サルコイドーシス
サルコイドーシス
【英】sarcoidosis
【独】Sarkoidose
【仏】sarcoi¨dose
【ラ】sarcoidosis
同義語:サルコイド症,ベック類肉腫Boeck's sarcoid,ベニエー・ベック・シャウマン病morbus Besnier‐Boeck‐Schaumann,血管類狼瘡angio‐lupoide
多臓器にわたる肉芽腫性疾患で,原因不明である.結核説が有力であったが,今日では否定されている.20歳代に好発し,女子にやや多い.症状は多彩であるが,以下臓器別に略記する.まず両側性の肺門リンパ節腫脹(BHLと呼ぶ)が起こり,これが初発症状である.頚部や鼡径部のリンパ節腫脹もよくみられる.眼症状も多くみられ,両眼性のぶどう膜炎が最も多い.皮膚症状としては,まず初期に結節性紅斑*erythema nodosumがしばしばみられ,女性例が多い.次いで比較的初期に,瘢痕浸潤が起こる.これは,外傷や手術などの古い瘢痕が,急に赤く腫脹してくるもので,本症の1/5くらいにみられるという.皮膚症状は皮膚サルコイドと総称されるが,上記よりやや遅れて,30~40歳代に多い.丘疹を多発する結節型が最も多く,次いで堤防状に隆起した斑状皮疹を呈する局面型があり,顔や手足の腫脹をきたすびまん浸潤型,皮下硬結を生ずる型(ダリエー・ルシー(Darier‐Roussy)皮下類肉腫subcutaneous sarcoidosis)など,多彩な病型がある.そのほか耳下腺・骨・肝・脾・心臓・筋肉・神経病変もある.組織学的には類上皮細胞肉芽腫であり,慢性に経過するが,自然治癒例もある.副腎皮質ホルモンが有効であるが,治療抵抗例もある.診断は臨床症状と胸部X線像,組織生検像による.クヴァイム反応*Kveim reactionは,患者脾組織などの磨砕液を皮内注射して,4~6週後に生検し,肉芽腫形成の有無をみるもので,本症に特異性が高いと評価されている.