フレグモーネ

フレグモーネ

【英】phlegmon

【独】Phlegmone

【仏】phlegmon

同義語:蜂巣炎,蜂窩織炎

 

疎性結合〔組〕織*におけるびまん性進行性の急性化膿性炎症.通常創傷からの菌の侵入により起こるが,起炎菌としてはレンサ球菌,ブドウ球菌が多い.皮下の疎性結合組織に起こることが最も多く,これを皮下蜂巣炎または表在性蜂巣炎superficial cellulitisという.このほか筋間,臓器周囲などの疎性結合〔組〕織を侵すことがあり,これを深在性蜂巣炎deep cellulitisという.いずれの場合にも体温の上昇を伴い,しばしば悪寒戦慄を伴う高熱を発する.皮下蜂巣炎では局所の疼痛とびまん性腫脹,皮膚の発赤,熱感を伴う.周囲に急速に拡大する傾向が強いが,治療により,また自然に病勢が停止すればしばしば中央に腫瘍を形成する.早期に適切な治療を加えれば腫瘍を形成することなく治癒するが,病勢悪化の場合には血栓性静脈炎を併発,敗血症を起こすこともある.治療ではペントシリン,第1世代セフェム系薬などの化学療法が有効である.早期に十分量投与できれば腫瘍の形成なしに治癒することが多い.腫瘍を形成した場合には切開排膿を要する.腫瘍の形成がない場合でも保存的療法により軽快しない場合には,十分な切開を加える必要のあることもある.蜂巣炎の特殊な型として,急性化膿性骨髄炎の場合,骨髄にみられる変化を骨髄蜂巣炎,急性化膿性関節炎で炎症の関節包周囲に急激に波及するものを,関節包蜂巣炎articular capsule cellulitisという.