腸は、十二指腸、小腸、大腸からなっており、ひとくちに腸炎といっても、部分的に冒される場合と、全体的に冒される場合とがあり、その症状にもいろいろなものがあります。小腸のみに炎症があるときは下痢をしないこともあり、結腸では疝痛様の腹痛が起こります。直腸の場合はしぶり腹となります。
急性腸炎は食中毒による場合が一番多く、他に暴飲暴食や冷え腹などが原因になることがあります。これは、小腸だけが冒される小腸炎は少なく、急性胃腸炎の型でくることが多く、また同時に大腸炎を併発することも多いとされています。軽い腸炎では発熱せず、細菌やビールスが原因の場合は高熱が出ます。急性腸炎は、たいていそのほとんどが1〜2日から数日で治りますが、ときには激しい中毒症状を起こし、死亡することもありますので、素人療法は絶対に避けなければなりません。
慢性腸炎については、急性腸炎から移行するものと、初めから慢性型でなるものとがあり、その大部分が大腸に炎症を起こします。慢性腸炎は腹部の不快感、膨満感、疼痛、腹鳴などが自覚され、長期にわたる場合が多く、意外に治りにくく、気長な養生が必要となりますので、漢方では、体質改善を目的として全身機能を回復させることに主力をおいて治療することになります。 |