アイ                       (タデ科タデ属:1年草:草丈 〜80センチ:花期 〜9月)

薬効
虫さされ 解熱 解毒  
           
分布生育場所

科名:タデ科/属名:タデ属
和名:藍/学名:Polygonum tinctorium Lour.(Indigo plant)
ベトナム南部原産。本州、四国、九州の畑などで栽培。
2〜3月ころに、種子と砂と木灰少々を混ぜて苗床にまきます。4月ころに発芽後の20日ほどした苗を本植えします。株間は30センチくらいが適当です。

タデ科タデ属/栽培品種白花のアイ
タデ科タデ属イブキトラノオ(伊吹虎の尾)
タデ科タデ属サクラタデ(桜蓼)
タデ科タデ属イタドリ(虎杖)

見分け方・特徴

茎はやや紅紫色をおびて高さ50〜80センチに達する1年草の草本です。
葉は長さ6〜9センチの草質で品種により広皮針形、長楕円形から卵形など多様であり、短い柄があって茎に互生して、鞘状の托葉があり、茎を抱き長い緑毛があります。
秋になると穂状に紅色の小花を多数つけ、花びらは5個でおしべは6〜8個あります。
採集と調整
葉を藍葉(らんよう)、果実を藍実(らんじつ)といいます。
生の葉は必要な時に採取します。
薬効・用い方
藍実(らんじつ)の薬効は、「神農本草経」に主として体内に入った諸処の毒物を解することができて、これを長いこと服用していると年をとっても頭の毛が白くならないで、だんだん身の動きが軽くなるとされています。
解熱、解毒の目的で藍実(らんじつ)3〜10グラムを1日量として水0.2リットルを加えて3分の1量まで煮詰めて服用します。
新鮮な葉汁は毒虫に刺されたときに患部に外用として使用します。
その他
アイは、南ベトナム原産で日本には古く7世紀以前に中国から、藍染(あいぞめ)の染料植物として染色技法とともに入ってきました。

中国の最も古い薬物書である「神農本草経」(しんのうほんそうきょう)の上品に藍実(らんじつ)が記されています。藍実(らんじつ)はアイ、中国の蓼藍(りょうらん)の果実のことです。蓼藍は蓼(たで)ににていますが味が辛くなく、青く染めることができるので、この名で呼ばれましたが、昔の中国で人民がアイを刈り取って衣服を染めることを禁止していたので、その監督の監から作られたといわれています。

アイの栽培はおもに徳島県が盛んでしたが、徳川時代には、各地で多くの品種が栽培されていたようです。「百貫」「上粉百貫」「小上粉」など約30品種以上にもなりました。

幕末の近代植物学者である飯沼慾斎(いいぬまよくさい・1783〜1865)があらわした「草木図説(そうもくずせつ)」にも「大垣付近で栽培しているものに、円葉、長葉、大葉、シカミ葉(縮んだ葉のこと)の4種類がある・・・」とあります。

藍玉(あいだま)の製造
建染(たてぞめ)染料である藍玉(あいだま)は、開花期の7月に刈り取り、さらに刈り取り後の成長した8月ころにもう一度刈り取って、約2センチくらいに刻みます。茎を除いて葉だけにして乾燥したものを「寝床」と呼ばれる室内に積み重ねて水を掛けて発酵させます。発酵した黒い土塊状のものを「すくも」といいます。これを臼の中でつき固めて藍玉(あいだま)にします。藍玉(あいだま)は必要なときに水に溶かして藍汁として、布の染料として使用します。

日本最古の藍染のヤマアイ/青摺(あおずり)