シキミ           ( シキミ科シキミ属 :常緑小高木:樹高 〜12メートル : 花期 〜5月 )

薬効
有毒
分布生育場所

科名:シキミ科/属名:シキミ属
和名:樒/梻/別名:ハナノキ/学名:Illicium religiosum
本州の宮城県・石川県以西、四国、九州の山地に自生、各地で植栽
朝鮮(済州島)、中国、台湾に分布


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見分け方・特徴

シキミは、常緑の小高木で、樹高10〜12メートル
幹は直立、樹皮は黒褐色で筋が目立つ小枝は緑色
葉は長楕円形で互生、革質でつやがあり厚い、葉縁は全縁、葉を切ると芳香がある
葉や樹皮には芳香があり、粉末にして線香や抹香(まっこう)の材料にする
花は、3〜4月ころに、小枝の葉腋から花柄を出して淡黄白色の両性花をつける
果実は、袋果が数個車座に集まり、秋に熟して、褐色の種子をはじく


採集と調整



薬効・用い方
袋果を採取して煎じた液を牛馬の皮膚寄生虫駆除に用いた

有毒部位:樹皮、葉、果実

有毒成分:果実が猛毒で、アニサチン、ネオアニサチン

中毒症状:嘔吐、呼吸障害、痙攣、血圧上昇から死亡する


その他
名の由来は、シキミの果実が猛毒のことから、「悪しき実(あしきみ)」から転訛して、シキミの名になったという
また、ハカバナやハナノキの別名は、昔から、墓前に、シキミの枝を供えた風習があったことから名がついた

古代では、人が死ぬと土葬した、その墓地を、オオカミなどに荒らされることを防ぐ為に、有毒なシキミの木を植えたり、枝を墓の周りにさしたりした。その名残が火葬になった現代でも残っている

また、別名マッコウノキは、樹皮や葉で線香や抹香を作ったことからついた

中国料理にも使われる、ベトナム産の大回香(ダイウイキョウ)は、トウシキミの果実で薬用にも用いられていて、シキミの果実と似ていたために、昔、日本からドイツに輸出した有毒のシキミの果実が、大回香(ダイウイキョウ)に混ぜられ食品として売られて、多数のドイツ人が中毒を起こしたという例があるという