サボンソウ (ナデシコ科サボンソウ属:多年草:草丈 〜90センチ:花期 5〜6月)

薬効
せき・たん 体質改善        
           
分布生育場所

科名:ナデシコ科/属名:サボンソウ属
和名:サボンソウ/学名:Saponaria officinalis
ヨーロッパから中央アジア原産で園芸品として栽培。その後、人里近くの原野、道端等に野生化。

見分け方・特徴

サボンソウは、多年草の草本(そうほん)で、草丈は50〜60センチになります。
根茎は太く、よく分岐して横にのび、表面の色は赤褐色、中は白色をしています。
茎は数本、根茎から真っ直ぐ、あるいは斜めにのびます。節があって、節の部分が膨らんでいます。
葉は対生、形は長楕円披針形で、先は尖っています。葉縁は全縁、葉の質は柔らかで、3本の葉脈が縦に走っています。
5〜6月に咲く
花は茎頂に集散花序をつくり開花します。色は淡紅色で花の直径は3センチ程、花柄は短くて、花弁5、雄しべ10、花柱2、がくは緑色で5裂しています。
果実は、さく果です。


採集と調整
薬用には、サボンソウの根茎(こんけい)を使用します。
秋に根茎を掘り採り、水洗いし、天日で乾燥させます。


薬効・用い方
サボンソウの根茎(こんけい)には、約4%のサポニンが含まれています。
サポニンに共通する性質には鎮咳(ちんがい)去痰(きょたん)作用があります。
キキヨウやセネガなども同じように根にサポニンを含んでいて、サボンソウの根茎(こんけい)もセネガ根の代用として去痰(きょたん)薬に用いれてています。
また、腺病質や慢性皮膚炎などの体質改善薬としても用いられます。
カボンソウの根茎を、体質改善に用いる場合は、乾燥した根茎を粉末にして、1日量0.5グラムから1,5グラムを、水で服用します。



その他
サボンソウは、ヨーロッパから中央アジアにかけての原産で、日本には明治の初めに、園芸品として入ってきて、広く栽培されています。それが、野生化して、原野や路傍に見ることができます。

ヨーロッパでは、セッケンソウとかサボンソウの意味で呼ばれています。
サボンソウの根茎には、約4%ものサポルブルンといわれるサポニンが含まれていて、根茎を細かく刻み、水に入れて強く振ると、泡がたちまが、このように水に入れて溶けた成分が、消えにくい泡となる性質をもつものをサポニンといいます。
このようなサポニンを溶かした液で布などを洗うと汚れが落ちます。
サボンソウの名前は、そのような石鹸の意味からつきました。

ヨーロッパでも油脂から製造する脂肪酸ナトリウム(今の石鹸このと)が出るまでは、このサポニンを成分とする植物が今の石鹸の代わりに使用されていました。
植物名はサポナリア・オフィチナーリスと名付けられていて、サポナリアは石鹸のように泡をたてるものを意味し、オフィチナーリスは薬として用いることを意味しています。
これは、ギリシャの古いディオスコリデスという薬物誌にも載っていて「布さらし業者は羊毛をさらすのに用い、根は収斂(しゅうれん)作用と利尿作用をもち、肝臓病の患者や、せきなどに効く。匙(さじ)1杯をハチミツで飲むと便通を促す」とあり、古来より石鹸と薬用に用いられていたのが解ります。

サポニンの一般的な毒性として、赤血球破壊作用(これは寫血(しゃけつ)作用といいます。)がありますが、服用する場合は、直接サポニンのままで吸収されることがありませんので、この副作用は心配はありません。

また、古来サポニンを含む植物は、魚毒作用があるので、魚を獲るのに用いられました。サポニンの泡が魚類の鰓(エラ)について呼吸ができなくなるためだとされています。