甲状腺機能検査
コウジョウセンキノウケンサ
【英】thyroid function test
【独】Funktionspru¨fung der Schilddru¨se
【仏】e´preuve de la fonction thyroi¨dienne
甲状腺*の機能状態を知るための検査で,甲状腺は下垂体性TSHの支配下にもあるから下垂体のTSH*の分泌能に関する検査も含むことになる.大別して, 1) 血中甲状腺ホルモン濃度を測定する検査, 2) 甲状腺のホルモン合成能を放射性ヨードにより調べる検査, 3) 甲状腺ホルモンの末梢組織への効果を測定する検査, 4) TSH濃度および分泌予備能を調べる検査, 5) 自己免疫性甲状腺疾患に特有な諸検査,の5種類に大別することができる.まず, 1) 血中甲状腺ホルモン検査の目的は,血中のサイロキシン*(T4),トリヨードサイロニン*(T3)のうち,最も生物学的に意義のある遊離ホルモンすなわち血中の結合タンパクに結合していない部分の濃度を知ることにある.free T4, free T3を実測するか,総T4,総T3濃度とTBG,あるいはT3レジン摂取率から間接的に推定してもよい. 2) 甲状腺自体のホルモン合成能の指標の一つとして放射性ヨード摂取率を測定する.放射性ヨード(多くは123I)を服用して24時間後あるいは静注して20分後に摂取率を測定する.前者は甲状腺のヨードポンプの効率とヨードの有機化能を,後者はヨードポンプの効率を主として反映する.破壊性甲状腺炎では両者とも低下する. 3) 甲状腺ホルモンの末梢組織に対する作用は基礎代謝率(BMR)で測定される. 4) TSH濃度を高感度測定法で測定するほか,TRH負荷に対するTSH分泌反応を調べる. 5) 免疫学的異常の測定には自己免疫性甲状腺疾患に共通な抗甲状腺ミクロソーム抗体,抗サイログロブリンのほか,バセドウ病*に特異的な抗TSH受容体抗体,甲状腺刺激抗体,萎縮性甲状腺炎atrophic thyroiditisにみられることのあるTSH阻止抗体が測定される.以上を論理的に組み合わせて,甲状腺異常の実態を明らかにすることができる.