TE13.臑会(じゅえ)

取穴部位:肩髎穴から肘頭に向かい下3

筋肉:三角筋上腕三頭筋

運動神経:腋窩神経橈骨神経

知覚神経:外側上腕皮神経

血管:上腕深動脈

 
主治・対象疾患

頭痛

頸部痛

後頸部のこわばり

肩背痛

四十肩

上腕痛

上腕の知覚障害

上腕の運動障害

前腕の知覚障害

前腕の運動障害

手部の知覚障害

手部の運動障害

リウマチ

 

 

 

TE13)臑会nao4hui4)(じゅえ)・臑交・臑髎

【取穴】

上腕後面、三角筋の後下縁、肩峰角の下方三寸。

・筋肉:三角筋・上腕三頭筋

三角筋 (さんかくきん)

肩甲骨の肩甲棘・肩峰および鎖骨の外側1/3から起こり、肩関節を覆うように上腕骨三角筋粗面に停止する筋肉。作用は多様で肩甲棘から起こるものが上腕を伸展・内転・外旋、肩峰から起こるものが上腕を外転、鎖骨外側1/3から起こるものが上腕を屈曲・内転・内旋させる。

上腕三頭筋 (じょうわんさんとうきん)

肩甲骨関節下結節、橈骨神経溝の下外側方・上外側方から起こり、尺骨肘頭に停止する筋肉。主に肘関節を伸展・内転させる働きがある

・運動神経:腋窩神経(三角筋)・橈骨神経(上腕三頭筋)

腋窩神経 (えきかしんけい)

腕神経叢から出て上腕骨後面へ向かう神経。腋窩神経は、小円筋・三角筋などを支配する筋枝と、上腕上部の外側の皮膚の知覚を司る上外側上腕皮神経に分かれる。

橈骨神経 (とうこつしんけい)

腕神経叢の第5頸神経~第1胸神経より起こり、上腕部内側橈骨神経溝を通って前腕に至り、橈骨に沿って外側を走行する神経。橈骨神経からは、上腕三頭筋・肘筋・腕撓骨筋・長撓側手根伸筋を支配する筋枝、上腕後面の知覚を司る後上腕皮神経、上腕下部外側の知覚を司る下外側上腕皮神経、前腕後面の知覚を司る後前腕皮神経、手部の橈側2.5指の知覚を司る浅枝、短撓側手根伸筋・回外筋・総指伸筋・小指伸筋などを支配する深枝が分岐する。

・知覚神経:外側上腕皮神経

上外側上腕皮神経 (じょうがいそくじょうわんひしんけい)

腋窩神経から起こり、上腕の後外側の皮膚に分布する。

・血管:上腕深動脈

上腕深動脈 (じょうわんしんどうみゃく)

上腕動脈から起こり、上腕三頭筋の内側頭と外側頭の間を通って後方へ向かい、撓骨動脈と共に下行する動脈。主に上腕三頭筋や三角筋を栄養しているが、肘関節動脈網を介して前腕も栄養する。

【名の由来】本穴が上腕にあり、陽維脈との交会穴である事から。
【要穴】『手陽明之絡』-鍼灸甲乙経巻之三-
【交会】・経絡(3):手少陽経-手陽明経-陽維脈
鍼灸大成・聚英には「手少陽、陽維之会」、鍼灸甲乙経には「手陽明、手少陽結脈の会」とある。
【作用】〔瀉〕清熱理節・理気消痰・疏筋活絡
【弁証主治】
手少陽経病/手陽明経病
多汗・耳鳴、難聴・歯痛・頚部の腫脹・喉痛・肘痛・上肢痛、マヒ、悪寒、炎症・副腎皮質機能亢進症状など
陽維脈病「寒熱に苦しむ」
悪寒戦慄をともなう高熱・往来寒熱・リンパ節腫・てんかん、意識障害・躁鬱・四肢の冷え・めまい・胸苦しさ・腰痛など
【主症主治】五十肩・肩胛骨痛・リウマチ性結節 

副腎皮質ホルモンステロイドホルモン。いすれも生体のエネルギー利用を高める方向に左右する。ストレスに対して視床下部(CRH)⇒下垂体前葉(ACTH)⇒副腎皮質と、血中ホルモンの作用により促進され、血中のステロイド濃度が上位中枢に抑制的に働く。

