ツルナ                 (ツルナ科ツルナ属:多年草:草丈 〜60センチ:花期 6〜11月)

薬効
胃炎(胃カタル) 胃酸過多・胸やけ 胃・十二指腸かいよう 胃がん
分布生育場所

科名:ツルナ科/属名:ツルナ属
和名:蔓菜/生薬名:蕃杏(ばんきょう)/浜千舎(はまじしゃ)/学名:Tetragonia tetragonoides
日本全土の太平洋側の海岸に普通に自生。
新潟県弥彦海岸のツルナ

見分け方・特徴

ツルナは、全体が肉質で無毛、淡緑色で高さが60センチくらいになり、地をはって蔓(つる)状になって生長します。
葉は茎に互生(ごせい)して、三角状で柄があり、粒状の表面細胞があり、春から秋の長い期間に、葉のわきに小さな黄色花をつけます。
花は花弁(かべん)が無く、がくが4〜5裂していて内側が黄色で花弁状をしています。
ツルナの果実には4〜5個の刺状(とげ)の突起があり、ヒシの実に似ています。
採集と調整
ツルナは、夏から秋の花の咲いているときに全草を採取して、よく洗い日干しにします。
これを生薬で、蕃杏(ばんきょう)、浜千舎(はまじしゃ)といいます。
また、薬用には生の全草も用いる場合があります。
薬効・用い方
有効成分:カロチノイド、カロチンほか

胃潰瘍(いかいよう)、胃酸過多(いさんかた)、胃腸カタルに効き目があるとされ、蕃杏(ばんきょう)を1日量10〜15グラムを水0.3リットルで煎じて、約半量まで煮つめて食間に服用します。

また、胃がん、食道がんに効くとされていて、蕃杏(ばんきょう・ツルナ)90グラム、ヒ シの実(果実)120グラム、薏苡仁(よくいにん・ハトムギ)30グラム、決明子(けつめいし・エビスグサ)12グラムを混ぜて煎剤として用いられています。

食用:ツルナは茎が、つる状になり野菜として食用になるので蔓菜(つるな)と、つけられたといわれています。
ツルナは、若い葉を天ぷら、おひたし、あえ物、汁の実にして食べます。
ツルナの別名は、ハマナ、ハマジシャがあって、古くから栽培して野菜として食べていました。

英名は、ニュージーランドほうれんそうといって、これはイギリスの探検家キャプテン・クックがニュージーランドへ探検に出かけたときに、ニュージーランドの海岸で見つけて、イギリスに持ち帰って栽培するようになって、その名で呼ばれるようになりました。
その他
名の由来は、浜辺に蔓(つる)のように群生して、葉は食べられる菜(な)から、ツルナの名になった

日本全土の海岸に普通に見られる多年草草本(そうほん)です。
分布は、北海道(西海岸)、本州、四国、九州、沖縄に自生しますが、日本では北海道(西海岸)が北限地のようです。
台湾、中国南部、南アジア、ニュージーランド、オーストラリア、ポリネシア、南アメリカなどの太平洋に面する各地の海岸に広く分布しています。

ツルナの果実は、ヒシの実(果実)に似ていて、よく熟したものは海水に浮くために、海岸から波にのって遠くに流れ着いて、その流れ着いた砂浜に発芽して繁殖します。

日本の古書で、貝原益軒(かいばらえきけん)の著作「大和本草(やまとほんぞう・1708)」では、ツルナについて以下のように記述しています。
浜藜(はまあかざ)の漢字で表し「葉アカザの如く繁衍(はんえん)す。嫩葉(わかば)を食す。五月に小黄花を葉間に開く。実は大豆の如し、大豆は五角があって刺(とげ)の如し」と記述されていて、古くから食用にされていたことがわかります。