原発性肺高血圧症
ゲンパツセイハイコウケツアツショウ
【英】primary pulmonary hypertension
【独】prima¨re Lungenhypertonie
原因不明で,肺動脈圧が上昇し,右室肥大,右室不全を生ずる疾患で,時に急死をまねくこともあり,予後が非常に悪い.正常成人の肺動脈圧は,収縮期18~25mmHg,拡張期6~10mmHg,平均圧12~16mmHgとされ,収縮期圧30mmHg,拡張期圧15mmHg,平均圧25mmHg以上の時に肺高血圧症*とされる.病理学的には,肺動脈の血管中膜筋層の肥厚と血栓形成,動脈炎,血管壊死像がみられる.臨床的には,呼吸困難,チアノーゼを生じ受診,あるいは検診によって心電図異常,胸部X線異常により発見される.最終診断は,心カテーテルにより,肺動脈圧の測定と,その他の原因(二次性肺高血圧症secondary pulmonary hypertension)の認められないことにより確定する.原発性肺高血圧症は,まれな疾患ではあるが,治療法は酸素吸入療法,イソプレナリン*投与,血管拡張薬と対症療法のみで,数年~十数年の間に全例死亡する.