ツバキ            (ツバキ科ツバキ属:常緑低木:樹高 〜2メートル:花期 〜6月)

薬効
健胃・整腸 滋養強壮 切り傷、擦り傷、おでき ツバキ油
 
分布生育場所

科名:ツバキ科/属名:ツバキ属
和名:椿/学名:THEACEAE Camellia

ツバキ科/THEACEAE
常緑、落葉の高木、低木
世界の熱帯〜亜熱帯地域を中心に、約30属500種があり、日本では8属約20種が自生する
葉は単葉で互生。托葉は無い
花は放射相称でふつう両性花、がく片5枚〜、瓦重ね状に並び、花弁5個、基部は合着、雄しべ多数、ふつう花といっしょに落花、基部の合着が一部の種では離れて落花する種もある、雌しべ1個、子房は上位で3〜5室に分かれている

ツバキ属/Camellia
日本には、ヤブツバキユキツバキサザンカ(日本固有種)の3種が自生する
常緑の高木、低木
葉は革質、表面はクチクラ層に覆われる
果実は刮ハ、熟すと3〜5裂する、果皮は厚い革質
東アジアからヒマラヤに約150種が分布する

椿(つばき)の古典園芸品種「侘び介椿」
椿(つばき)の園芸品種「匂い椿(港の曙)」
椿(つばき)の熊本藩の園芸品種「肥後椿(日本錦)」
中国西南部、ベトナム、インド周辺原産のチャノキ
ツバキ科ツバキ属ヤブツバキ系卜伴(ボクハン)

見分け方・特徴

ヤブツバキは、本州以南の日本全土、台湾、朝鮮半島に分布する常緑高木で高さが6〜15メートル
幹は灰白色、葉は、長楕円形で中央に明瞭な葉脈があり、葉縁には細かい鋸歯がある
葉質は厚く、互生(ごせい)、表面は緑色で革質で光沢があり、裏面は淡緑色
花は、11月〜3月ころに、紅色の5〜6弁花をつける
果実は、初夏ころに球形の刮ハ(さくか)

本州日本海側の雪の多い地域に自生するヤブツバキの変種
ヤブツバキとの違いは、枝が細くしなやかで、根元から枝分かれする
花の中の花糸がユキツバキは黄色、ヤブツバキは白色
花弁が平開するのがユキツバキ、両者の中間型は、ユキバタツバキと呼ぶ
採集と調整
花、葉を採取して陰干しにして乾燥させます。
生薬(しょうやく)で、山茶(さんちゃ)といいます。
種子は、ツバキ油にします。


薬効・用い方
乾燥した花は、滋養強壮、健胃・整腸に1日量10グラムを、水0.5リットルで、約半量まで煎じて服用します。成分には、アントシアニン、ユゲノールなどを含みます。
また、滋養強壮には、細かく刻んで約2グラムを湯のみに入れて熱湯を注いで飲みます。

新鮮な葉には、タンニン、クロロフィルなどを含み、切り傷、擦り傷、おできなどに、すりつぶして患部に塗布します。または、新鮮な葉5〜6枚を、蒸し焼きにして、ツバキ油と練り合わせて同じように塗布します。


ツバキ油:ツバキの種子から採るツバキ油は、サポニン、約60%の脂肪油が含まれています。
ツバキ油は、零下15度に下がらないと凝固しない、やや黄色で透明、臭いもないことから、薬品の軟膏の基礎剤、頭髪用、食用、灯火用など広く用いられています。
また、酸化しにくく、粘着性が小さいので、精密機械油などにも用いられています。
その他
名前の由来は、葉質が厚いことから、厚葉木(あつばき)から、転訛(てんか)して、ツバキになったという説や、つやつや光る葉の木から、津葉木(つばき)になったという説、また、朝鮮語の、ツンパク(冬柑)が転訛(てんか)して、ツバキの名になったがありますが、一般的には、津葉木(つばき)説が有力になっています。

また、ツバキの漢字「椿」は、ちん(椿)であって、センダン科のチャンチンのことです。

日本では、古くから親しまれていて、野生種には、海岸地帯に自生するヤブツバキと積雪地帯のユキツバキがあり、江戸時代には、園芸用に改良品種が、長崎からヨーロッパに輸出されていて、日本から世界に広がった園芸花として知られています。

古代では、ツバキには霊力が宿る神聖な木として神社やお寺の境内に植えられていました。
各地方には、椿神社や椿市などの名残や、奈良東大寺二月堂のお水取りの儀式には、紅白の椿が供えられます。