・糖質コルチコイド血糖値の上昇・タンパク質分解促進・抗炎症作用・免疫抑制作用・胃酸分泌促進など。クッシング症候群(過剰分泌)では、満月様顔貌・蛋白質質減少・高血糖・高血圧・精神異常などを生じる。

・電解質コルチコイド血液量の減少やNa⁺濃度の低下に反応してNa⁺再吸収・水分再吸収・K⁺排出を促す。コン症候群(過剰分泌)では多尿・多飲・高血圧・虚弱などを生じる。

・副腎アンドロゲン通常、活性は弱い。身体を男性化する。副腎性器症候群(過剰分泌)では、女性では体型の男性化・思春期の男性においては、精巣が未熟であるにも関わらず、第2次性徴のみが早熟する。

気癭肩項などに生じる腫瘤。色紅突出・皮膚弛緩・根本下垂。刀鍼などで軽々しく破ってはならない。

【概要】

・二陽/枢:太陽と陽明をつなぐ枢軸の役割。半表半裏証を患いやすい。損なうと気病・骨病(バランス・運動機能障害)を生じる。

・気血:多気少血-素問血気形志篇第二十四-

・深度:二分以下(留一呼以下)-霊枢経水第十二-

・子午:亥刻(21:0023:00

-素問運気七篇(第六十六~七十四)-に由来する時間と経絡の関係を臨床に応用したもの。此処では現在一般的な各経に対応する十二支(時刻)を表記。

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 【絡脈流注】-霊枢経脈第十-

「手少陽の別脈を『外関』と云い、手首の上二寸、腕の外側を巡り、胸中に注ぎ、心主に合す」

 【経別(第五合)】-霊枢経別第十一-

『離(別):巓(頭頂部/百会?)』 『入:缺盆

第五合は、経別の中でも少々特殊。

手太陽経別の記述が、手少陽経の記述と対になっている。

「手太阳之正、指地、于肩解、入腋走心、系小也」

「手少阳之正、指天、、入缺盆、下走三焦、散于胸中也」

この対が何を意味するのかは、現時点では不明。

 【根結】-霊枢根結第五-

『根:関衝』 『溜:陽池』 『注:支溝』 『入:天牖外関

 【経筋(仲夏痺)】-霊枢経筋第十三-

 「手少陽の筋、第四指の端に起り手首に結び、前腕の中央を巡り肘に結び、上腕の外側を巡り、肩に上り頚に行き、手太陽経筋と合す」

「其の分枝は、頬にて曲がり舌本系に入る」

「其の分枝は、上歯で曲がり耳前を巡り、外目眦に属し、頷に乗じて上り頭角に結ぶ」

・結処

『第4指端(関衝)』 『手首(陽池)』 『肘(天井)』 『頷』 『角(頭維)』

 《三焦》「决之官、水道出」-素問霊蘭秘典論篇第八-

・『決瀆之官』とは治水管理の役職。三焦が水の通路となり、その流れを管理する事から。

・水液運行の通路。 

【相火之腑】心包と表裏を為し、生理上相互に影響し合う。

個人的には、欲求と脂肪の関係では、と考える。

 【諸気を主宰し、全身の気機と気化作用を統括する】

 【三焦について:歴史的経緯】

・三焦に関する-内経--難経-の解釈は、生理としての認識にはあるも、解剖としての認識は明確にされていない。

-霊枢営衛生会第十八-

「上焦出于胃上口、并咽以上膈而布胸中、走腋、循太阴之分而行、至阳明、上至舌、下足阳明、常与俱行阳二十五度、行于阴亦二十五度一周也、故五十度而复大会于手太阴矣」

「中焦亦并胃中、出上焦之后、此所受气者、泌糟粕、蒸津液、化其精微、上注于肺脉、乃化而血、以奉生身、莫于此、故独得行于隧、命曰气」

「下焦者、、注于膀胱而渗入焉。故水谷者、常并居于胃中、成糟粕、而俱下于大、而成下焦、渗而俱下、汁、循下焦而渗入膀胱焉」

「焦如雰、中焦如、下焦如

【上焦】霊枢の記述では経脈全体を指しているように思える。

【中焦】営気を生成する過程全体(脾・胃)を指しているように思える。

【下焦】糟粕の処理過程全体(小腸・大腸・膀胱) を指しているように思える。

-難経-

「三焦者、水谷之道路、气之所始也。~故名曰三焦、其府在气街」-三十一難-

「所以腑有六者、三焦也」「有原气之使、主持气、有名而无形。其属手少阳、此外腑也」-三十八難-

肾间动气者、人之生命也、十二之根本也、故名曰原」「三焦者、原气之使也、主行三气、经历于五六腑」「原者、三焦之尊号也、故所止辄为原」(臍下腎間の動気は人の生命、十二経の根本なり。故に名を原という。三焦とは原気の別使()にして三気を通じ五臓六腑を営するを主す。原とは三焦の尊号なり)-六十六難-

