SP13.府舎(ふしゃ)

取穴部位:大横穴の下43分、衝門穴の上7

筋肉:外腹斜筋内腹斜筋

運動神経:肋間神経腸骨下腹神経腸骨鼠径神経

知覚神経:腸骨下腹神経前皮枝

血管:浅腹壁動脈下腹壁動脈

P13.府舎(ふしゃ)
大横穴の下4寸3分、衝門穴の上7分に取る。

解剖学的データ

筋肉

内腹斜筋

鼠径靱帯・腸骨稜・胸腰筋膜から起こり、第10~12肋骨下縁および腹直筋鞘・白線に停止する筋肉。主に肋骨とともに胸郭を引き下げ、脊柱を曲げると同時に、骨盤を引き上げる働きがある。

外腹斜筋

第5~第12肋骨外側面から起こり、腸骨稜および鼠径靱帯、白線に停止する筋肉。斜め前下方に走っているため、肋骨とともに胸郭を引き下げ、脊柱を曲げると同時に、骨盤を引き上げる作用がある。

運動神経

肋間神経‐筋枝

胸神経前枝のことで、肋間動静脈とともに肋間を走行する神経。肋間神経からは、外肋間筋・内肋間筋・最内肋間筋・肋下筋・胸横筋・内腹斜筋・外腹斜筋・腹横筋・腹直筋・錐体筋・肋骨挙筋・上後鋸筋・下後鋸筋を支配する筋枝が出る他、前胸部から体表に出て知覚を司る前皮枝、体幹の外側で体表に出て知覚を司る外側皮枝が分岐する。第2もしくは第1・第3肋間神経外側皮枝は肋間上腕神経の一部となる。

腸骨下腹神経‐筋枝

腰神経叢の第12胸神経~第1腰神経より起こる神経。腸骨下腹神経は腹横筋・内腹斜筋・外腹斜筋などを支配する筋枝を出した後、下腹部の皮膚の知覚を司る前皮枝と臀部の皮膚の知覚を司る外側皮枝に枝分かれする。

腸骨鼠径神経‐筋枝

腰神経叢の第1または第2腰神経より起こり、内外腹斜筋の間を走って鼠径管を通る神経。腸骨鼠径神経は腹横筋・内腹斜筋・外腹斜筋などを支配する筋枝を出した後、男性では前陰嚢神経、女性では前陰唇神経となる。

知覚神経

腸骨下腹神経‐前皮枝

腰神経叢の第12胸神経~第1腰神経より起こる神経。腸骨下腹神経は腹横筋・内腹斜筋・外腹斜筋などを支配する筋枝を出した後、下腹部の皮膚の知覚を司る前皮枝と臀部の皮膚の知覚を司る外側皮枝に枝分かれする。

血管

浅腹壁動脈

腰神経叢の第12胸神経~第1腰神経より起こる神経。腸骨下腹神経は腹横筋・内腹斜筋・外腹斜筋などを支配する筋枝を出した後、下腹部の皮膚の知覚を司る前皮枝と臀部の皮膚の知覚を司る外側皮枝に枝分かれする。

下腹壁動脈

外腸骨動脈から起こり、下腹を上行したのち臍の上で上腹壁動脈と交通する動脈。主に腹直筋などを栄養している。

主治・対象疾患

便秘

下痢

腹鳴

下腹部痛

おりもの過多

月経過多

月経過少

不正性器出血

無月経

更年期障害

生理痛

生理不順

のぼせ

下腹部の脹り

子宮筋腫

子宮けいれん

子宮内膜炎

鼠径リンパ節腫脹

尿漏れ

尿閉

頻尿

尿路痛

大腸カタル

直腸カタル

腸けいれん

 

 

SP13)府舎(fu3she4)(ふしゃ)

【取穴】

下腹部、臍中央の下方四寸三分、前正中線の外四寸。

・筋肉:精巣挙筋 Cremaster・鼠径靭帯 Inguinal ligament

・運動神経:陰部大腿神経陰部枝 Genital branch of Genitofemoral nerve

・知覚神経:腸骨鼠径神経(L1) Ilio-inguinal nerve

・血管:浅腹壁動脈 Superficial epigastric artery・下腹壁動脈 Interior epigastric artery


【名の由来】

「府=集合」「舎=居住する場所」。本穴にて足太陰経・足厥陰経・陰維脈が交会し、腹中に入る事から。

【要穴】

『太陰之郄』

『三陰(脾・肝・陰維)陽明之別』

【交会】

・経絡(4):足太陰経-足厥陰経-陰維脈-(足陽明経)

※奇経八脈考には「陽明之会」とある。

【作用】

〔瀉〕調中益気・温通活血

【弁証主治】

◆足太陰経病

貧血、血液疾患・嚥下困難・胃腸虚弱・泌尿器、婦人科疾患・脈浮緩・09:00~11:00あるいは21:00~23:00の異常など

◆足厥陰経病

性欲の異常・腰痛・更年期障害など

◆陰維脈(脾胃/肝)病「心痛に苦しむ」

心窩部痛・動悸、胸苦しさ・脇下のつかえなど

◆足陽明経病

躁鬱、不安障害・統合失調症など

【主症主治】

鼠径ヘルニア・下肢静脈瘤

【私見】

・陰維脈は血(営/胃)に係わる心(少陰)・脾(太陰)・肝(厥陰)の機能を包括するように働く。その為その病証も、 血の虚実によって生じる心・脾胃・肝の証を包括した様相を呈す。本穴は特に陰維脈的要素が強い様子。

・男女とも、更年期症状には適応か?

・本穴には足陽明経も交会しているが、陰維脈の性質上、寒証(陽虚)に対する主治が多い。