アガロースゲル電気泳動〔法〕

アガロースゲルデンキエイドウホウ

【英】agarose gel electrophorsis
 

アガロース(寒天の主成分,〔D‐ガラクトシル‐(β14)‐3,6‐アンヒドロ‐L‐ガラクトシル‐(α13)n〕の構造をもつ分子量の大きい多糖体)を支持体として,電気泳動*により核酸(DNARNA)やタンパクなどを分子の大きさにより分画する方法.アガロースは高温(42℃以上)では溶解したゾル状であるが,それ以下の温度では分子間に水素結合ができ網目状に結合しゲル状になる.このゲルの中を分子は自由に拡散できるが,電圧をかければ分子はその大きさによって移動する速度(移動度)が異なってくる.すなわち大きな分子は遅く,小さい分子は速く移動し,同じ大きさの分子は同じ移動度となり,分子の大きさで分別することができる.アガロースの濃度(通常は12%)が高ければ,硬くなって大分子は移動しにくくなり,逆に濃度が低ければ軟らかくなり,小分子の分別がはっきりしなくなる.目的とする分子の大きさに応じて濃度を決定する.また本法によりタンパクや核酸を分画しても分子は変性を受けないので,分画後抽出して他の目的に使用することができる.DNARNAを任意の大きさに切断して,分画・収集したり,タンパクの分画や免疫沈降反応immunoprecipitationに繁用される.→ゲル電気泳動法