HT6.陰郄(いんげき)

取穴部位:前腕前尺側にあり、神門穴の上5分、尺側手根屈筋腱の橈側

要穴:郄穴

筋肉:尺側手根屈筋

運動神経:尺骨神経

知覚神経:内側上腕皮神経

血管:尺骨動脈

解剖学的データ

筋肉

尺側手根屈筋腱

尺側手根屈筋の腱で、豆状骨や第5中手骨に停止する付近にみられる。

運動神経

尺骨神経筋枝

腕神経叢から起こり、腋の下から肘の内側を走行し、手首を越えて手先まで通っている神経。尺骨神経からは前腕部で尺側手根屈筋と深指屈筋を支配する筋枝を出し、前腕下部で手背~指背側2.5指の知覚を司る手背枝と手掌部の知覚を司る掌枝を出す。その後、屈筋支帯の下を通って手掌に至ると小指球筋・小指対立筋・小指外転筋・母指内転筋・第3~4虫様筋・背側骨間筋・掌側骨間筋などを支配する深枝と、尺側1.5指の掌面の知覚を司る浅枝に分岐する。

知覚神経

内側前腕皮神経

腕神経叢の第8頸神経~第1胸神経から起こり、主に前腕内側の知覚を司る神経。

血管

尺骨動脈

上腕動脈から起こり、前腕尺側を下行する動脈で、主に前腕尺側を栄養する。尺骨動脈の起始部付近からは、肘関節周囲を栄養する尺側反回動脈、前腕骨間を栄養する総骨間動脈が分岐しており、手部へ向かう間に尺骨の骨髄を栄養する尺骨動脈や前腕尺側部にある筋肉を栄養している筋枝が分岐する。豆状骨付近では背側手根枝が出ており、橈骨動脈からの動脈枝や前骨間動脈と吻合して背側手根動脈網を形成する。また背側手根枝の起始部付近から出る浅枝は第5中手骨の尺側縁を走る背側枝動脈となる。尺骨動脈の手根部から掌側へ向かう掌側手根枝は橈骨動脈掌側手根枝とともに掌側手根動脈網を形成する。また、豆状骨の橈側で起こる尺骨動脈の深掌枝は手掌の深層に入り、橈骨神経の深掌枝と吻合して深掌動脈弓を形成し、尺骨動脈の終枝は橈骨動脈の終枝と吻合して浅掌動脈弓を形成する。

主治・対象疾患

心胸痛

動悸

寝汗

不整脈

心臓弁膜症

心内膜炎

心筋炎

心不全

狭心症

構音障害

ヒステリー

精神障害

尺骨神経障害

上腕内側痛

前腕尺側痛

前腕尺側の知覚障害

前腕屈筋の運動障害

腱鞘炎

咽喉炎(のどの腫れ・痛み)

扁桃炎

リウマチ

HT6.陰郄(いんげき) 

郄穴「通経活血」内側前腕皮神経尺骨神経手少陰心経正中神経

陰郄(いんげき)

HT6)陰郄(yin1xi4)(いんげき)・手少陰郄・石宮

【取穴】

前腕前内側、尺側手根屈筋腱の橈側縁、手関節掌側横紋の上方五分。

・筋肉《支配神経》:尺側手根屈筋腱 Flexor carpi ulnaris tendon《尺骨神経(C7,8) Ulnar nerve》・浅指屈筋腱 Flexor digitorum superficialis tendon《正中神経(C7,8,T1) Median nerve》/深指屈筋腱 Flexor digitorum profundus tendon(内側 Medial side)《尺骨神経(C8,T1) Ulnar nerve》







・知覚神経:内側前腕皮神経 Medial cutaneous nerve of forearm

・血管:尺骨動脈 Ulnar artery

※HT7)神門の上方五分、尺骨頭下縁と同じ高さ。

※豆状骨の上縁橈側の上方五分にある。

霊道、通里、陰郄、神門は一寸五分の中に密集する。

個人的には、この密集は屈筋支帯 Flexor retinaculum(横手根靭帯 Transverse carpal ligament)の幅に由来するのではと考える。

では、屈筋支帯に刺激をかけることで何が起きるのか?この点に関しては現段階では不明。

【名の由来】

本穴が少陰経の郄穴である事から。

【要穴】

『手少陰経郄穴』

【作用】

〔補〕養陰安神

〔瀉〕行気活血

【弁証主治】

少陰経血証

貧血、血液疾患〔灸50壮〕・出血傾向・急性の心痛・婦人科疾患・更年期障害・脈浮洪・静脈瘤など

【弁証配穴】

『郄会配穴(気):膻中+会宗・孔最・陰郄』…気病

【主症配穴】

+後渓…小児の身体の芯に熱が籠もるような感覚

【私見】

・陰経の郄穴は、手足同名経の血病を主治する。

・霊道、通里、陰郄、神門は一寸五分の中に密集する経穴なので、実際の臨床では効能を分けて論じるべきかは悩ましい。

 

汗かき・多汗症に効くツボ~手のひら(陰郄・後谿・合谷)編~

投稿:2012/10/29更新:2015/07/13カテゴリ:汗かき

多汗に効くとされるツボを集めて、図解入りにしてまとめてみました。気休めにしかならないと思っても、覚えておいて損はありません。今回は手のひら編です。

 

前腕前尺側にあり、神門穴の上5分、尺側手根屈筋腱の橈側に取る。