 その為、後世「三焦とは何か?」という問いに、多くの医家が各々の論を展開している。大別すれば以下の通り。

1)実体を持たない、機能(水道)のみの名称

「三焦は一名三関と言い、上中下合して一つとなり、名はあれど形なし。臓腑を主り、神道を往来し、全身を巡貫し、聞くはできるも見るは適わず。精気和利し水道決通し、腸胃の間に息気す」-千金要方-

「三焦は人の三元の気であり、五臓六腑・営衛経絡・内外左右上下の気を総領す」-中藏経-

「三焦は通じて一気となり、全身を保護外邪から身を護る。しかし之に形があると言えようか」-此事難知-

2)衝脈・任脈・督脈=命門の作用(腎陽・元陽)説

「手少陽三焦・右腎命門・心包はいずれも相火にて、その脈はいずれも腎()脈で診る。腎は生気の門にして出でて臍下に治め、三岐して上衝し臍を挟んで天枢を過ぎ、上りて両乳の間膻中(元気の系る処)に至る。また足の三焦は太陽経の別絡にして、足太陽の正経に並び、入りて膀胱を絡し、下焦を約すなり。三焦は頭より心に至り、心から臍に至り、臍より足に至り、上中下の三焦を為す。その実態は真元の一気なり」

「三焦は即ち命門の作用にして、衝任督と相通ずるものなり」

「臍下腎間の動気は人の生命、十二経の根本なり。故に名を原という。三焦とは原気の別使()にして三気を通じ五臓六腑を営するを主す。原とは三焦の尊号なり」

本書ではこの論を基本として、三焦の位置を臍下丹田(胞宮)と仮定して作図している。

3)手少陽経そのもの説

「三焦とは、外には経脉があり内には無形である。もし経脉の起止や兪穴の主病がある事で三焦が有形の腑であると言うならば、衝任督脉等にも起止・主病があるという事に思い至らなければならない。衝脉を血海とし任脉は子宮を主るという事からも、また任脉には有形の腑があると見なければならなくなる」

4)脂膜・肓膜説

「三焦は掌程の大きさの脂膜である。膀胱と対称的なものであり、二本の白脈が中から出て一つは脊を挟んで上り、脳を貫く」-三因方-

「三焦は腔子を指しており、胸中の肓膜の上を上焦、肓膜の下から臍までを中焦、臍下を下焦とする。その体は、腔子の中の脂膜にあたり、五臓六腑の外側をすべて網羅している」

5)胸腔・腹腔説

「三焦とは隔膜脂膏の内側、五臓六腑の間隙であり、水穀が流化する関鍵である」-難経本旨-

「有名無形というなら、どこから水道が出るのか?何によって厚薄、緩急、直結の違いがあるのか?どこに縦横の肌理があるのか?また何を霧の様であり、泡の様であり、の様であるとするのか?気血の区別はどこでつけるのか?」「人体は皮毛から臓腑まで腹腔周囲上下の全体の形は大きな袋である。その内層は色形は真紅、その態は六合の様である。之が三焦でなくてなんだというのか?」-類経附翼-

6)上焦=胸管・中焦=膵臓・下焦=乳糜管説三谷公器・澤田健など

7)リンパ組織説

8)そのほか、インド医学のトリド-シャ、つまりヴァータ(風)・ピッタ(火)・カパ(水)やチベット医学におけるニェパ(三体液)、つまりルン(風、生命の流れ臍から下に位置し「動き/移行」を司る)、チィーパ(胆汁、生命エネルギー鳩尾と臍のあいだに位置し「燃焼/転換」を司る)、ペーケン(粘液、生命のエネルギー力鳩尾から上に位置し「結合/保存」を司る)などの概念が、中国医学に流入したものとする説もある。