなることから、常に新たな医薬品の研究・開発が必要とされる。また新薬開発の標的となるタンパク質の枯渇により研究開発費は上昇を続けている。以上のことから、医薬品業界は世界的に再編が進み、世界的な超大手企業(多国籍企業)に集約されつつある。日本でも例外ではなく、医薬品メーカーの再編が急激に進んでいる。
期間の切れた特許で作られた医薬品は後発医薬品(ジェネリック医薬品)と呼ばれ、後発品専門の医薬品メーカーも存在する。既に先発メーカーで実績のある有効成分を用いる事から、開発期間も短く、新たな投資が少ないため、先発品よりも費用が安く、国の医療保険財政に貢献している。
医薬品の製造
日本での医薬品の製造には医薬品医療機器等法により医薬品製造業許可が必要とされている。また、製造した医薬品を上市するには、上市する医薬品の種類に応じて(第1種、第2種)医薬品製造販売業許可が必要である。
医薬品の販売
日本[
医薬品は誰でも販売できるわけではなく、原則として都道府県知事より許可を受けた以下のような場所でのみ販売できる。診療所や病院などで医薬品が扱えるのは、医師法あるいは歯科医師法の例外規定が根拠になっている。
薬局
医薬品医療機器等法では、薬剤師が販売または授与の目的で調剤業務を行う場所を、薬局と定義している。調剤室以外での調剤は、薬剤師法の規定により原則として認められていない。ただし、在宅医療などの場合は例外がある。 処方箋に基づいて調剤をおこなう薬局を調剤薬局と呼ぶこともあるが、薬局であれば原則調剤ができるので不自然な呼び方であり、「薬局」と「調剤薬局」が別の形態であるかと誤認されるのを防ぐため、法的強制力はないが新規の薬局には「調剤薬局」という名称を避けることが求められている。
店舗販売業
医薬品販売業のうち店舗において一般人へ一般用医薬品を販売する業態で,一般用医薬品以外の医薬品は扱うことができない。いわゆる調剤を行わない薬店やドラッグストアと呼ばれている業態。従来の一般販売業および薬種商販売業は経過措置により2012年5月までは店舗販売業とみなされ営業できる。2009年施行の改正薬事法で新たに設けられた業態。
配置販売業
戦前の配置販売業の薬箱と領収書
配置販売業とは、配置員(販売員)が消費者の家庭を訪問し、医薬品の入った箱(配置箱)を配置し、次回の訪問時に使用した分の代金を精算し、集金する仕組み(「先用後利(せんようこうり)」という)の医薬品配置販売業である。配置販売される医薬品は、置き薬ともいわれる。以前は、配置販売業の配置員は薬剤師などの資格を必要としなかったが、2009年の改正法による配置販売業では、薬剤師または登録販売者の資格を持たない配置員は、代金回収や補充以外の医薬品販売の業務ができないこととされた。配置販売に従事するに際しては都道府県知事の身分証の交付が必要となる。
卸売販売業
医薬品販売業のうち医療機関や薬局などに医薬品を卸売りする業態であり倉庫が主体で店舗は持たない。自治体にワクチンを納めるなど特殊な例を除き、医療関係者以外に直接医薬品を販売することは禁じられている。
フランス
フランスでは医薬品を販売することが可能な業態は薬局に限られる[6]。薬局には薬剤師を常時配置することが必要で、一定の販売額を超える薬局では販売額ごとに決められた人数の薬剤師を配置することを要する[6]。
ドイツ
ドイツでは処方せん医薬品と薬局販売医薬品を販売することが可能な業態は薬局のみ、自由販売医薬品を販売することが可能な業態は薬局およびドロゲリーに限られる[6]。処方せん医薬品と薬局販売医薬品の販売には薬剤師を常時配置することが必要であるほか、すべての医薬品は薬局の管理者による常時対応が可能になっていることを要する[6]。
イギリス
イギリスでは処方せん医薬品と薬局販売医薬品を販売することが可能な業態は薬局に限られる[6]。自由販売医薬品は一般小売店でも販売することができる[6]。処方せん医薬品と薬局販売医薬品の販売には薬剤師を常時配置することが必要である[6]。
医薬品をめぐる問題
医薬品の有害反応(副作用)の監視が適切に組織化されておらず、そして有害反応に関する情報は非公開とされていることもあり、その少ない情報における患者からの副作用の報告が監督庁に容認されないことすらある[7]。今まで処方箋医薬品であったものが、一般医薬品となる傾向もあり、副作用を把握する体制の弱体化ともなる[8]。
処方箋医薬品の不正として、その有効性や副作用を詐称して販売することが一般化しており、深刻かつ反復的な犯罪であるとされる[9]。アメリカでは近年、違法に医薬品を販売したことによって、各製薬会社で罰金最高額を更新し合っており、一度で数十億ドルの罰金に達している[10]。
日本の医療保険制度においては、患者の自己負担は薬価の3割(障害者や高齢者の場合は2割や1割に減額される)であり、残りの7割が医療保険から支払われる。そのため、国は医療保険財政の改善策として、先発医薬品に比べ薬価が低く同等の効果を持つ後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進策と、薬局やドラッグストアなどで自分で選んで購入する一般用医薬品(市販薬)(このときに購入する医薬品をOTC医薬品と呼ぶ)の利用促進策に取り組んでいる。
動物用医薬品