ポジトロンカメラ
ポジトロンカメラ
【英】positron camera
【独】Positronkamera
陽電子*positronを放射するアイソトープを人体に投与してその分布状態を画像表示するために用いられる核医学診断用装置.陽電子自体は体外から計測することはできないが,陽電子は人体組織中を数mm走って停止し,そこで付近に多数存在する陰電子の一つと結合して質量を消滅させ,代わりにγ線を発生する.このγ線は消滅放射線annihilation radiationと呼ばれ,同時に2本互いに180° 反対方向に放射される.そのエネルギーは電子1個の質量に相当する0.511MeVである.ポジトロンカメラではこの消滅放射線を計測する.具体的には,シンチレーション検出器を2個,被検体を挟んで対向して設置し,両検出器間に同時計数回路を入れて計測する.こうすると,2個の検出器を結んだ線上で発生した消滅放射線のみが同時に両検出器に入射するので,消滅放射線を選択的に検出することができ,かつまたその消滅放射線の発生点が両検出器を結んだ線上にあることが確認できる.これを発展させて陽電子放出核種の二次元分布を画像化する方法がいくつか実用化された.1950年代に作られてポジトロンスキャナpositron scannerと呼ばれた装置は対向する1対の検出器を走査(scan)して二次元分布を得るものであった.その後多数の小検出器群を対向させてそれぞれの間で同時計数を計測する装置も現れ,この種の装置は走査運動なしで二次元分布を画像化できたのでポジトロンカメラと呼ばれた.なお前者の装置で撮影する方法あるいはそれで得られた画 像をさしてポジトロンスキャニングpositron scanningとかポジトロンスキャンということがある.また後者の装置で撮影する方法をポジトロンシンチグラフィpositron scintigraphy,得られた画をポジトロンシンチグラムpositron scintigramという.→消滅放射線同時検出法,ポジトロンCT,ポジトロン放射体