アカメガシワ
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アカメガシワ M. japonicus |
アカメガシワ |
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アカメガシワ(赤芽槲、赤芽柏) |
アカメガシワ(赤芽槲、赤芽柏、Mallotus japonicus)は、トウダイグサ科アカメガシワ属の落葉高木。新芽が鮮紅色であること、そして葉が柏のように大きくなることから命名された説もあるが、柏が生息していない地域では、この木の葉を柏の葉の代用として柏餅を作ったことからアカメガシワと呼ぶようになったとの説もある。古来は熱帯性植物であり、落葉性を身につけることで温帯への進出を果たしたものと見られる。古名は楸(ひさぎ)。
目次
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特徴・特性
日本の本州の岩手・秋田県以南、四国、九州のほか、アジアでは台湾、中国の南部の山野に自生する。日本では二次林に多く、山野、平地、川の土手のほか、空き地などによく生えてくる、典型的なパイオニア植物である。雌雄異株の落葉高木で、樹高は5〜10mに達する。春に出る若葉は、鮮やかな紅色をしており美しく[1]、星状毛が密生する[2]。
葉は赤く長い葉柄をつけて互生し、形は菱型状卵円形、先端は尖り浅く2〜3裂する[2]。3大葉脈があり、分岐点に腺体がある[2]。裏に黄色の腺点があってアリが集まることもある。幹は黄褐色から暗灰色でやや赤みを帯びる[2]。初夏、枝先に穂になって白色の小さな花を多数つけ、雄花には黄色の葯(やく)が目立つ。雌花序は雄花序よりも小さく、花数が少ない[2]。果実は秋になって10月頃に熟し、蒴果で軟針があり、3列して3個の黒紫色の種子を出す[2]。
暖帯から亜熱帯産の植物であるため寒さに弱く、日当たりを好み生長が早い[2]。木の根は生命力が強く、シュートを生じて繁殖する。また、種子は高温にさらされると発芽しやすくなり、伐採や森林火災により森林が破壊されると一気に繁殖する。
成分
苦味質(ベルゲニン、ルチン)、タンニン(ゲラニイン)、マロツシン酸、マロチン酸が含まれている。[3]
利用
材は軟らかく、床柱・下駄・薪炭に用いる。日本薬局方に記載の生薬で、樹皮は「野梧桐(やごどう)」、葉は「野梧桐葉(やごどうよう)」という[1]。樹皮を煎じたものは初期の胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃酸過多症に効果があるとされるほか、葉の乾燥品を風呂に入れて入浴すると、あせもに効能があるとされる[1][2]。また、果実の軟針は駆虫剤に用いる。若葉は食用となり、和え物やおひたしとする。
参考画像
アカメガシワの新芽 |
雄花 |
雌花 |
類似種
同属のものとしては八重山諸島以南に分布するウラジロアカメガシワ M. paniculatus があり、外見は似ているが、葉の裏が真っ白である。この種は東南アジアからオーストラリアに渡る分布を持つ。またより北(トカラ列島以南)まで見られるクスノハガシワ M. philippensis は、葉が硬くて細長く、毛も少ないため見た目はかなり違う印象である。また、沖縄にはヤンバルアカメガシワ Melanolepis multiglandulosa がある。一見はアカメガシワに似るが、より大きく膜質の葉を持つ。果実の穂をぶら下げる姿は独特。
別属だが一見似た樹種にオオバベニガシワ Alchornea
davidii がある。中国原産の落葉低木で、若葉が鮮紅色で美しく、庭木にされる。葉は網状の葉脈が目立つ。またこれと同属のアミガサギリ
A. liukiuensis が南西諸島に自生する。