グルココルチコイド
グルココルチコイド
【英】glucocorticoid
【独】Glukokortikoid
【仏】glucocorticoi¨de
同義語:糖質コルチコイド,オキシコルチコイドoxycorticoid
副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンのうち糖代謝に重要な役割を果たすホルモン.タンパク質および脂肪の代謝にも重要.そのほか,ストレスに対する生体の保護,心血管系,神経系,腎,筋などの機能維持などの生理作用と抗炎症,抗アレルギーおよび抗リウマチなどの薬理作用を有する.生理的にはコルチゾン*,コルチゾール*,コルチコステロン*およびデヒドロコルチコステロンの4種が意味をもつ.Henchが関節リウマチの治療にコルチゾンを使用し,著効を呈することを見出して以来,アレルギー,免疫異常疾患および喘息に用いられている.しかし,グルココルチコイドによる治療はNa+貯留,消化性潰瘍*,易感染など重篤な副作用の発現を招来することが明らかとなった.そこで,それらの副作用軽減のために天然ホルモンの生理作用を分離し,強力な薬理作用を目的とした合成コルチコイドの開発が行われている.いまだ完全に満足される化合物は見出されていないがプレドニゾロン,フルオロコルチゾン,トリアムシノロン,デキサメタゾンなどが代表的なものである.これらは強い抗炎症作用と抗リウマチ作用を有する.しかし,抗アレルギー作用の強さは必ずしも抗炎症作用の強さとは並行しないようである.グルココルチコイドの副作用の軽減は投与経路の変更や投与方法の工夫によってかなり軽減されることが経験的に知られている.生理作用の発現はグルココルチコイドが細胞質内のステロイドレセプターと結合し,核のクロマチンに作用して新しい生理作用をもつタンパク質を新生して発現するとされている.薬理作用もその一部はほぼ同一の機序が関与するものと推定されている.