甲状腺癌

コウジョウセンガン

【英】thyroid carcinoma

【独】Schilddru¨senkrebs

【仏】cancer du corps thyroi¨de

【ラ】carcinoma thyreoidea

 

甲状腺癌は組織学的に分化癌と未分化癌*に分けられる.分化癌には乳頭腺癌,濾胞腺癌*,髄様癌*があってそれぞれ大体特徴ある臨床経過を有する.乳頭腺癌は最も頻度が多く,腺内や局所リンパ節に転移をつくる傾向があるが,若い女性に発生した場合には予後もよい.濾胞腺癌は肺や骨に血行性転移を作る傾向があるが,131I 治療が可能な場合には予後も乳頭腺癌と同じぐらいである.甲状腺髄様癌*は,癌胎児性抗原*carcinoembryonic antigenCEA)やカルシトニン*calcitoninを産生したり,多発性内分泌腺腫(腫瘍)*II型の部分症である場合がある.甲状腺分化癌の治療は手術を第一とする.必要があれば,リンパ節郭清や,甲状腺全摘術,術後131I大量療法などを行う.未分化癌は発症が急激で甲状腺腫も大きく,周囲への浸潤などの結果,局所の炎症症状をも呈することがあり,気管,食道などへの浸潤の結果,放射線療法,化学療法しか適用できないことが多い.甲状腺原発の悪性リンパ腫があるがこれは放射線治療に反応して軽快する.