セリバオウレン (キンポウゲ科オウレン属:多年草:草丈 〜20センチ:花期 〜3月)
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薬効 |
健胃/整腸 |
下痢止め |
消化不良 |
結膜炎/ただれ目 |
中風(漢方処方) |
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分布生育場所 |
科名:キンポウゲ科/属名:オウレン属
和名:芹葉黄連/生薬名:黄連/学名:Coptis japonica var.dissecta
本州の太平洋側の山地に多く自生。薬用に栽培される
富山、新潟、山形県の日本海側に自生するキクバオウレン
新潟県岩船近辺の黄花キクバオウレン、新潟市のキナバのキクバオウレン
葉が3回3出複葉のコセリバオウレン
バイカオウレン、新潟県・角田山/キクバオウレン
山形県月山のコシジオウレン(ミツバノバイカオウレン)、ミツバオウレン
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見分け方・特徴
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高山帯や北海道などに見られるミツバオウレンや温暖地のやや湿地に多いバイカオウレンは小型で根茎も発達せず、それに比べて根茎の発達がよく、太くなるオウレンは葉の形状からキクバオウレン、セリバオウレン、コセリバオウレンと区別します。
オウレンの名は、複葉の葉の形により1回3出複葉のものをキクバオウレンに分類されています。
また、2回3出複葉のものをセリバオウレン。
さらに、3回3出複葉のものをコセリバオウレンに分類されています。
現在各地に栽培されるオウレンはタンバオウレン(丹波黄連)と呼ばれるセリバ型の種類で、丹波の国で育成された栽培種です。 |
採集と調整 |
栽培は、播種(はしゅ)4〜5年後、10〜11月ころに、根茎を掘りあげ、ひげ根をむしり取り、日干しにして乾燥したものを、ひげ根を焼いて、むしろでこすり焼き焦げたひげ根を除きます。
むしろでこすられた、根茎は多少の光沢が出ることから、生薬名で磨黄連(みがきおうれん)と呼ぶ |
薬効・用い方 |
有効成分:アルカロイド(ベルベリン)、パルマチン、コプチシンなど
健胃(けんい)、整腸薬として消化不良や下痢止めに用います。苦味が強いのは黄色物質のベルビリンによるもので、粉末や煎じ薬として用います。黄連の性として寒であるため、病態が冷えているような場合には用いられません。
粉末は一回量0.3〜0.5グラムを1日3回食前に服用し、煎じ薬とするには刻んだ根茎3〜5グラムに水0.5リットルを加えて煎じ、約半量まで煮詰めたものを三っつ分け、毎食前に服用します。
普通に黄連を煎じ薬とするときは、根茎だけでなく細根をつけたまま乾燥したものを使うこともあります。
下痢、健胃/整腸には、乾燥した黄連(おうれん)1日量3〜5グラム、水0.2リットルで半量まで煎じて食後服用する
結膜炎、ただれ目には、乾燥した根茎(黄連(おうれん))2グラム、水0.1リットルで煎じて、冷めたら煎じ液をガーゼに浸して随時洗眼する。
中風には、漢方処方の三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)/黄連(おうれん)、大黄(だいおう)、黄芩(おうごん)各2グラムを煎じて服用する。
肥満タイプの人で便秘がち、気分がいらいらして赤ら顔の高血圧症に向き、常用すると血圧が下がり気分が安定してくる |
その他 |
名の由来は、日本の古い時代には、カクマグサ、ヤマクサと呼んでいたが、中国名の黄連(おうれん)と、カクマグサ、ヤマクサと同じ植物と間違って、黄連(おうれん)の名をあてたという「本草和名(ほんぞうわみよう)」や「和名妙(わみょうしょう)」に記述がある
江戸時代の貝原益軒は「大和本草(やまとほんぞう/1708)」では「日本の黄連性よし。故に中華、朝鮮にも日本より多く渡る。中華の書に日本産黄連を良とす」という記述がある
薬用としては、セリバオウレンを多く用い、キクバオウレンも使う。
現在は、福井県、鳥取県、兵庫県、広島県などで生薬の黄連(おうれん)が生産されているという |