131I‐T3レジン摂取率
アイ131ティー3レジンセッシュリツ
【英】131I‐T3 resine uptake
血液中の甲状腺ホルモン*の大部分はサイロキシン結合タンパクthyroxine binding protein(TBP)と結合して循環している.甲状腺機能亢進症*では血液中に甲状腺ホルモンが多量に存在するので,TBPは甲状腺ホルモンでほぼ飽和されているが,甲状腺機能低下症*では甲状腺ホルモンが少ないので,TBPの結合能にはまだ余裕がある.したがって試験管内で甲状腺機能亢進症患者の血清に125I‐T3を加えると,TBPは飽和状態にあるため125I‐T3がTBPと結合する割合は少ないが,甲状腺機能低下症患者の血清では未飽和であるため多く結合する.そこで被検血清と125I‐T3の混液中にレジン,セファデックスなどを加えて,TBPと結合していない125I‐T3を吸着させると,機能亢進症では吸着率が高くなり,低下症では低くなる.したがって吸着剤に吸着した放射能あるいは吸着されなかったTBPと結合している放射能を測定すれば,血中甲状腺ホルモンの量を評価することが可能である.このような検査法をdirect saturation analysisと呼んでいる.本法の原理から考えても明らかなように,測定値は血中TBPの量により影響を受け,TBPが増加する妊娠,先天性TBG増加症,エストロゲン治療などの場合には,血中甲状腺ホルモンの量は正常であっても低値を示すことになる.逆に,TBPが減少する先天性TBG欠損症,重症ネフローゼ,重症肝疾患などでは高値を示す.本検査法はT3,T4,TSH,およびTBGの量を直接測定できるようになった今日では,その利用は減少する傾向にある.