ヤマガキ          (カキノキ科カキノキ属:落葉高木:樹高 〜15メートル:花期 〜6月)

薬効
吐血・喀血(かっけつ) しゃっくり せき・たん 高血圧 止血  
分布生育場所

科名:カキノキ科/属名:カキノキ属
和名:山柿/生薬名:柿蔕(してい)/学名:Diospyros kaki var.sylvestris
本州、四国、九州の山地
朝鮮(済洲島)、中国に分布

カキノキ科カキノキ属カキ
カキノキ科カキノキ属マメガキ
カキノキ科カキノキ属禅寺丸柿(ゼンジマル)

見分け方・特徴

ヤマガキは、本州、四国、九州の山地に自生する落葉高木、高さ5〜15メートル
樹皮は灰褐色で縦に裂け目が多く出てはがれる
葉は互生、広楕円形〜卵状楕円形、長さ7〜15センチ、幅3〜8センチ、葉縁は全縁、表面の主脈の短毛、裏面に褐色の毛が密生する
花は、雌雄同株、5〜6月に新枝の葉腋に淡黄色の花をつける
雄花は、数個ずつつき、長さ5〜10ミリで壺形、花冠は4裂して反り返り、雄しべ16個
雌花は、1個ずつつき長さ1.2〜1.5センチ、雌しべ1本、退化した雄しべ8個ある
果実は扁球形で小型
採集と調整
渋みの強い柿の青い時期に蔕(へた)を集める

また、蔕(へた)は、柿を食べるときに集めて日干しにして乾燥する

柿の葉(かきのは)の、柿の葉は6月ころの若葉を採取して、葉の芯を切り取り、蒸気(せいろなどを使用する)で2〜3分蒸し、日陰で陰干しして乾燥させてから細かく刻む


薬効・用い方
有効成分は、柿渋には多量のタンニンを含み、これはビタミンPと良く似た化学構造をもち、血管の透過性を改善して高血圧を防ぐことが知られている

カキの葉には、ケンフェロール・3・グルコサイド、クエルセチン・3・グルコサイドの血圧降下成分を含む
蔕(へた)には、ウルソール酸などを含む

柿渋は、渋みの強い青い柿の蔕(へた)をとり、金属以外の容器に入れて砕いて、水を入れ攪拌しながら5〜6日後に、布で搾った汁を一升瓶に入れて、6ヶ月以上土中に埋めておくと、褐色で渋みと異臭が出てくるのを生渋(きしぶ)と呼ぶ

血圧降下には、柿渋をさかずき1杯、大根おろし適量に混ぜて、1日3回空腹時に服用
また、乾燥した葉を1日20グラム、適量の水で煎じてお茶のように飲用する

しゃっくり止めには、柿の蔕(へた)5グラム、ヒネショウガ5グラム、水0.2リットルを煎じて服用する
その他
柿の名の由来は、「日本釈名」には「あかき也、其実も葉もあかき故也」という記述があり、「和訓栞」には、「柿は実の赤きより名を得たるにや、葉も又紅葉す」という記述がある
このことから、柿(かき)の名の由来(語源)は、「赤き(あかき)」が転嫁(てんか)して「かき」の名になったという

柿の語源は、韓国慶煕大学アルタイ語研究所長徐延範教授の「日本語の源流をさかのぼる(1989)」には、柿の語源として韓国語カム(Kam)の祖国語カツ(Kat)、カル(Kal)のという言葉に K がつき、カルク(Kalk)になり、カルクが転嫁してカキ(Kaki)の名になったという
現在のカキ(Kaki)の韓国語カム(Kam)も、祖国語カル(Kal)に、接尾語am がついて Kalam →
Kaam → Kam となったもので、日本語のカキも、韓国語のカムも元来同根とあると説明している

「万葉集」や「源氏物語」には柿の記述が無いことから、その時代以降に改良されたと考えられる
天平宝字5年(761)の正倉院文書には、三十九文で柿子(かき)九条を買ったという記録がある
「延喜式(えんぎしき/927)」の内膳司には、多くの「干柿子(ほしがき)何連」の記録がある
当時の内膳司とは、天皇の食事をつかさどった役所のことで、現在の「干し柿」を買い求めた記録があり、当時は、「干し柿」を料理の甘味料に用いたと考えられている
また、古い時代には、数個の柿をヒモで通して乾燥したものを、一連とか一条と読んで売買したと考えられている

ヤマガキは、盆栽などや、カキの接木の台木として利用される