放射性医薬品

ホウシャセイイヤクヒン

【英】radiopharmaceutical

 

放射線を放出する医薬品.放射性同位元素(RI*,アイソトープ*)あるいはその化合物を用いた医薬品で,医療用アイソトープあるいは診療用放射性同位元素とも呼ばれる.放射性医薬品には体外診断薬としてのインビトロ用放射性医薬品(検体検査用放射性同位元素)と,体内に投与されるインビボ用放射性医薬品があり,インビボ用放射性医薬品は診断用と治療用に大きく分類される.いずれも放射線管理区域でのみ使用することができる.インビトロ用放射性医薬品の大部分は,ラジオイムノアッセイ*radioimmunoassayあるいはイムノラジオメトリックアッセイ*immunoradiometric assayとして125I‐標識物が用いられている.インビボ用放射性医薬品としては,主として99mTc, 201Tl, 67Ga, 123I,131I, 111In, 133Xe, 81Krなどおよびその標識化合物*(RI labeled compoundが用いられている.放射性医薬品は高い比放射能のため,感度が優れ,薬理作用がほとんどなく,有効半減期が短いのが特徴である.放射性医薬品を投与後に得られる核医学画像(シンチグラムscintigramと呼ばれる;→シンチグラフィ)は,心筋血流,脳局所血流,腎機能,甲状腺機能を知るためや癌の骨転移,炎症の診断などに幅広く利用される.X線検査や超音波検査が主に臓器の形態的異常をみるのに対し,放射性医薬品により得られる核医学画像は,生理機能情報を得るのに有用である.131Iや89Srは放出するβ線の細胞傷害作用を利用して,それぞれ甲状腺疾患,癌の骨痛の治療に応用されている.