SP21.大包(たいほう)

取穴部位:腋窩中央の下6寸、中腋窩線上の肋間、腋窩横紋中央と第11肋骨端、第6肋間

要穴:脾の大絡

筋肉:前鋸筋

運動神経:長胸神経

知覚神経:肋間神経外側皮枝

血管:肋間動脈胸背動脈

【位置】側胸部、第6肋間、中腋窩線上。
※側臥して上腕を外転したとき、中腋窩線上と第6肋間の交点にある。

【主治】胸脇部痛、喘息、全身の疼痛、四肢の脱力感。

【操作】①斜刺で0.3~0.5寸。②横刺で0.5~0.8寸。肺臓があるので直刺は不可。集毛鍼(梅花鍼)の叩打なら安全。

大包:脾の大絡。全身に巡る気血を統括し、臓腑四肢、つまり全身にくまなく滋養をする働きがある経穴。

主治・対象疾患

咳嗽

喘息

胸部苦満

胸脇苦満

心胸苦満

胸膜炎

疲労感

心内膜炎

肋間神経痛

 

腋窩中央の下6寸、中腋窩線上の肋間に取る。

解剖学的データ

筋肉

前鋸筋

第1~第9肋骨腱弓から起こり、肩甲骨と胸郭との間を後上方に走りながら、肩甲骨に停止する筋肉。主に肩甲骨を前外方に引き、肩甲骨が固定されている場合は肋骨を引き上げる作用がある。

運動神経

長胸神経

腕神経叢の第5~第7頸神経から起こり、前鋸筋を支配する神経。

知覚神経

肋間神経‐外側皮枝

胸神経前枝のことで、肋間動静脈とともに肋間を走行する神経。肋間神経からは、外肋間筋・内肋間筋・最内肋間筋・肋下筋・胸横筋・内腹斜筋・外腹斜筋・腹横筋・腹直筋・錐体筋・肋骨挙筋・上後鋸筋・下後鋸筋を支配する筋枝が出る他、前胸部から体表に出て知覚を司る前皮枝、体幹の外側で体表に出て知覚を司る外側皮枝が分岐する。第2もしくは第1・第3肋間神経外側皮枝は肋間上腕神経の一部となる。

血管

胸背動脈

肩甲下動脈の終枝の一つで、肩甲下筋・外側鋸筋・大円筋・広背筋などを栄養する動脈。

肋間動脈

最上肋間動脈・胸大動脈から起こり、肋骨の下縁(肋間)に沿って走る動脈のこと。肋間動脈の起始部近くからは背枝が出ており、さらに背筋を栄養する筋枝、脊髄を栄養する脊髄枝、背部の皮膚を栄養する皮枝に分かれる。また肋間動脈が内肋間膜を貫通すると側副枝が出ており、下位の肋骨の上縁に沿って走る。胸郭の外側部では外側枝が出ており、さらに前枝と後枝に分かれ胸郭外側壁の皮膚に栄養するが、前枝からは乳腺枝が出て乳腺も栄養する。