アカバネウイルス

アカバネウイルス

【英】Akabane virus

 

アルボウイルス

アルボウイルス

アルボウイルス

【英】arbovirus

同義語:節足動物媒介ウイルスarthropodborne virus

 

自然界において感受性の脊椎動物の間を吸血性の節足動物arthropodによって媒介される方法を主な伝播様式とするウイルスの総称.アルボウイルスは感染した脊椎動物の体内で増殖し,内部潜伏期の後に,血液中に出現する(ウイルス血症*).この脊椎動物を節足動物が吸血する際ウイルスはその体内に取り込まれ増殖し,外部潜伏期の後に唾液腺に出現する.この節足動物はその生涯にわたり脊椎動物を吸血する際ウイルスを伝播できる.

ウイルス血症

ウイルスケッショウ

【英】viremia

【独】Vira¨mie

【仏】vire´mie

 

ウイルスが感染すると,まず,感染局所の上皮細胞で増殖する.気道感染や消化管感染では,ウイルスはそこから周辺の上皮細胞に広がっていく.一方,ウイルスは上皮下のリンパ組織にも入る.そこで不活化されないと,ウイルスは増殖し,そこから血中に入り,ウイルス血症(一次性)を起こす.ウイルスは血液を通して,他の臓器に播種され,個々のウイルスに親和性のある臓器で増殖する.増殖したウイルスは再び血中に入り(二次性ウイルス血症),さらにウイルスは全身に広がる.ピコルナウイルス*やトガウイルス*などは,血中にフリーな状態で存在し,運ばれる.また,サイトメガロウイルス*,EBウイルス*,麻疹ウイルス*, LCMウイルスなどのように単球,リンパ球,血小板などの細胞成分とともに運ばれる場合もある.

トガウイルス

トガウイルス

【英】togavirus

 

トガウイルス科Togaviridaeは一本鎖の(+)極性RNAを遺伝子とし,外被膜を有し,細胞質で増殖する球形ウイルスspherical virusである.すべてカ媒介性アルボウイルスmosquitoborne arbovirusで構成されるアルファウイルス属Alphavirusと,風疹ウイルス*を唯一の構成員とするルビウイルス*の2属がある.以前トガウイルスに属していたフラビウイルス*とペスチ(ティ)ウイルス*は遺伝子構造・複製機構が異なることからフラビウイルス科Flaviviridaeとして分類されるようになった.遺伝子RNA5′末端側が転写されてウイルスRNA複製に必要なタンパク質が合成され,その触媒作用によってウイルスRNAを鋳型にマイナス鎖RNAが合成される.それを鋳型として2種類のプラス鎖RNAが合成される.1つは完全な長さのウイルス遺伝子RNAで子孫ウイルス粒子progeny viral particleに取り込まれる.もう1つはウイルス遺伝子RNA3′末端側1/3に相当するsubgenomic mRNAでウイルス構造タンパク質を決定している.ウイルス粒子は感染細胞の細胞質膜から発芽により形成される.

の一つ,ブニャウイルス科Bunyaviridae,ブニャウイルス属,シンブ群に属する.1959年群馬県下のヤマトヤブカから分離されたがCulex属のカおよびCulicoidesによっても媒介される.日本,オーストラリア,イスラエル,南アフリカなどにおいてウシ,ヒツジ,ヤギなどの偶蹄類家畜に先天性異常,軟骨形成不全,水頭症,流産,死産を起こし経済的損失を与えることから獣医学分野で重要視されている.予防ワクチンがある.